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50を迎えてライフスタイルを考える

もう10年以上も前、3ヶ月ほどカナダのケロウナという土地に滞在しました。湖畔のリゾート地で周囲には広大なワイナリーが広がっていました。訪れたのが春先だったので、ひんやりした気温が日毎に上がっていき、見事なマグノリアの花が一斉に咲き、薄着になって外のテラスでビールを傾け合う季節まで滞在しました。

そこでお世話になったのが、ドンとヴァーナという夫婦のお宅です。二人は自宅の1階を、看護師と赤ちゃんのいる若夫婦にそれぞれ貸し、二人が居住している2階に、私のような外国人をホストとして受け入れていました。

ドンは元消防士でリタイア後はDVDのお店を開いていました。(でも5時前にはジムに行ってきたよーって帰ってきていた)綺麗好きで料理上手のヴァーナは、土曜日以外は必ず手作りの料理を出してくれました。(土曜日はお気に入りのレストランで友人たちと集うので、その日だけはレフトオーバーやレトルト)二人はとてものんびりと過ごしていました。

ドンが「僕らは高級なライフスタイルに興味はないし、高級なレストランも興味ない。地元のお気に入りのレストランのハンバーガーが一番美味しいと思っている。そして長年の友人たちがいる。それで十分なんだ。」と言っているのを聞いた時、こちらの胸も満たされていく思いがしました。

二人はその後、その家をサクッと売って、大きなキャンピングカーを買い、ケロウナと二人が大好きで度々訪れていたメキシコの2拠点生活を始めます。砂漠気候で冬は寒さが厳しいケロウナ。寒風が吹き始める頃、二人はキャンピングカーに乗って南へ下るのです。

時々FBを覗くと、ケロウナで、メキシコで、以前と変わらず友人たちとお酒を酌み交わす二人の写真が出てきます。

私も50を迎えて、「自分探し〜」なんて言ってる間に死んじゃうな、と冗談じゃなく思うようになりました。未だ、都会に住みたいのか田舎に住みたいのか、一人の時間を大事にしたいのか人に囲まれて過ごしたいのか、自分でもはっきりしないのだけど、人付き合いや物にコントロールされる生活は嫌だな、と自覚し始めました。

今でもドンの言葉を思い出すと、温かな気持ちになることを考えると、私もシンプルライフに相当憧れているのかもしれません。まだ漫然と札幌暮らしを続けているけれど、コテージにちょっとずつ軸足を移していきたい気持ちがいや増していく最近なのです。

coboushi


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