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ウルトラトレイルマウントフジ ULTRA-TRAIL Mt. FUJI(通称UTMF)参戦記(残念ながらDNF)

1.はじめに

最近、コロナや健康ブームの影響もあって、トレイルランニングに興味を持つ方が増えていますね。自分もそのような中の一人ですが、前々から憧れていたウルトラトレイルマウントフジ ULTRA-TRAIL Mt. FUJI(通称UTMF)に初めて参戦してきました。準備からレース本番、そしてレース中に起こった予期せぬトラブルによるリタイアまでの経験を備忘録として記事にまとめています。初めてのマイルレースだったため、なかなか思うようなレース運びが出来ず、リタイアという結果になりましたが、レース後に改めて振り返ってみるといろいろなことが反省点として浮かび上がってきました。これからトレイルランニングのマイルレースへの参戦を考えている方にも、参考になる内容になっていれば幸いです。

で、最初から結論的になりますが、ロングレースではレースマネジメント力が試されていると改めて感じました。そのことについても、少しづつお話しできればと思っています。
「レースマネージメント力」は人それぞれいろいろな定義ができますし、関連する要因が多いと思いますが、自分的にはレースマネジメント力=経験値×情報量×セルフアセスメント×判断力×マインドセットと考えています。仕事でのマネジメントと変わりないですね。
各要素は
1.経験値:トレーニングやレースでの様々な経験値。特にトラブルへの対応の経験値、これにより対応力の引き出しが増えると思います。
2.情報量:情報リテラシーといった方が良いかも。トレイルランニングについてはもちろん、体の構造、装備、栄養学、気象などについての情報量×解釈×価値観。どんな情報も正しく理解しないと役立たないし、理解した情報も自分なりの価値観で取捨選択しないと真理に近づかない!なんてね。
3.セルフアセスメント(自己評価)
:体力・走力・マインドはじめトレイルランニングに必要なディメンションを正しく自己評価できているか?レース前のコンディションも正確に把握できているか?まあ、完走するには「根拠のない自信」的なことも大きなファクターになることもありますが。
4.判断力:いろいろなトラブルに対して正しい判断ができるか?経験値と大きくかかわりますが、あるトラブルに対しての対処法の引き出しが多いとトラブル対処が適切にできますよね。それからの進行に合わせてシナリオの書き換えもパターンが多いほうがね。もちろんアドリブも効かせながらで。
5.マインドセット:レースに向けてのマインドセット。レース前もレース中も、内的要因・外的要因といろいろな影響因子の中でネガティブになりがちなところをリセットできて心を整えたうえでポジティブに変換できるか?ゴールするんだという強い気持ちが重要。これが完走への一番のキーファクターですね。そして、自分なりのゴールする意味、哲学的ではなくて何にコミットメントするかしているかが大切。
前置きが長くなりましたが、これから本編に。
(余談ですが、一部、noteの無料版AIを使ってみたので文体に統一感が欠けてるかもですw)

2.スタート前~整わないコンディション~

年齢的なものもありますが年明けにぎっくり腰などでなかなか身体のコンディションが整わない、そんな中、プライベートで3月の国家試験を受けるという事情で、トレーニングが滞っていて。DNSも頭をよぎりましたが、東京マラソン、小江戸大江戸をパスしてのFUJI参戦だったので、何とかスタートラインには立ちたいという思いで3月中旬から本格的にトレーニングを再開しました。しかし、そんな短時間では間に合うはずもなく、仕上がりは6分程度で、ゴールまで辿り着くことができるのか?の不安は常に頭の中に。幸いに、からだの疲労感は少なかったのでテーパリング?と自分には言い聞かせてましたが(笑)

3.準備編~なんか気もそぞろ~

トレイルのロングレースは、コンディションだけでなく、装備や補給食、移動や宿泊などの事前準備がとても重要、これでレースの7割近くが決まる感じ。ここでは、ロングレースに向けての自分なりの基本的な準備について紹介してみます。装備や補給食の選び方から、移動や宿泊の注意点まで、本当に重要なのですが、振り返ると少し行き当たりばったりだったかなと思う点がちらほら。どこか気もそぞろだったのかな?と反省。

