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24.02.08 『新釈 走れメロス 他四篇』

私は森見登美彦さんの小説が好きだ。
京都の町を駆け回る、腐れ大学生のうじうじした非日常が、どの作品でも愉快で、そこが好きだ。

中でもこの小説が一等好きである。
理由は明快、私は文豪の本も大好きであるからだ。この本は、『山月記』、『藪の中』、『走れメロス』、『桜の森の満開の下』、『百物語』それぞれの作品の、言うなればパロディである。
どの作品も原作の言葉の選択がもともと気に入っているが、この『新釈 走れメロス 他四篇』でも原作の美しい言葉がそのまま生きている。そのため、読み比べるのも、とても楽しい。

さらに、森見登美彦さんによって現代に転生した登場人物たちは、生き生きとしていて、大変愉快だ。京都という舞台には、フィクションのような出来事が起きても、あり得そうと考えさせられる力がある。彼のファンならお馴染みのその街で、大暴れする大学生たちの様子に、自分も何でもできるのではないかという気にさせられる。

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