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ストレスに強い人、弱い人

最近よく「ストレス耐性」という言葉を聞くが、周りを見渡すと確かに同じ現象に直面してもものすごく大きなストレスだと捉える人と、まるで大したことないというようにサラッと受け流せる人がいる。

自分の中でも同程度のストレス要因で過敏に反応してしまう時と、あははと笑って受け流せる時があって、長らくそのメカニズムについては深く考えたことはなかった。

しかし、自分が子育てをするようになってから特に、この「自分の感情の波に振り回される」ことが多くなって、感情の好不調によって子どもに優しく接することが出来たり理不尽に怒ったり突き離したりすることがあって、自分でも何とかしたいと思っていた。

感情に波がある理由としてはまず体調。風邪で体調を崩していたり仕事で疲れている時はピリピリしていて、ちょっとしたことでイライラしてしまう。女性の場合は生理の前後にこうなることが多い人もいる。また、時間に余裕がない時もそうだ。

これらは物理的な要因であり、まずは体調を整えることが先決だ。たっぷりの睡眠と休息。必要な場合は病院の受診や市販薬を使うことも重要だ。時間の余裕を作り出す工夫をすることでイライラがサッと消えることもある。

これらの物理的要因を解消してもまだストレッサーに対して過敏に反応してしまう状態の時は、実は心が弱いとかストレス耐性が低いとかそういうことではなく、「もうすでに他のことでたくさん我慢してしまっている状態」である。

もう散々我慢してきた、辛かった、だからこれ以上我慢できない、という状態になっているのが「刺激に対して過敏になっている時」なのである。

それまで花粉症とは無縁だった人がある年から突然発症する場合があるが、それは急にそうなった訳ではなく、長年花粉を吸い込み続けた結果、許容量に到達して発症したのである。それと同じだ。

だからストレスに強くなりたくて自分をさらにいじめても心は強くならない。心は筋肉ではないから、ど根性で鍛えることはできない。

まずは溜まりに溜まったストレスを癒してあげなければならない。タンクに溜まったストレスを抜くには自分を癒す方法を自分で見つける必要がある。

カラオケで絶叫するほど歌ったり浴びるほどお酒を飲んだりするばかりが「ストレス発散」ではない。

好きな映画を観たり、カフェでお茶したり、友達とランチしたり。ふかふかの枕を新調して昼寝にふけってもいいし、マッサージに行ってもいい。

まずは「我慢し過ぎて疲れきった自分」を自覚して労ってあげることだ。

自分に優しくしてあげて癒されると、イライラすることが少なくなり、人にも優しくできるようになる。

私自身、子どもが2歳ごろの時はいつも怒ってばかりいて、イライラし続けていたので怒りのコントロール法の本をむさぼり読んで「怒ってはいけない、怒ってはいけない」と呪文のように唱えていたが、今思うとあれは間違っていた。

怒ることで感情を放出しようとしていたのにそれさえもふさいでしまったら行き場がなくなり、最後は泣くしかなかった。当時、全くの無感情なのに突然涙がこぼれることがよくあったが、あの時必要だったのは「怒ってはいけない」という呪文ではなく、「癒し」だった。

人間のもともとの「ストレス耐性」は、人によってそれほど差はないと思っている。ストレスを貯められるタンク自体の大きさには大差はないだろう。

いつも穏やかでストレスをうまくコントロールしているように見える人は定期的に意識して自分を癒すことでタンクの中身を空にしているだけだとしたらどうだろう。

いっぱいのタンクにはそれ以上ストレスを受け止めるキャパシティはない。

タンクを大きくしようとする前に、上手くドレーンする方法を自分なりに見つけておきたい。

#エッセイ #コラム

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