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バズりツイートを解説!重曹で背中ニキビが治るって本当?

気温が高くなり肌見せファッションなどを楽しめる季節になってきました♪
と同時に、気になるのは自分では見えない部分のお肌状態。

その代表部位が背中でしょうか。
男女ともに背中のニキビが気になるというドクターシーラボの調査結果¹⁾もありますし、
「自分の背中に自信がない」と不安な方も結構多いのではないでしょうか?

他人からの目を気にせず、綺麗な肌で色んなオシャレを楽しみたいですよね!

ただし、治したいのになかなか治らなかったり、繰り返したりする背中ニキビ。。。
アンケート¹⁾によると、背中ニキビができてもケアの仕方が分からない人が約半数もいるとのこと。

どのようにケアすればいいのかわからず、「これを使えば背中ニキビが撃退できる!」というSNS投稿をついつい信じて、投稿されている商品を藁にもすがる気持ちで使ってみたけど、全然効果がなかった、なんて声も聞こえてきています。

そこで今回は、バズりツイート「重曹つるつる石鹸で背中ニキビが治る」は本当かの真実と正しいケア方法について解説していきます。


バズりツイートの商品『重層つるつる石鹸』を使うと背中ニキビが治るって本当?

背中ニキビに悩む皆さんは、このツイートを目にしたことはありませんか?

『重曹つるつる石鹸』がすごい!というツイート²⁾。
一時期話題になり、多くの注目を集めていました。

重層つるつる石鹼の背中ニキビに対する口コミ
引用:@nana_challengeの投稿より, X²⁾(参照:2024/6/17)

重曹つるつる石鹸を使うと背中ニキビが治るって本当?の真実ですが…
結論からお話すると、ニキビを治すというよりも、出来にくくする可能性がある商品とは言えそうです。

重曹(炭酸水素ナトリウム)は水に溶けると弱いアルカリ性の性質を持つため、酸性汚れを中和し、油汚れや皮脂汚れなどを落とす効果があります。

ニキビが出来る原因のひとつとして、皮脂の過剰分泌があります。
過剰に分泌された皮脂と角層が絡まることで角栓となり、毛穴が詰まってアクネ菌が増殖しニキビができます。
角栓の構成成分には皮脂が含まれていることから、重曹によりその皮脂を除去することでニキビをできにくくする可能性は考えられます。

重曹つるつる石鹸によって背中ニキビが改善したと感じた方は、過剰な皮脂分泌が原因だったのかもしれませんね。
ただ、背中ニキビに悩む全員が重曹で改善されるわけではなさそうです。
その理由については、背中ニキビの原因も含めて説明していきます。

背中ニキビの原因は、実は大きく分けて2種類ある

毛穴の奥、毛根を包んでいる部分(毛包)に起こる炎症を総称して「毛包炎」と言いますが、その一部を私たちは「ニキビ」と呼んでいます。

毛穴が赤くブツブツしている発疹のことをすべて「ニキビ」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、医学的には細かく分類されています。

背中にできる赤いブツブツも原因によって分類されており、主なものを2つご紹介します。

1つは、顔ニキビと同じ尋常性ざ瘡。
もう1つは、マラセチア毛包炎です。

尋常性ざ瘡⁴⁾

尋常性ざ瘡は、毛穴を中心とした炎症性疾患です。
いわゆる多くの人に認識されているニキビで毛穴の詰まりにより発症します。
毛穴には脂腺という脂を出す腺があり、脂腺から皮脂が過剰に分泌されたり、角質肥厚などによって毛穴の出口が角化されてしまうと、面皰(コメド)という触るとザラザラとしたニキビの初期症状が生じます。
さらに、毛穴の中に常在しているアクネ菌が増殖して炎症を起こし、赤く腫れあがった症状が生じます。
面皰(コメド)を初発疹とした毛包脂腺系の炎症症状を尋常性ざ瘡と言います。

マラセチア毛包炎⁵⁾⁶⁾

マラセチア毛包炎も炎症性疾患です。
尋常性ざ瘡とは違い、真菌が毛穴に侵入することで発症します。
暑い環境下で運動することや洗浄不足、他症状を治療するための副腎皮質ホルモン剤の内服や、ステロイド外用剤や内服抗生物質などによる免疫能の低下、皮膚の常在菌の分布が変化することによってマラセチア菌(真菌)が増殖します。
その増殖したマラセチア菌が毛穴から侵入することで、マラセチア毛包炎が生じ、8割近くが背部、次いで前胸部や上腕にも生じます。

このように、尋常性ざ瘡とマラセチア毛包炎とで原因菌も異なります。
また、尋常性ざ瘡は毛穴の詰まりが原因で発症してしまうのに対し、マラセチア毛包炎はマラセチア菌(真菌)が増殖しやすい環境下が原因で発症します。
そのため、症状別に改善方法も異なり、何か1つの商品が全ての背中ニキビを改善できるというわけではないのです。

