サクラコサン 第10話

~二度目のデート~
約束通り 桜子さんは長谷川君を銀座へ案内しました。
それは桜の花が散り始めた4月初めの日曜日でした。 長谷川君はあと一週間足らずで日本を立ちます。 2人にとっては今日という日がとても貴重な日のように思えました。
2人は有楽町のマリオンの大時計の前で待ち合わせました。地元の駅で待ち合わせるより 有楽町の方がいかにもデートという感じがするのでした。
約束の10時より15分前に着いた桜子さんは もう既に到着していて立って読書をしている長谷川君を見てさすが!と思いました。
「ごめんなさい!待たせてしまって…」と小走りに近づいて来た桜子さんを見ると とても嬉しそうな表情で 「僕も今着いたんだ。」と言いました。すると 隣でやはり人を待っているらしい腰の曲がった老人が ハッハッと笑い 、
「とんでもない!!この青年は、もうかれこれ 一時間近くも待っていましたよ!」と桜子さんに言いました。そして、「いいねえ!若いってことは!」とため息混じりに言いました。
長谷川君は、頭をかきながら、その老人に
「どうも…」といい、桜子さんを即して足早に去りました。
「ごめんなさい、一時間も待たせてしまったのね!」と桜子さん。
「僕がせっかちだから悪いんだよ、それに待っているのも楽しいものだよ!」と長谷川君。
このようにして楽しい一日が始まりました。
続く

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