メーテルと行く”Galactic Steam Locomotive”の旅!
旅の終わりはいつも哀しいもの。
「メーテル、君もいつかいなくなっちゃうの?」
「私はどこへも行かないわ!」
それでも、ジョバンニは心配そうにメーテルから目を離せないでいました。
「速く着替えてらっしゃい」
いつの間にか、夏の装いになったメーテルに促されて着替えをしたジョバンニが席につくと、後ろの席から声がします。
「ああ、カムパネルラ! いるんじゃないか。君が消えてしまったと思ってたんだよ。今までどこにいたの?」
すると、カムパネルラは哀しそうな顔つきをして言うのです。
「ごめん。もう君といっしょに行くことはできないんだ」
プリオシン海岸に沿って飛んでいた白鳥が、いつの間にか車内へ入ってくると、カムパネルラの隣の席に腰掛けて優しく話しかけるのです。
「まあ、あの烏(からす)。」
「メーテル、君だっていつかいなくなるのでしょう?」
「いなくなりはしないわ」
元の黒いコートに戻ったメーテルが答えます。しかし、その頬を伝う涙が彼女の言葉を裏切っていました。
「メーテルってだれ! うわきしてる?」
目の前のメーテルの姿が溶け出し、みなれた女性の姿に変化した。
「寝ぼけていたんだ」
「いつまでも寝てると遅刻しちゃうわよ」
ジョバンニは慌てて起き上がり、身支度を始めた。
旅の終わりはいつも哀しいもの。それが新たな旅の始まりだとしても。
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