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コロナ禍で横行する副業詐欺

 ステイホームの影響もあって副業に関心を持つ人が増え、「プログラミング」「ウェブデザイン」「英語を使った在宅ワーク」などの「在宅で稼げる」系の副業情報商材が人気だ。中にはまともな教材もあるかもしれないが、「楽して儲かる」「簡単に高収入」「1日1時間の作業でサクッと収入」などと煽る講座にはろくなものがない。

 浅野正憲という人物が立ち上げた「在宅翻訳アカデミー(立ち上げ当初の名称は「在宅翻訳起業コミュニティ)」という怪しい翻訳講座は、「高い英語力がなくてもできる」「TOEIC500点あればOK」「パソコンスキル一切不要」「1日1時間の作業で月10万円の副業」などの広告をネットで展開して消費者をあおり、2018年6月からの募集で現在までに1600人を超える会員を集め、5億円超を売り上げた。

 私の本業はフリーランスの翻訳者で、この悪質な翻訳情報商材に「ちょっとこれはどうにも許せない」という気持ちが働いて今年初頭からSNSやブログなどで警戒を呼び掛けてきた。

 短期間で翻訳会社の翻訳者採用試験(トライアル)に合格させることを最大の目玉としたこの講座の「秘密」は何かというと、翻訳会社へ応募する際の経歴書を「盛って」書かせて書類選考を通過させ、とにかくたくさんの翻訳会社の試験を受けさせるというものだ。「数撃ちゃ当たる」方式である。翻訳会社も迷惑この上ない。そんなやり方で合格した人に仕事の依頼が続くはずもなく、実際、トライアル合格後に継続的に仕事を得ている人がどのくらいいるのかは全く明らかにされていない。

 この翻訳講座の問題(いわゆる「翻訳コミュニティ問題」)に対しては、私だけでなく数多くの現役翻訳者たちが個人で警戒を呼び掛けてきたが、一向に収まらない事態に業界団体もついに動いた。2020年12月11日付けで「日本翻訳連盟からのお知らせ」として注意喚起文書が掲載された。

 悪質な講座に入会してしまってから返金を求めている元会員たちは長い戦いとなっている。中にはいまだに返金されない人もいるし、「情報商材に引っかかってしまったのは自分が悪いのだから」と泣き寝入りしてしまっている人もいる。

 私を含む有志が詐欺被害に遭った人たちの相談に乗っている。彼らも「相談に乗るので連絡をください」とTwitter投稿で呼びかけているのでぜひ覗いてもらいたい。

[翻訳情報商材に関する相談はこちらから]

(筆者Twitter ID: @yukaringlish) DM開放中

(筆者ウェブサイト: https://officeykr.jimdofree.com/) ビジネス用LINE@より


 

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