①移動と宿泊

今回はあまり考える余裕がなかったので、大会のツアーを利用。新宿から受付会場までのバスとホテル(富士山リゾートホテル)の宿泊とスタート会場までのバス。これは初めての方には楽なのでおすすめかも。
宿泊先はいくつか選べましたが、途中でのリタイア(弱気ではなくリスク管理?)とゴール後の入浴と睡眠を考えて3泊できる富士山リゾートホテルを選択。
大会前には、ゴール後の移動を含めて不安だったので、事前の唯一の試走の時に宿泊してチェック。近くにコンビニやショッピングセンターもあり便利でした。
そして、個人的に後泊をつける(4泊目)という念の入れようでしたが、DNFで必要なかった、、、。ちゃんとゴールできたとしても、ゴール会場から徒歩で約4㎞あるので、ここは交通手段の確認が必要。
(今回は徒歩で帰ろうか悩んでいましたが富士急ハイランド駅でタクシー捕まえました!)
先程、情報量が大切と書きましたが、クラブメンバーや経験豊富な方から直接的にいろいろと情報を得るべきでしたね。リアルな情報はネットやyoutubeとは価値が違いますよね。ここは反省点のひとつですね。(人見知りと言ってられない)

➁装備

装備選びはトレイルのロングレースに向けてはとても重要ですね。走力に自信がない上にコンディションもままならない状況の自分は特に、事前にチェックして安心できる装備を選びたいと。今回も同様に、安心感のあるアイテムを中心に選定。しかし、ぶっつけ本番で選ぶことになったシューズは最終的にどうするか、、、最後まで悩みました。

必携品
必携品は今までの大会で使用履歴があるものを中心に夜間用にお湯を入れたいサーモスの120mlのミニ水筒とエイドでの寒さ対策用のTNF Trail Emergency Hoodieをプラス。水筒の白湯はいろいろな意味で助かりました。水筒はもう少し大きくてもよかったかな。TNF Trail Emergency Hoodieはエイドでの着用を怠ってしまいせっかく装備したのに反省ですね。また、エマージェンシーシートをエマージェンシーヴィヴィに変えとけばよかったかなと。ほんの少しの軽量化にと頭がいってしまったのが残念。(F5の富士急ハイランドまでは仮眠はないと勝手に決めていたのでドロップバックに。これがあればF4の精進湖で仮眠という考えが素直に出たかも)

必携品
  1. MAP:印刷してレースタイム表と合わせてモンベルケースに

  2. 携帯電話:iPhone

  3. 携帯カップ150ml:TNF

  4. 水:インナーファクト ソフトフラスコ ストロータイプ 500ml×2

  5. 補給食:別途

  6. ライト:PETZL スイフトRL(予備ライト:LED LENSER NEO3)

  7. 点滅ライト:Salerno LEDクリップライト

  8. サバイバルブランケット:SOL

  9. ホイッスル:(ザック付属)