では、背中ニキビとして認識されている2つの症状(尋常性ざ瘡、マラセチア毛包炎)をケアするには、どのような方法があるのでしょうか。


背中ニキビのケア方法

上記でお話したように、背中のブツブツを見て、一般的にニキビと呼ばれる尋常性ざ瘡なのか、マラセチア毛包炎なのかは、素人には判断がつきません。
原因によって治療方法が異なるため、長期間に渡って悩んでいたり、しっかりと改善させるためには、医療機関を受診して適切な治療を受けることをおすすめします。

ですが、背中のブツブツを生じさせないように日頃からケアしておくことも大切です。

毛穴を詰まらせないケア

先ほどお伝えした通り、皮脂や角質が毛穴に詰まることは背中ニキビの原因になり得ます。
また、シャンプーやリンスの洗い残しがあることでも背中ニキビは生じる可能性があります。
そのため、普段から「皮脂の過剰分泌を抑える」「角質肥厚にならないようにターンオーバーを整える」「洗い残しがないようにしっかりとすすぐ」などの工夫は必要です。
重曹石鹸で背中を洗うことは、過剰に分泌されてしまった皮脂を洗浄するのに役立っていると考えられます。

● 皮脂の過剰分泌を抑えるケア
皮脂が過剰に分泌される原因には、脂質の取りすぎやホルモンバランスなどが関係しています。
脂質を多く含む食品を取りすぎると皮脂の分泌量が増加する可能性があるため、脂質を多く含む食品の摂取は抑え、皮脂の分泌量をコントロールする働きを持つビタミンB2・B6を含む食品を積極的に摂取することをオススメします。例えば、焼き肉を食べたいときは脂質の多いカルビだけではなく、ビタミン類の多いレバー類に少し置き換えてみるなどを心がけてください。
また、ストレスによってホルモンバランスが乱れてしまう可能性があるため、普段から適度にストレスを発散するように心がけましょう。

● ターンオーバーを整えるケア
ターンオーバーが乱れる原因には、生活習慣の乱れやスキンケア方法、紫外線などが関係しています。
睡眠不足や不規則な食事、運動不足などの生活習慣の乱れによってお肌に必要な栄養が不足する、背中を洗う時のこすり過ぎや洗浄不足、保湿不足や紫外線による乾燥によって、新しい角層細胞が未熟なまま生まれたり、排出すべき古い角層がはがれずにとどまってしまったりします。
そのため、普段から生活習慣を整えるように意識することや十分に保湿して乾燥しないようにすることをオススメします。

● 洗浄方法
皮脂がしっかりと落とせていなかったり、洗浄剤が肌に残ってしまうことも背中ニキビの原因になります。
洗い残しがないようにしっかりとすすぐことも大事ですが、それだけではなく洗う順番も大切です。
例えば、身体を洗浄剤で洗った後にシャンプーやリンスをしてしまうと肌に残った洗浄剤によって炎症が起きたりしてしまう可能性があります。そのため、洗髪後に体を洗う、や、湯船につかるなどし、洗浄剤などが残らないようにしましょう。

菌を増殖させないケア

アクネ菌やマラセチア菌などが増殖することでも背中ニキビが生じる原因になり得ます。
そのため、増殖する菌を抑制することも重要です。
汗を放置すると菌が増殖する可能性があるので、汗をかいたらこまめに拭き取る、汗をかいた衣類やシーツはすぐ替えるなどし、こまめに洗濯することをお勧めします。
最近では、背中ニキビ用の抗菌スプレーなども販売されているので、普段から抗菌し、背中ニキビを未然に防ぐケアを取り入れることもおススメです。


今回は、背中ニキビを改善するケア方法に着目して解説しました。
残念ながら、ご自身では背中ニキビの種類を判断することはできません。
また、何か1つの商品で改善できるものではないようです。
なので、上記のケア方法をいろいろと組み合わせながら焦らずじっくり対応してみてください。

これからも皆さんが普段から疑問に思っていることを調査していきますので、これは調べてほしい!ということがあればぜひコメント欄にお願いします。
COCOlibraryが徹底的に検証いたします。

(執筆:まなか)


参考文献)
1.露出が多くなる夏はご注意!放っておくと、ドン引きされているかも。実はムダ毛より見られている“●●●●●”!, 株式会社ドクターシーラボ, プレスリリース(参照:2024/6/17)
2.@nana_challengeの投稿より, X(参照:2024/6/17)
3.290) 炭酸水素ナトリウム(重曹)使用による清拭が皮膚に与える影響, 鶴木恭子, 日本看護研究学会雑誌, 33 巻 3号, (2010)
4.尋常性痤瘡治療ガイドライン, 山﨑研志ら, 日皮学誌, 133(3), 407-450, (2023)
5.マラセチア毛包炎, 松田哲夫ら, Jpn. J. Med. Mycol. Vol. 34, 425-428, ISSN 0916-4804, (1993)
6.標準皮膚科学, 橋本隆ら, 医学書院, 第10版, 450-451, (2013)