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呪縛をとかなくては。

私の母はとにかく美しくて八方美人だ。そして健康で働き者。分刻みでタスクをこなす。勘もいいから理屈なんてなくても正しい判断をする。ミセスパーフェクト。

ただ、私に対しては恐怖を感じる程怒る。
『叱る』でなく『怒る』。
 弟や父に対してあんなに怒り狂う母を見たことがない。
そして40才を超えた今の私にも全力で怒ってくる。
 母は無意識に日頃の八方美人で飲み込んだ不満や、父や、弟に対して怒れなかったエネルギーを私にむかって放出しているではないかと最近思うようになった。
とにかく建設的な怒りではない。
やってしまった事に対してただただ怒る。
 私が悪い事は確かだけれど、たいしておおごとにならなかったことでも大事件を起こしたかのように怒り狂う。
 母の中には『やってしまった事から今後どうするか』がまったくないため、やらかしてしまったらそこで一完の終わり。
 で、怒り狂ったあと、しばらくするとケロッと、何もなかったかのように声をかけてくる。
いくらこっちかスッキリしなくても『もう終わったこと』で片付けられる。

だからいつも

『ミスしたら終わり』

『失敗する事が悪いこと』

無意識のうちに刷り込まれていた。

ミスする事が怖くて、失敗するかもしれないからやらない。いくらリカバリーできても『ミスはミス』『ミスをした私がとにかく悪い』から逃れられない。

念入りに準備してもミスする時はあるし、もちろんうっかりミスだってある。大人だから、リカバリーの方法も詫びる方法も、他人を許す事もできる。

だけど、何度繰り返しても『ミスした自分』を許せないでいる。華麗にリカバリーできた自分を誉めてあげる事なんてできずにいる。いつまでもミスしたことを気にし続けている。

ついこの間、娘の塾の送迎時間を間違えて烈火のごとく怒られた。でも娘はちゃんと授業を受けられたので大きな被害はなかった。でも、やっぱり、わざとでなくても、おおごとにならなくても私はミスしたことを盛大に怒られるのだ。

ぶつけられた怒りをそのまま怒りで返した。『勘違いしてただけじゃん!そんなに怒る事じゃない』と。

もちろん倍になって更に怒られた。その後『もういい!私が連れて行くから!』と娘を連れて私の前から姿を消した。娘曰わく、車の中でも私への文句は収まらなかったらしい。

娘に申し訳ないことをしてしまったし、私も母の事をわかっていながら、更に火に油を注ぐような言い返しをして大人げなさすぎたな、と思う。

次に怒られる時がきたら冷静に私の思いを伝えてみよう。できるかな。

こうやって言葉にして自分から切り離してみると随分明確になるものだとわかった。そうか、私は母親に幾重にも呪縛されているのか。だとしたら、いい加減いくつも私にまとわりついた母の呪縛は解かなくてはいけない。

認めてもらった事がなく、ろくに会話したこともなく、誉めてももらえず、叱られて、比べられて、お姉ちゃんだから、女の子だがらと育てられた私は私をちっとも自分を好きになれない。他者と関わる方法も話しかけ方も知らずに大きくなった。ただただからっぽの人間だった。

私が私を認めてあげるためにはきっと必要なことなのだ。

私として40年以上生きているのに、一体私は誰の人生を生きているのだろう。

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