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コテージのピアノ

私たち夫妻は音楽の素養がゼロです。私はピアノなんて、小学校の頃音楽室で猫ふんじゃったを弾いて以来、触ったこともありませんでした。
でも不思議なご縁で、コテージにもピアノを置くことになりました。

遡ること数年前、私がカフェを始める準備をしていた頃です。当時中年の手習いで、40半ばの家人がピアノを習い始めました。我が家にはピアノはなかったので、ピアノ教室のピアノを借りて「きらきら星」や「カエルの合唱」をせっせと練習していたようです。

家人はまだカフェの内装も整わないうちから、「このスペースにはピアノを置きたい」などと言っていました。私は、その発言は右耳から左耳に流していましたが、しつこく言っているなーとは思っていました。

ところが「コケの一念岩をも通す」とはよく言ったもの。昔、音楽祭を手伝った関係で知っていた女性が、SNSで母のピアノを引き取ってくれる札幌在住の人はいないか、と呼びかけているのを偶然目にしたのです。

連絡を取ってみると、ピアニストだったお母様は間も無く故国に帰るのだけど、ずっと練習して来たピアノを捨ててしまうには忍びない、とのことでした。ありがたく引き取らせていただき、そのピアノはカフェコンサートで大活躍してくれました。

カフェコンサート

カフェはクローズした後、ある会社の事務所として使われていました。事務所の方からピアノの撤去をお願いされていたのですが、行き場がなくてしばらくそのまま置き去りにしていました。

ニセコにコテージが出来た時、正直ピアノを運ぶかどうか迷いました。運賃だけで10万近くかかりますし、何しろコテージの螺旋状の階段が狭くピアノを運ぶことも不可能でした。

しかしここでも、家人の熱い想いが通じたのか、二階のベランダについてる細いドアが、戸を外せば何とかピアノが通ることが判明しました。

そこでようやく私も思い腰を上げて、ピアノを運搬する運びとなったのです。

まずはカフェからピアノを運び出します。

そしてトラックに乗せて、はるばるニセコへ。到着したらクレーンでピアノを釣り上げます。

そして2階のベランダへ。

そしてベランダで一度解体。

部品をそれぞれ中に入れて、再び組み立てる。

はい、収まりました。

まあ、大変だったけど、結果持って来てよかったかな。

因みに家人のピアノ教室は、ほんの2年ほどで辞めてしまいましたとさ。
(こんなオチ…)

coboushi

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