ただより高いものはない
高校生の時、クラスメートの半数近くが通っている学習塾があった。みんなが行っているので私も行きたかったけれど月謝が高かったので親にはダメだと言われていた。家にセールスの電話もかかってきて、「入っても入らなくてもいいから見学だけでもおいで」と言われたが、親には見学にも行ってはダメだと言われた。「見学に行ったら行きたくなるでしょ」と言うのだ。どうせ行かないのに見学になど行く意味はない、うちにはそんな高い塾に行かせる余裕はないからと。毎月月謝のいる塾はダメだけど、その代わりに夏休みの夏期講習には行かせてあげるからそれで我慢しなさいと。
母のこの考え方が今の私にも染みついている。
「買うつもりのない食品の試食は食べるな」
「買うつもりのない化粧品コーナーでメイクをしてもらうな」
「買うつもりのない店にフラフラ入るな」
最後のだけは守れない。本屋やショッピングモールには目的もなく入るのが楽しいからだ。
だけどサンプルは本当に買うつもりがある時しかもらわない。逆に言うと私の場合、サンプルを試そうと思う時点でかなり買う方に気持ちが傾いている。
「たぶん美味しいと思うから買うと思うけど、まずくないかどうかだけ念のため確かめたい」
「たぶん買うと思うけど肌が荒れないかどうかだけ念のため確かめたい」
という理由で試す。
街で配っているサンプルは向こうから私の手の中にねじ込んでこない限りこちらからはもらいにいかない。(ピンク系の宣伝のしてあるティッシュなんて本当はもらいたくないのだが反射神経が鈍いので反応が遅れてもらってしまうことはあるが)
別に欲しくもないのにくれるからという理由で何となくもらうと後でひどい目に遭うことがある。ちまたにあふれている英会話教材やその他の怪しい教材がそうだ。そもそも、学びたいと思っていないのに無料サンプル教材をタダでもらったって開くわけがない。メルマガを購読したって読むはずがない。
向こうはこちらのメールアドレスが欲しくて無料教材を配っているだけなのである。スーパーの試食コーナーと同じである。売りたくて無料サンプルを配っているだけなのだ。ただより高いものはない。
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