見出し画像

隔離生活の中での小さな楽しいやりとり

コロナウイルスによる自宅隔離も29日目。

外出ができないのが残念なくらい、外はとても気持ちの良い陽気で春らしい日が続いている。

イタリアのアパートはベランダも広い。私が以前住んでいたアパートでは、この時期には毎日隣人の男性が上裸で新聞を読みながら日焼けをしていた。

今の私の家は、大通り側と中庭側に二箇所ベランダがあり、今の季節は中庭側に陽の光がたくさん入ってくる。ふと思い立ち、昨日はそこに小椅子を置いてカフェを飲みながら本を読むことにした。

中庭を中心にコの字形に建物が並んでいるので、ベランダ越しに近隣住民の動向が見える。また建物の構造上、一枚の仕切りを隔てて真隣の家とベランダが繋がっており、また向かい隣の家のキッチンの小窓が私のいるベランダのすぐ真正面に見えてくる。

仕切りを隔てて真隣に住んでいるのは、若い夫婦と二歳くらいの女の子の三人家族だ。自宅隔離になってからは、いつもベランダで子どもを遊ばせていて、数を数えたり歌謡曲を歌ったりと楽しそうな声が聞こえてくる。

向かい隣に住んでいるのは60代くらいの老夫婦で、婦人は外で会う度にいつも声をかけてくれていた。私が拙いイタリア語で話しても和かに聞いてくれる、とても優しい人だ。

私が陽を浴びながら本を読んでいると、婦人が小さなキッチンの窓から顔を出して話しかけてきた。

挨拶を交わした後、「見て、このマスク」と可愛らしい紫の水玉のポップなマスクを見せてきた。「素敵ですね」と言うと、「あなたがいつも付けている緑色のマスク、あれ素敵ね!どこで買ったの?」と聞かれた。飛行機内で付けるために一枚だけ日本から持ってきた3D立体マスクだった。「残念ながら、日本で買ってきたものです。今はもう(日本でも)購入できない…」と言うと「あら〜そうよね。」と残念そうに答えた。

その後軽く世間話をして、それでは元気で、と挨拶を交わして別れた。

また本を読んでいると、斜め上の階のマダムにも話しかけられた。彼女も窓を全開にし、春の陽気を気持ちよさそうに感じていた。

日本での生活で、私はこのような経験をしたことがなかった。同じマンションの住民と会っても、どこかよそよそしく振る舞ってしまうくらいだ。都会だからと言われればそうかもしれないが、ミラノもイタリアの中では都会であり、南イタリア人からすれば「あんなに冷たい人たちはいない」と言うくらいだ。

おしゃべり好きのイタリア人は、この状況でもいかにコミュニケーションを取ろうかと考え、それを楽しもうとしている。私にとっても、窓やベランダ越しでする会話はリフレッシュになったし、人と人との繋がりを感じられるとても気持ちの良いものだった。(読書はなかなか進まないが…笑)

次はどんな話ができるかな?もっとイタリア語を話せるようにならないと。

そんなことを考えながら、楽しみにしている自分がいるのだった。

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?