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他人事ではない2030年問題5⃣

他人事ではない2030年問題をシリーズ化して
書いてきましたが5⃣で最後の投稿とします。

そろそろ「日本の貧困」を真剣に考えたほうがいい…
意外と知られていない「大きな問題点」

池上彰氏が見通す人気新書シリーズ第15弾
『知らないと恥をかく
世界の大問題15 21世紀も「戦争の世紀」となるのか?』
(角川新書)

世界共通の目標といえば、
「SDGs(Sustainable Development Goals)」
があげられますね。
2015年の国連サミットで採択された
「持続可能な開発目標」のことです。

2030年までの達成をめざす国際社会の共通目標として
環境や社会など17の目標(ゴール)を掲げています。
国際社会が進むべき方向の、道しるべです。
東京・丸の内界隈を歩くと、
17色の丸いバッジをつけた方を大勢見かけますが、
どれだけの人が
あのバッジの意味を理解
して歩いているのか。
なんとなくバッジをつけると、
これが免罪符のようになってしまっているのではないか?

ちなみに、SDGsの目標その1は「貧困をなくそう」です。

日本は豊かな国だと思っていましたが、
日本にもいわゆる相対的貧困というかたちで、
実際にはかなり貧しい人たちがいるのです。

とりわけ「子どもの貧困」は極めて深刻です。
たとえば夏休みに入ると、学校給食がなくなります。
すると途端に食事に困ってしまう子どもがいる。
だからいま、「子ども食堂」が猛烈な勢いで増えています。これがある種、
貧困の“見える化”ということになるのでしょう。

子ども食堂は、子どもたちは無料で食べられるのですが、
子どもが貧困だと親も満足に食事ができていないケースが
多いのです。
「親御さんも無料でいいですよ」としてしまうと、
大人に対してプライドを傷つけてしまうことになります。
まるで施しを受けているような……。
そこで1食100円を徴収するなどの試みもあります。

困っている人に手を差し伸べることは大切ですが、
その人のプライドを傷つけないようにするには
どうしたらいいのか。
さまざまな人に対するリスペクトが、
とても大事なことだろうと思います。

「してやっている」という上から目線になってしまっては、解決になりません。

食料は「自国ファースト」が当たり前

SDGsの目標その2は、「飢餓をゼロに」です。
もちろん飢えて死ぬような人がいてはいけませんが、
日本でいえば食料自給率が低すぎるのは問題です。
私たちの食料安全保障をどうすればいいのか。

ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシア、ウクライナからの小麦の輸出が止まってしまいました。
北アフリカや中東地域は
自国で小麦をつくることができません。
ウクライナからの輸入小麦が頼りでしたから困っています。
突然、食料が品薄になったり、価格が高騰したりすると、
新たな紛争が起きかねません。
グローバル経済が止まってしまうと、
飢餓や戦争が発生するということです。

日本は大丈夫でしょうか?
「食料自給率は低くても、グローバル化の中で
貿易を進めていけば問題ない」
という議論が、
いまから思えばかなり安易にされていたのではないか。

インドは世界有数の小麦の生産国です。
インドがあれだけつくっているのだから、
世界で小麦は不足しないと思っていたら、
突然、インドが自国からの小麦の輸出を禁止しました。

結局、食料は自国ファーストです。
当たり前ですが、自分の国の国民を食べさせるのが一番、
となった途端、日本は大丈夫かと慌てることになる。

日本の場合、
小麦はアメリカ、カナダ、オーストラリアから
輸入しています。

いずれも民主主義、資本主義の国なので
いい関係を保っていれば大丈夫だろうと思っていても、
世界全体で小麦の流通量が減ると、価格は上がります。
現に2021年、アメリカやカナダで天候不順、
干ばつが続いた結果、小麦の生育に影響が出ました。

気候変動の問題が、食料安全保障の問題につながる。
食料の自給がいかに大事かということを痛感します。

SDGs「17の目標」を串刺しにする視点

イギリスでも食料不足が発生しています。
イギリスはEU(欧州連合)から離脱しました。
移民や難民が入って来て「高福祉」にただ乗りされたり、
ヨーロッパからの出稼ぎ労働者に自分たちの仕事が奪われてしまったりするのはイヤだからEUから離れよう。

