スレッタ・マーキュリーは自閉症なのか【水星の魔女】

2022年10月2日から毎週日曜に午後5時に放送されている
アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

その主人公である「スレッタ・マーキュリー」(以下スレッタ)

主人公の女の子、スレッタ・マーキュリー

彼女はもしかしたら自閉症的なキャラとして描かれているのではないか?
という点で考察してみる。
自閉症とは広汎性発達障害の一つで、アスペルガー症候群もそこに含む。

ではなぜスレッタが自閉症的であるのか?
それは自閉症の症状である性質が作中に良く登場するからだ。

在校生から囲まれるスレッタ

転校してきていきなりスレッタは在校生からその珍しさからイジられる。
「なんで編入してきたの?」
『お…お母さんが行きなさいって言うから…』
「じゃあその古そうなヘアバンドもお母さんが言うから着けてるの?」
「ふふっ」

『もちろんです!』

在校生は古いヘアバンドを馬鹿にしてるのであって母親がつけろと言ってるのかを聞いてるのではない。しかしスレッタはその意図を読みきれずに正直に答えてしまってる。

これは自閉症によくある相手の意図を読めないせいで皮肉を読み取れない典型である。

他者と関われないスレッタ

自閉症の特徴としてそのコミュニケーションの苦手意識から他者との付き合いが苦手というものがある
これは公式設定から既に言及されているが、
内向的な性格で、コミュニケーション能力がやや乏しい。
という部分があり、アニメ本編ではこの通りスレッタは始終他者との会話を苦手としているシーンがみられる。


在校生の尻をひっぱたいてしまうスレッタ

コミュニケーションが苦手故に突拍子もない行動に出るのも自閉症によく見られる行動で、スレッタは狼藉を働く在校生に対して

尻をひっぱ叩く

という行動で解決しようとする。
一応断っておくと狼藉を働いた在校生が悪いのであってスレッタは非常に勇気のある行動をしたシーンではある。

さてここで水星の魔女0話の話を挟む。
これは1話の前日譚で過去の話になる。
この話では赤髪の幼女が出てくるが彼女はエリィと呼ばれており直接的にスレッタと関係があるかは分からないがその容姿等からスレッタであろうと仮定してみる。

スレッタの過去?

実はこの0話でも自閉症の特徴的な描写がされている。
それは母親のエルノラがケーキのフォークを探すシーン
「あったよエリィ、これでしょ?」
と言いながら子供用のフォークを探し出す。

子供用のフォーク

「これでしょ?」ということはエリィがそのフォークを探して欲しいとねだったと言うことだが、これはエリィがお気に入りのフォークでなければ嫌だとごねたというシーンの裏返しでもあるだろう。
これもまた自閉症者に見られる典型的な特徴で、いつも使っている食器でいつも通りの形式でないとストレスを強く感じるという性質をもつ。

もっとも小さな子供は得てして強いこだわりがあるので考えすぎかもしれないが。
このこだわりはスレッタのガンダム「エアリアル」に対しても見られる。

トマトをかじるスレッタ

実はこのアニメはテレビではかなり挑戦的な描写をしている。
それは「吃音」だ。
いわゆるどもりとも言われている先天的な特徴で、「ど、ど、どうすればいいですか」というように言葉を繰り返してしまう症状を表す。
なぜこれが挑戦的かというと実はテレビ業界ではしばしば吃音描写はタブーとれたてきたからである。

かつて蚊取り線香で知られる金鳥のCMで「かかかか掛布さん、きききき金鳥・・・」というCMを流した所これが吃音を馬鹿にしているとクレームが入り台詞が差し替えられたことがある。
最近では「水曜日のダウンタウン」で芸人のインタレスティングたけし氏がしどろもどろにイジられるシーンにも見事にクレームが着た。

もっともインタレスティングたけし氏は紛れもなく吃音症の芸人で、これを隠してすらいない(本人は無滑舌芸人と名乗っているが)。この騒動には「ならば吃音芸人はテレビに出さなきゃ良いの?」とツイッターでも議論が白熱した。

婚約を迫られるスレッタ。水星っておかたいのね

テレビ番組では繊細な描写である吃音の描写だがスレッタは作中で普通に「あ・あ・ありがとうございます」というように喋っていて、基本的に彼女は焦ったシーンではほぼ必ず吃音が出ている。

これはなにげにテレビ業界では革新的なことで、もしかしたらテレビ業界の基準が変わったのか?と思う一方「スレッタはそもそも自閉症的なキャラで吃音も彼女の特性である」と制作側が意図している可能性は無いだろうか。

スレッタと初めて心を通わせたミオリネ・レンブラン

ポリティカル・コレクトネス(以下ポリコレ)。最近聞く言葉である。
本来の意味は「政治的正しさ」であり性別や宗教や年齢的に中立な表現を目指すもので例えば看護婦が看護師と名前を変えたのもポリコレの風潮に則ったものである。
アメリカでは「お姫様が太った黒人ではなぜダメなのか」「ヒーローがゲイではダメなのか?」と次々と様々な属性のキャラが登場してそのたびに色々と話題になっている。

日本のアニメはそういった諸外国から見ると「非常に遅れている」とよく批判される。主人公は概ねイケメンでヒロインは従順で痩せていて胸が大きいとポリコレから見ると目の敵になりそうな作品が非常に多いためだ。

しかし日本のアニメにも昨今は徐々に変わりつつある。水星の魔女では肌が黒いキャラは複数おり、そもそもスレッタ自体浅黒い肌を持っている。登場人物のリリッケはふくよかな体つきで男子にモテモテという設定である。

百合を見守るエアリアル

そういう中で「スレッタ・マーキュリー」という自閉症的な特性を持ちつつもそれを魅力として昇華する。これは日本流の「ポリコレ」への回答なのかもしれない。

画像は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」©創通・サンライズ・MBS より。

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