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歯を洗う

 義母は歯磨きのことを『歯を洗う』と言います。大阪の出身で80代です、私は他では聞いたことのない言い方です。
『磨く』が染み込んだ耳にはものすごく違和感があったんですが、歯の磨き方学習においてはこっちの言い方のほうが良いんじゃないか、最近はそう思うようになりました。

 というのも歯茎との境目にブラシの角を45度で当てて左右に細かくブラッシングするヤツが、気合い入れてやりすぎると歯茎が下がって来てしまう原因になり得るっていうんですね。強く『磨く』意識だと傷付けてしまうという…最近になって歯科助手の方に言われて軽く衝撃でした。

ブラッシングの流行りみたいなものがあって、ローリング法だったり、前出の45度は2000年ごろの歯医者通いで薦められました。
現在歳を食ったせいもあって『やさしく磨いてください』と言われることが増えたんですよね、それは歯茎に対してもだし、歯自体もすり減るから、という理由で。

時代だったり通った歯医者によってやり方が変わって来るっていうのもあるでしょうし、俗説や噂に聞いた方法を取り込んだり、それは各個人で少しずつ違うと思いますが、子供の頃に植え付けられた『歯を磨く』という『ガシガシこすって綺麗にしよう』という意識がどうしても、歯間の汚れを落とすという重要事項を薄いものにしてたんじゃないかと思ったのでした。

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話変わって、今まで行った歯医者で一番衝撃的だったのは、差し歯が取れて駆け込んだところでした。妻からはあとで『あそこ?絶対入りたくない!』と言われた古ぼけた幽霊屋敷みたいな外観でした。

そこまであと少しというところで、近所のパチンコ屋からコンビニ袋を下げたサンダル履きのオッサンがくわえタバコで出て来て、私の前を歩く形になりました。そして左折、そこの歯医者に先に入って行きました。
中が暗いので、私が(オッサン入って行ったけど営業してんのかな?)としばらく躊躇してから入口のドアを開けた時にはオッサンはいませんでした。他に誰も客がいなかったのですぐに診察室へ入れました。

ーー受付の老婆に保険証を出し、しばらくして呼ばれて診察室へ入ると、パチンコ屋から出て来たさっきのオッサンが、町で一番不潔な中華屋さんが着てるような白衣を着て現れ「そこ座って」と言いました。実のところ、その予感は持ってました。

手袋もせずに接着してくれた差し歯、ヤニ臭かったなあ…ちなみに診察室に昭和中期っぽい白い洗面台があって、黒ずんだキレイキレイのハンドソープが置いてありました。実はその他にもいろいろあったんですが、あまりに不衛生なのでここまでとします。2006年ぐらいの事だったと思います。


とにかくやらないので、何でもいいから雑多に積んで行こうじゃないかと決めました。天赦日に。