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【提案】保育園留学

保育園留学といっても、今流行りの「1-2週間家族で地域に滞在する」地方創生的なモノではありません。保育士が別の園で学ぶ機会を提供するというものです。


①園児数はまだ増えるが…

少子化とはいえ、厚生労働省の予測(令和3年)では、令和7年までは利用園児は増えていきます。それ以降も園児数は急減する訳ではありません。日本総合研究所も、2017年のJR Iレビューでは、政策次第で緩やかな減少で20年ほどピークが続くと予測をしています。

しかし、地域間の格差はあります。
「園児が減少しない地域」あるいは「増えている地域」と「すでに減少している地域」が出ています。地域での園児の減少が続けば、保育士を雇い続けることができません。地域間の保育士不足を解消するために、コロナ前から提案していたのが、保育士の保育園留学です。

②保育士の保育園留学

この保育園留学は、青森県のある保育園で、近隣の保育園に短期間出向していた保育士の話を聞いたことをきっかけに、セミナーなどで人材確保のアイディアとしてお話しさせていただいていたのですが、「コロナで人の移動に制限がかかってしまったこと」と「中間に業者が入ってしまうとコストが上がってしまう」という2つの理由で実行することができませんでした。

保育士の余っている地域や施設から足りてない施設への短期的な保育士の移動をすることで、保育業界全体で人員の適切な配置を目指すことができま
す。期間は、半年から1年程度を想定し、人員の調整だけでなく、学びの場を提供する目的もあります。

プロサッカー選手のレンタル移籍をイメージしてください。
そのチームにいても活躍の機会が少ない選手を別チームにレンタル(出向)する仕組みです。サッカーと同様に気に入ったら完全移籍もありじゃないですかね。

「都心で働いてみたいけど…」
「自然豊かな地域で保育士をやってみたい」と考えても今の環境を完全に捨てるのは不安と考えている保育士はいるのではないでしょうか?

「人が余っているから、別に園に行って!」では、保育士は自尊心を傷つけられてしまいますが、他の園で学ぶ機会を得ることができるいう大義がありますので、保育園留学が一般的になれば、向上心の強い職員は手を挙げてくれるのではないでしょうか。

簡単に実行するには、園が個別に提携し相対契約で進める方法もあります。もうすでに行っている園もあるかもしれません。しかし、留学先の園がたくさんある方が、選ぶ楽しみも増えますし、ちゃんと保育を行っている園や特徴的な園が評価されるようにもなると考えます。

③保育士の保育園留学のメリットと課題

保育士の保育園留学のメリットと課題をまとめましたので検討してみてはいかがでしょうか?

▼メリットと補足

  • 保育士の適切な人数配置が可能になる

  • 不適切保育の減少 

不適切保育やその未遂は、その施設での保育がすべてになってしまっていることが原因の一つであると考えます。外部の保育を詳しく知ることや新鮮な気持ちで業務に取り組む機会を作っていくことが必要です。

  • ちゃんと保育を行っている園が評価される

ていねいに保育に取り組んでいる園や特徴的な園だけでなく、人材育成の面やそこで働く人材の質によって、人気の留学園も出てくるでしょう。いままで埋もれてしまっていた質の良い園の発掘や再評価にもつながります。

  • 早期退職者が大幅に減る

採用における課題に、「せっかく採用できたのにすぐに辞めてしまった」「真面目で熱心な人だと判断したのに違った」なんてことはよくあります。
保育園留学では、出向元の法人の保証がありますので、このリスクは大幅に軽減されます。

▼課題とその解決方法

保育園留学が全国に広がっていけばメリットがとても多く人材不足の解消と人材の質向上への貢献が期待できますが、課題もあります。

  • 中間業者は誰が行うのか?

都道府県をまたぐ留学も想定されますので、自治体でのコントロールは難しいかもしれません。保育協会で出来ればよいのですが、そのための人員を抱えることもかなり難しいと思われます。となると私たちのような民間業者が入ることになるのですが、人材紹介のような手数料になってしまうのであれば、コストが大幅にあがり、取り組みを広げていくことは難しくなります。
比較的低コストで運用しなればなりません。

  • 規定を定める

給与の設定や期間、やむを得ない途中離脱、移籍金額など想定されるルールを決めなければなりません。仲の良い園どうしてあれば、口約束程度で進めることもできますが、不特定多数の園が参加する場合は、中立を保ったルールが必要になります。

保育士の社会的地位を向上される

保育士を囲い混む時代から、保育士を日本の財産として活躍の場を広げていくことができる保育園留学は保育士の社会的地位の向上に少しは貢献できるのではないでしょうか?

青森県で実際に出向した保育士の方にヒヤリングをしたのですが、
もし東京の保育園で同様に学ぶ機会があれば行ってみたいですか?という質問に対して、「そんな機会があるならぜひ挑戦してみたい」と即答してくれました。

その方は50代の女性ですが、いつまでも学ぶ気持ちがあるのは大切ですね。

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