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半年ぶりの再会、痩せていた彼

【短編エッセイ第4弾】半年ぶりに会うことになった大好きなあの人
20分遅れで待ち合わせ場所に到着したら
ものすごく痩せたように見える彼

痩せた?と訊いたら
説明するよ、と
彼からの話がはじまった

2ヶ月前、急に体調に異変があり
入院したこと

体重が10キロ落ち、いつものように
歩いたり走ったりできなくなったこと

奥様が出張で不在予定だから
「独身気分が味わえるね」
「会いに行くね」
なんて言っていた4月のこと

私が熱を出して、会いに行けなくなった頃だ

会えるはずだったのに会えなくて
そのしばらくあと、彼の体調が
おかしくなった・・・

奥様はたまたま予定変更して
おうちにいたから
彼の異変にすぐ気づき、病院へ直行。
奥様がいたから迅速に対処できた

もし彼一人だったなら、病院へ行くのは
遅れていかもしれない
死んでいたかもしれなかった。

私を抱きしめて
腰のあたりを愛おしそうになでる
この人は
もしかしたら
もういないのかもしれなかった

ホテルの部屋に戻り
バルコニーから夕日がきれいに見えた

こうして二人で抱き合って夕日を眺めることなど
できなかったのかもしれない

サッカーの試合が気になる・・・とテレビをつけて
ムードを台無しにしつつも
私の身体を引き寄せる彼

見つめあってキスをしていたら
急にスイッチが入り
身体をひっくり返される
荒々しく腰をつかまれて下着をずらされ
そのまま前戯なしに挿入されたり、も
なつかしい感じすらした

彼がごくたまに漏らす喘ぎ声は
録音したいくらいだった

私の身体のいちばん奥深くに感じる
体温

私の細い手首をぐっと押さえつける彼の手

首のあたりをおさえつけて
私に身動きを許さない様子も
ただ愛おしかった

じっと私の肌を見つめ、
明るい室内で舐め回す感じの表情も
記憶に刻みたくて泣けてきた

「やっぱり他の人じゃなくて
あなたとしたいんだけど」

「泣いちゃだめだよ」と
そう言われるのはわかっているのに

涙が溢れた


快感に震えて涙が出ることもあるし
本当はこの人がいいのに、と
涙が出ることもある

感情がぐちゃぐちゃになっていた

帰る電車の時間を尋ねてくれた彼に
イライラした

隣にいてほしい
会いに来てほしい

初めてそう、「ワガママ」言ってみた
「仕事の会食とかは
いくらでもキャンセルできるんだから
パリに来るときは必ず連絡しろ」

と言ったのに
「今日はちょっと外せない予定があって
夕方まで詰まってる」だと、、、?
なんじゃそれ。

一人で散歩してたら
イケメンと意気投合して
楽しかった

まあいいわ

男は35億人もいる

でもやっぱり特別な人

縁を紡ぐことができたのは
ただ、会いたい、と強く思ったときに

直感に従う、勇気を出したからだった。

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