低学年と高学年
前回の記事で、「低学年なら」と書いたのですが、低学年と高学年は明らかに違うなと思っています。
もちろん個人差はありますので、全員がそうというわけではありません。
あくまでも傾向のお話です。
①低学年
低学年は、本人の困り度がストレートに現れやすいと思います。
もちろん、上手に困り感を隠している子は結構います。
現れていないから困っていないというところはイコールではありませんが、
困る行動をしてる時は、ほぼ、「子ども自身が困っている時」です。
勉強が分からないから邪魔する、
集団が苦しいからどこかに行く、
愛着形成が上手くいっていないから人に嫌なことをしてしまう、
友だちとうまく付き合えないからケンカする、
などです。
なので、「甘えてしまうから」「頑張ればできるから」などと言っている場合ではないと思っています。
子どもたちはとてもシンプルで、成長したいという本能もあって、できる時はやりたがります。
楽な方を提示しても、大変な方を選んだりします。
できる自分が嬉しいし、認めてほしい気持ちがいっぱいです。
だから、安心して甘えさせて、困っていることを解決してあげて大丈夫だと、経験上思っています。
自信を取り戻して、安心が手に入ったら、絶対にまたチャレンジします。
最初はちっちゃいチャレンジかもしれません。
そして、それが成功したら、絶対に先に進みます。
②高学年
高学年はそうシンプルにいきません。
今までの経験の積み重ねもあるし、感情も複雑化しているからです。
易き方に流れるはあり得ます。
困る行動をしている時は、ほぼ「子ども自身が困っている時」という原則は変わりませんが、
その困ってる理由が多岐に渡ってしまいます。
自分自身が自分自身を困らせている場合もあります。
その解決は一朝一夕にはいきません。
ストレスが溜まるから関係ない友だちをイジメる、
めんどくさいからやらなくていいように仕向ける、
自分の力を見せつけたいから悪いことして目立とうとする、
……
枚挙にいとまがありません。
今までの経験のせいで、大人の話を捻じ曲げて聞いてしまう子もいるし、
事実と違う認知になってしまう子もいます。
本当のことや気持ちをなかなか話してくれないかもしれません。
低学年とは比較にならないくらい、困り感を取り除くのに労力がかかるし、時間もかかるし、対応も単純にはいきません。
簡単に「大丈夫だから甘えさせてあげて」「希望を聞いてあげて」なんてことは言えません。
低学年とは違います。
いわば対大人と同じです。
③高学年を担任した先生が低学年を担任する時の注意点
そんな高学年を担任してから低学年をもつと、
「甘えさせてはいけない」
「希望を聞いていいのか分からない」
ということになってる先生が結構いるなと思います。
でも、「困り感を受け止めてもらえなかった」、
というここでの経験が、無力感や静かな不信感になって、高学年につながっていくのです。
低学年に無駄な叱責は害が大きいです。
何度も指導しても守れないルールは、「できない」のであって、甘えてるのではないのです。
できるならやるのが低学年です。
やって、「見て見て!できたよ!」と真っ直ぐに成長していきます。
発達に課題があっても同じです。
ちゃんと理解できて、自分でできることは、本来、嬉しいからです。
意図的な時、他人を傷つけるのが目的の時、自分が優位に立つための勝手なことをしてる時などは、もちろんしっかりとした指導が必要だと思いますが、
困ってる子を「甘やかしたらやらなくなる」という心配は、
少なくとも低学年には必要ないかなーと思ってます。