スポーツ観戦とメンタルヘルス

ラグビーW杯に湧き上がった今年の秋、どの試合も手に汗握る緊張感もあれば、華麗なパスワークにより決められたトライの瞬間の高揚感もあった。そのとき食い入るように試合を観ていた人たちの脳内には、間違いなく「脳内麻薬」が溢れだしていたことだろう。
スポーツ、また勝敗を決める試合によってもたらされる脳内麻薬は、精神面に大きな影響を与える。気分の高揚、多幸感により前向きな気持ちになれるのだ。しかしその「薬」の効果は長くは続かない。切れてしまうとまた求めるようになる。「早く試合が観たい」「あの勝利の瞬間をもう一度味わいたい」。これは観客だけじゃなく、プレイヤーにも起こっていることだと思う。

私と主人はプロ野球が好きだ。贔屓のチームは地元北海道の北海道日本ハムファイターズだが、パ・リーグ全体が好きだ。ペナントシーズンは夫婦の会話の内容の半分は野球のことになる。逆転サヨナラホームランの瞬間なんかはまさに脳内麻薬がドバドバ出ていて、その日中は何度も反芻しては浮かれ気分、鬱も影を潜める。だが負けが続くとどうだろう。ミスに対して愚痴っぽくなり、イライラし始める。選手を悪く言うことも聞くことも趣味ではないので、なるべく聞かないようにしているが、歯車が噛み合わず負け試合ばかりて順位が転落していく頃は、また鬱がすぐそばまで来て、たまに顔を出すようになってしまっていた。

人の雰囲気に気分が影響されやすい私は、選手の表情から感情が伝染してくる。ホームランを打って嬉しそうにダイヤモンドを一周し、ベンチでチームメイトと歓喜に湧いている瞬間はこちらも嬉しいし、ピッチングが奮わず悔しそうにマウンドを降りる姿を見ると悔しくも悲しくもなる。負けが混んだ時期のベンチの暗い雰囲気に「今日もだめなのか」とマイナス思考に引きずられてしまう。

このように、スポーツ観戦は精神面に多大な影響を与える。今回のラグビー日本代表の歴史に残る激闘、活躍はほんとに多くの人を幸せにしてくれたことだろう。今日行われたというラグビー日本代表によるパレードもの大盛況ぶりが、それを物語っている。私も幸せにしてもらった一人だ。ありがとう、ラグビー日本代表。また4年後が楽しみだ。

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