見出し画像

産業看護職への転職失敗②

 転職してから気づくことも多い、臨床と産業看護職(産業保健師)の業務の違い。臨床では看護職は医療的知識を基に業務をしますが、産業看護職は医療的知識だけでは業務ができません。今回は、転職失敗でよくある「3.産業看護職としての知識不足やスキル不足」について、対策も含めてお伝えしていきたいと思います。

1.産業看護職(保健師・看護師)が1名体制
2.産業保健の新規立ち上げ
3.産業看護職としての知識やスキル不足
4.産業医と相性が合わない
5.事務作業のボリュームの多さ
6.企業ニーズとのミスマッチ
7.他職種とのコミュニケーション不足

3.産業看護職としての知識やスキル不足

 産業看護職への転職は看護師資格のみでも可能ですが、予備知識がなく企業へ転職すると、大きな挫折を味わう可能性があります。転職エージェントから医療の専門家として、一般的な疾患(特に生活習慣病や精神疾患)について理解していればなんとかなる、と勧められてチャレンジしてみたものの、いざ入社してみたら、想像以上に現実は厳しい…ということもあり得ます。そうならないために、どんな準備をすればよいかご説明します。

①法律に関する知識

 産業保健は労働安全衛生法、労働基準法等のさまざまな法律に基づいて、産業医や人事労務スタッフとともに業務を進めていくため、知識がないとなんのための業務なのかすら分からない可能性もあります。また、法令改正も多いため、その都度、改正に沿って適切に対応しなければなりません。

対策:衛生管理者の資格を取得する

 保健師資格があれば、衛生管理者の資格は申請するだけて取得できます。衛生管理者に必要とされる、労働安全衛生法、労働基準法等の知識は、産業看護職にも必ず求められますので、しっかりと勉強しておくことをお勧めします。看護師資格のみの場合、企業への転職を決めたら、早めに「第一種衛生管理者」資格取得の勉強を開始しましょう。

②メンタルヘルスに関する知識

 次にメンタルヘルスに関する知識です。産業保健では特に、従業員がメンタルヘルス不調にならないための予防策の実施(管理者教育やセルフケア教育=一次予防)が重視されます。また、メンタル不調者へのケア、休復職の支援等の知識も求められますが「業務に支障なく働くことができる状態かどうか」という視点で関わるので、臨床の感覚とはやや異なります。

対策:メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種の受験

 誰でも受験できる、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種(ラインケアコース)は、職場におけるメンタルヘルス対策の一次予防の知識が身に着きます。年2回受験可能ですので、企業への転職を検討しているなら、テキストを購入する等して勉強しておくとよいでしょう。また、従業員50人以上の事業所に義務付けられている「ストレスチェック」についても学習しておきましょう。

③パソコンスキル

 産業看護職の仕事はPCを使用した事務的な業務も多くなります。最近ではダブレットでほとんどのことができてしまうので、臨床で電子カルテを使用した経験があっても、個人でPCを持っていない、PC操作に慣れていない人もいます。産業看護職として業務をするうえでは、基本的なPCスキルは必須です。特に、企業の人事労務スタッフはPCスキルが高いことが多いので、産業保健師にも高いレベルを求めるてくる可能性もあるでしょう。

対策:パソコンスキルの習得

 スムーズに業務を進め、産業医や人事労務スタッフからの要望に応えるためにも、最低限「Excel、Word、PowerPoint」は普通に使えるレベルにしておきましょう。最近ではオンラインセミナー、YouTubeでもこれらのスキルを簡単に学ぶことができます。特にExcelは、関数を使用した表やグラフ作成が短時間できると、業務の効率化につながります。
※PCスキルについての詳しい内容は別途記載予定


 産業看護職(産業保健師)が複数名いる企業であれば、分からないことを同僚に聞くことができますが、少ない人数で仕事を進めるため、手取り足取り教えてもらえるとは限りません。できるだけ自律的に業務ができるよう、事前準備はしっかりしておくのがお勧めです。
 どんな視点で転職先を選べば良いのか分からない、産業保健活動についてイメージが湧かないという方は、キャリアコンサルタントとして転職サポートもしておりますので、下記をご利用ください。

心と体とキャリアをトータルサポート
CocokaraCareer 代表 志野恭子
保健師&キャリアコンサルタント

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?