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ブリュッセルの安宿

今回はただのcoboushi女将の旅日記です。前回急きょオランダ行きを決めて、その後…。

オランダ(とベルギー)旅行を決めてからの数日間は実に慌しいものでした。オランダの宿は家人がとっていた部屋に転がり込むとして(海外はホテルの料金は部屋単位)、国際線、東京までの国内線の飛行機チケットの手配、後半はベルギー一人旅だったのでその宿の手配などなど。

そうなのです、家人は仕事でオランダの後日本に直帰だったのですが、体調がメキメキ良くなっていることに気を良くした私は、自分だけ旅を延長したのです。すぐ調子に乗るのは私の欠点なのです。

東京前泊は空港ホテルを利用し、3月31日に羽田発ロンドン・ヒースロー経由ブリュッセル行きの飛行機に乗り込みました。家人は良い席だったので、私とは別々。夫婦も長くなるとこれぐらいの距離感が心地いい。3人席を独り占めして、ゆっくり一人の長旅を楽しみました。


これを機内で読み、フェルメール熱爆上がり

ブリュッセル空港に着いたのは飛行機の遅れもあり、結構遅い時間でした。そこから、さらに電車に乗ってブリュッセルミディ駅に着いた時は土砂降り。その日を過ごす宿は駅から4分ほどとのこと。タクシーに乗るほどの距離でもなく、致し方なく雨の中をスーツケースとボストンバッグを抱え出発です。

ホテルに着いた時はずぶ濡れ、かつスーツケースはドロドロでした。そしてホテルは、ホテルというか、ほぼホステル。昔安宿巡りをしていた時が懐かしく思い出される宿でした。

普通のホテルしか泊まったことがない人は分からないと思いますが、まず床には絨毯なんぞは引いてありません。ただの病院みたいなリノリウムの床。だから、スリッパを持参していない家人などシャワーを浴びた後、十数時間履き続け群れ切った靴にまた足を通さないとベッドまでも辿り着けない(悲劇!)。そのシャワーはバスルームの一角にあるのですが、半分だけガラス戸で仕切られていてドアがない。つまり水が飛び散る。食器などは軽くべたついている(ような気がする)し、コーヒーはスティック状のインスタントコーヒー。ケトルでお湯を沸かせば、なぜか酢酸臭い。他にも言えばきりがないので、この辺でやめます。

でも隙間風もないし、お湯も出るし、それだけでオッケーです。しかも、ここは朝食がとても良かった。数種のチーズやハムに、いろいろなパン、甘いきゅうりにトマト。ワッフルメーカーもあって横にワッフルの液体が置いてあります。アフリカ系の女性に作りかたを聞くと、「私も昨日聞いたのよ。こうやってやるの!」と気さくに焼いて見せてくれました。メープルシロップも置いてあったのでたっぷりかけていただきました。

ビッグママが焼いてくれたワッフル!

こういう宿の良さは、人との出会いの一言に尽きると思います。朝食会場では初めての人も、長く泊まっている人も、自然に集まって会話に花を咲かせています。

かのアフリカ系の女性は、シリアから来た女性たちと一緒におしゃべりをしていました。よくよく聞き耳をたてると、国境で捕まりそうになって逃げた話…日本ではなかなかないトピック…。


大地の母みたいな女性でした

この後に泊まったホテルでは、こんな風に知らない人同士が親しくなる様子は見られませんでした。

体力があれば、こんな宿巡りもいいなあと思います。年を取って、こういう経験ができなくなるのは寂しい気がします。ヨーロッパでは大きなリュックを背負って、スパッツを履き女性同士で旅行している高齢女性を結構見かけます。私も荷物一つで身軽に安宿巡りできるおばあちゃんになりたいな。


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