その結果、イギリスでは野菜が入ってこない
という事態が起きているのです。
イギリスは土地が豊かではないので、
野菜はフランスなどから輸入
していました。
EUに入っていたときは問題なかったのですが、
離脱した途端フランスは輸出の手続きが必要
になります。
フランスの農家にしてみたら、
そんな面倒な手続きをするくらいなら
国内で売ってしまったほうがいいとなり、
イギリスが野菜不足に陥ったのです

それぞれの国とよい関係を維持することが、
結局は持続可能な開発ということにつながってきます。
しかしその一方で、もしものときに備えて、
それぞれの国が食料を確保しておかなければならない。

両にらみの取り組みが
これから求められてくるのだと思います。

貧困をなくそうとか、飢餓をゼロにしようとか、
一つひとつの目標を個別に見ていくと、
どれもごもっともなことばかり。
でも17項目を横串に刺すようにしていくと、
地球全体をどうすればよいのかが見えてきます。

結局は、私たちの生き方そのものが問われているのです。

『地球沸騰化』と言う言葉が報道されていますが
食料事情との関係性はどうなんでしょうか?

気候変動よって起こる食料への影響

気候変動が引き起こす気温の上昇や異常気象によって、
世界では食料へのさまざまな影響が懸念されています。

<穀物への影響>

トウモロコシをはじめ、小麦、大豆、米など主要な穀物の収穫量が低下する可能性があると指摘されています。

2016年、国連農業機関(FAO)が
発表した世界食糧農業白書によると、
気候変動が収穫量に及ぼす影響は
作物や地域によって差があり、
一部地域では収穫量が増加する
ケースもあるといいます。

ただ、熱帯地域では大幅な減少が予測され、
特に食料不安を抱える途上国では
深刻な影響が出る
と考えられています。
さらに、2030年ごろまでは
地球全体で見れば気候変動の
プラスの影響とマイナスの影響が釣り合うものの、
それ以降はマイナスの影響の方が
大きくなっていく
というのです。

もし気候変動への対策が行われなかったとすると、
2100年の穀物収穫量は気候変動が生じない場合と比べて、
トウモロコシで20〜45%、小麦で5〜50%、米で20〜30%、
大豆で30〜60%も減少する
という推計もあります。

<畜産物への影響>

気温上昇で頻繁に起こると予測されている熱波によって、
家畜へのストレス
が懸念されています。
暑さによって、家畜が自分の体温を
コントロールできなくなる
のです。

家畜が暑さによるストレスを受けると、
食欲や体重が低下するだけでなく、
病気に対する抵抗力が弱まります。
その結果、家畜が死んでしまったり、
繁殖が難しくなったりするといった影響が現れます。

また気温や降水量の変化によって、
家畜の病気や寄生虫の発生にも
変化が起こると予測
されています。

<魚介類への影響>

海水温の上昇によって、
一部魚類の減少や回遊ルートの変化、
疫病リスクが高まることなどが指摘
されています。

また、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が
海洋酸性化を引き起こし、
魚介類やマングローブ、サンゴ礁など、
漁業に関わる生態系の広範囲に
悪影響を及ぼす
とされています。

さらに、赤道直下付近の熱帯海域では、
海水温の上がり過ぎで漁獲量が
大幅に減少するとも予測されています。

食料問題を解決するには気候変動を抑えることが不可欠!

気候変動は気温上昇や異常気象を引き起こし、
穀物や畜産物、魚介類などの
あらゆる食料へ悪影響をもたらします。

日本においても、米の品質低下や収穫量の減少、
サンマの回遊ルートの変化や果物の着色不良などが、
現時点で報告されています。

こうした食料問題を解決するには、
気候変動を抑えるしかありません。

気候変動がこれ以上進行しないよう、
温室効果ガスの排出を減らす努力を
一人ひとりが行っていく必要があるといえるでしょう。

日本が今以上の貧困状態にならないように
世界中の食を守るために
地球温暖化対策に今一度
真剣に向き合ってみる事が大切です。

人間にとって欠かす事の出来ない食料。
輸入に頼らず自国で食料を維持できるためには
私達、個人個人に何ができるのでしょうか?

読んでいただき、ありがとうございます。
2030年問題は一応、この号を持って終わりますが
気が付いたことがあれば、また追加したいと思います。

自分たちの食料が危機に繋がっている事を自覚して頂く事が解決への道になると思います。
少しでも気付きの、お役に立てれば嬉しいです。

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