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小説 サクラコサン
(前書き) このお話は 「カロンと不思議な仲間達」と途中で繋がっています。
魔女のランさんとライラさんは、実はサクラコサンの中でも登場しています。
「カロンと不思議な仲間達」がまだ第2章の間に、既に出来上がっている「サクラコサン」をどんどんアップさせたいと思います。
初めはハイティーンの純愛物語ですが、あれよあれよと言ううちに不思議な世界へと突入してしまいます。
サクラコサン 第1話
桜子さんは 桜満開の時に生まれたから この名前が付けられたと思うでしょう? でも違うのです。
この名前は 彼女のおじいちゃんが初孫が授かった喜びでつけた名前でした。
おじいちゃんにとって 桜子という名前は最高の象徴でした。何故?それは今は内緒にしておきましょう。
桜子さんは9月生まれです。だから彼女の両親は桜子という季節ハズレの命名に何回かは反対しましたが、おじいちゃんは頑として譲らず しまいには
サクラコサン 第2話
大好きなおじいちゃんが亡くなってから桜子さんは悲しくて寂しくて毎日泣いていましたが、49日が過ぎ 一周忌が過ぎ…だんだんとそよ風のようにおじいちゃんのことを感じとることができるようになりました。おじいちゃんを思い出すということはありませんでした。何故ならいつもおじいちゃんと一緒にいる感覚になっていたからです。
桜子さんが15歳の時、桜子さんは同級生の男の子に恋をしました。その男の子は 雰囲気がおじ
サクラコサン 第3話
桜子さんが気がついた時は 保健室のベッドの中でした。
そして心配そうな顔で 親友の カナエとエリーが脇の椅子に座っていました。
桜子さんが起き上がろうとしたとき2人は同時に 「大丈夫!?」と言いました。
その後 2人は桜子さんが気を失ってから後のことを説明してくれました。桜子さんはベッドに起き上がった姿勢で聞きました。
気を失って倒れ込んで来た桜子さんを、
「長谷川君は サ-コをお姫様抱っこ
サクラコサン 第4話
桜子さん達が帰り支度をしている間 、山田先生は 長谷川君が忘れて置いていった卒業証書を持って どうしようかしらと考えていました。 すると そこへ 噂の長谷川君がいきせき切って 入って来ました。皆がまだ居るのを見て安心したかのような表情をしました。
「あぁ、良かった! ハイ卒業証書、大切にしてね!」と言って 山田先生は長谷川君に渡しました。
「あっ ぼくのですか? 忘れていました! ありがとうござい
サクラコサン 第5話
長谷川君が押す自転車、その後部席には桜子さんが恥ずかしそうにうつむき座っていました。
長谷川君は 桜子さんの体調を気遣ってか ゆっくりと押して進めました。
桜子さんの家は学区域の中でも一番遠い所にありました。
長谷川君は、
「僕の好きな道を通って 桜子さんのうちへ行ってもいい?」と前を向いたまま尋ねました。
「長谷川君、私の家知ってるの?」と桜子さんがびっくりして言うと、
「うん知ってる。あの緑の
サクラコサン 第6話
~長谷川君の答辞~
私は 今日の卒業式で答辞を読むことになり 一体なにを語ればよいのか考えました。
それで 三年前の入学式の日のことをもう一度 振り返ってみたいと思いました。 私は一年A組になりました。担任の先生は 今は亡き大西先生でした。大西先生は 私達が教室に入ると まず出席簿を開いて、ひとりひとり目を交わしながら名前を呼びました。そしてその後 先生はまっすぐに姿勢を正してから話し始めました。
サクラコサン 第7話
卒業式の後 桜子さんと長谷川君は三回デートをすることが出来ました。この三回は2人にとって非常に素晴らしい思い出となりました。 それまで2人は一度もデートをした経験がありませんでした。こんなに楽しいものなら、もっと早くから告白していれば良かったと長谷川君は後悔しましたが、桜子さんは ずっと遠くから眺めていた時も結構幸せだったので、そうは感じませんでした。長い間、想い続けていたからこそこの感動があるの
もっとみるサクラコサン 第8話
初めてのデートが終わった日の夜 長谷川君は桜子さんの携帯電話に電話をしました。あまりに楽しかったので興奮して眠れなかったのです。
桜子さんも眠れず ずっとぼんやりしていました。
急に鳴った電話の向こうから長谷川君は、
「こんな遅くに電話してごめん。でも 本当に楽しかった! ありがとう。また会える?」と言いました。桜子さんは、
「私もとても楽しかったです!ありがとう。長谷川君の予定が大丈夫なら 私
サクラコサン 第9話
~桜子さんの作文~
"祖父"
2年B組 岡野桜子
母方の祖父を私はいつも"おじいちゃん"と呼んでいました。おじいちゃんは私のことをいつも"桜子さん"と呼んでくれました。
私が13歳の時、心臓発作で突然亡くなりました。亡くなるその日の朝までとても元気でした。 学校へ行く私を
「行ってらっしゃい!」と大きな声で手を振って見送ってくれました。
おじいちゃんは79歳で亡くなるまでずっと私を育ててくれまし
サクラコサン 第10話
~二度目のデート~
約束通り 桜子さんは長谷川君を銀座へ案内しました。
それは桜の花が散り始めた4月初めの日曜日でした。 長谷川君はあと一週間足らずで日本を立ちます。 2人にとっては今日という日がとても貴重な日のように思えました。
2人は有楽町のマリオンの大時計の前で待ち合わせました。地元の駅で待ち合わせるより 有楽町の方がいかにもデートという感じがするのでした。
約束の10時より15分前に着い
サクラコサン 第11話
寒くも暑くもない 穏やかな日でした。
2人はゆっくりと日比谷公園の方へ向かって歩き出しました。えっ!銀座じぁないの?ですか…実は 桜子さんはおじいちゃんと一緒の散歩の時、直接 銀座へ行ったことがなかったのです。大抵 動物園や遊園地や公園から最後に銀座に来るというコースでした。
だから今日は日比谷公園を選んだのです。
まず噴水の前で写真を撮りました。美しい女の人が一人で噴水を見ていました。桜子さん達
サクラコサン 第12話
桜子さんは公園の中央にある松本楼へ長谷川君を連れて行きました。洋食レストランです。 おじいちゃんとよくここの一階のテラスで食事やお茶をしました。そろそろお昼です。お腹もすいて来ました。
2人はテラスのテーブルに座りました。
テラスの前には大きな銀杏の木があります。まだ若葉が出て来ませんが とても幹が太くて威厳があります。 おじいちゃんはこの銀杏の大樹が大好きでした。
「この木の中から何か不思議な力
サクラコサン 第13話
桜子さんは帝国ホテルの前を通り、ガードをくぐって泰明小学校の前に出ました。蔦のからまる趣のある校舎をしばし2人で眺めました。
この通りはみゆき通りという名前です。銀座の中央通りまでみゆき通りをゆっくりと歩きました。
中央通りは日曜日なので歩行者天国になっていました。沢山の人々が買い物をしたり、散歩をしたりして賑わっていました。
2人は道の所々にセットしてあるパラソル付きテーブルの椅子に座りました