シフトチェンジ
私は子どもの頃から英語の通訳になりたかった。25歳から38歳まで断続的に通訳学校に通って、通訳学校に費やした期間は合計10年にも及ぶ。
その間、何度もやめようと思ったり続けようと思ったりを繰り返して、結局学校をやめたのは出産が機会となってのことだった。
その頃の勉強仲間には、同時期に出産を経たが産後すぐに復帰した人もいる。
私は子どもを産んだことで、人生でとてつもなく大きな仕事を一つやり遂げたような気になって、通訳訓練を受け続けて最終的に同時通訳を目指すという集中力の糸がプツリと切れてしまった。
私はその時に翻訳へとシフトチェンジしたのだか、それはそれで良かったと思っている。
陸上の為末大選手は、短距離走では勝てないと感じてハードルに転向した。自分の勝てるフィールドで勝つのが重要、ということについては同氏の様々な著書の中で述べられている。
同時通訳になるために必死で訓練したあの時間は無駄ではなかった。その頃の勉強がベースとなって、今の翻訳の仕事にも生かされていると思っている。
人生のどこかの時点で何らかのシフトチェンジをし、その転換先で自分なりにうまく行ったとしたら、「2番目の夢が叶った」と喜んでも良いのではないか。
1番目の夢を必死で追いかけたからこそ、掴んだ2番目の夢なのだから。そこからまた新たな夢が出てきて、チャレンジはまた続く。
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