  10. テーピング用テープ:New-HALE

  11. 携帯トイレ

  12. レインジャケット・レインパンツ:TNF Strike Trail Hoodie&Pant

  13. 防寒着/長袖シャツ:VENTRIX Trail Jacket

  14. 防寒着/パンツ:モンベル ジオライン L.W. タイツ

  15. 手袋/帽子(耳まで):ice breaker/EVERBREATH TRAIL GLOVE

  16. マスク:ミズノ

  17. エマージェンシーキット

  18. 保険証

  19. ナンバーカード

  20. ザック:PAAGO WORKS UT3+rush PLUS

  21. その他:水筒・モバイルバッテリー・TNF Trail Emergency Hoodie

ウエア類
ウエア類もほぼ使用経験があるもの。寒がりで汗かきなので今回は機能性でTNF Dry Dot Light CrewをTシャツとしてレースで初めて使いましたが、発汗量が多かったのかザックを背負った背中はF2の麓についてもかなり濡れたままで汗冷えした感じ。サポートなしだったので着替えのTシャツを入れておけば良かった。これも、なぜ入れなかったのかと反省。ミドルのレースでもいつも入れていてKAIでも着替えたのに。(アンダーで着ていたミレーには濡れの問題なかったので)
今回一番の課題だったのは防寒具類。本栖湖への下りあたりから胃腸トラブルで水分とエネルギーの補給ができなくなり、また、胃痛がひどくほぼ走れなかったのでF3の本栖湖からF4の精進湖まで歩き通しになり、明け方の冷え込みの際にTNF VENTRIX Trail Jacketを着て、TNF Strike Trail Pantを履いたのですが暖かさも動きやすさも弱っているからだには個人的には今一つ。
体調が悪くなってエネルギーも補給できなくなると次には思考力と判断力が低下してさらに体が寒いとネガティブになる悪循環に拍車がかかるので。TNF Flyweight Versa Hoodieなどのフリース系や山と道のDF Mesh Merino Long SleeveとかTNF Flight Explore Tightなどちゃんと走れて心地よくて温かい系が良かったと思いながら歩くのはつらかった(笑)。
後半用にドロップバックには入れていたんですが。
また、風が吹くと末端が冷えやすいので帽子と手袋も重要だと改めて感じました。(今回は指がむくんでアンダーにice breakerのグローブをつけてEVERBREATH TRAIL GLOVEをはめようと思ったけどきつくて上手く重ねてつけれずに直接、VERBREATH TRAIL GLOVEをつけることになってしまいこれも心地よさがなかった。いつもはプラスしてR×Lのニットグローブも持っているのですがなぜか今回は入れておらず。。。機能性や重量も重要なんですがロングレースになるとそれよりも心地よさみたいなことにフォーカスを当てるべきだなあと。そして、天気予報はちょくちょくスタート前からチェックしていたんですが、気温、風速をみてその時感じる体感温度について、もっとじっくり、真剣に考えることが足りなかったですね。これは経験したレースの数にもよりますが、それぞれのレースの振り返りをきっちりしとけば違ったかも。
あとは、モンベルの腹巻とホッカイロをもっていたのに使用せず。いつもは気が付いて身に着けるのですが、胃腸不良でエネルギーとれていなく頭が回らなかった。お腹を温めていたら違ったかも。

ウエア類
  • サンバイザー:NEUTRALWORKS. 

  • Tシャツ:TNF Dry Dot Light Crew

  • パンツ:TNF Flyweight Speed Short

  • アンダーウェア:ミレー ドライナミック メッシュ NS クルー/T8

  • ハーフタイツ:サロモン S/LAB

  • アームカバー:R×L シームレスアームカバー

  • ゲイター:compressport R2 オキシジェン カーフスリーブ

  • サングラス:JINS 度付き+調光

  • ネックゲイター:TETON BROS Axio Neck Gaiter

  • 手袋:AXESQUIN UVメッシュ フィンガーカットグローブ

  • ソックス:R×L WILD WOOL 壱

補給食
今までも長時間のレースの際には悩んできた補給食ですが、今回は特に40時間近くも動き続けるのでいかにきちんとタイミングよく必要なものを補給できるかを考えてセレクトしていきました。(いつも余ってしまうのでハンガーノックに気を付けて)
まずジェルは、色々試した中で個人的に一番摂取しやすいアスリチューンをメインに、後半で胃腸が弱ったときに流し込みやすいGUのリキッドと味に違和感がなく水分量も多いANDOに。そこに固形タイプのセブンイレブンの紫芋羊羹と黒糖わらびと井村屋のスポーツ羊羹をプラスして1時間に100Kcalを摂取していく設定。
塩分は経口補水パウダーをメインに塩ジェルとジェルの甘さの口直しにume power plus、これは梅干しだけなのですがかなりすっぱくて目も覚めます(笑)
リアルフードはいつも山にもっていってる無印良品の不揃いバウムと新しくキャロットケーキをプラス。キャロットケーキは水分量が少なかったのでザックの中でぼろぼろになってしまいこれはミスセレクトでした。味は美味しかったですが。
水分はスポーツドリンクをメインに麦茶を。エイドではメダリストが補給できますがクエン酸に飽きてきたとき用にTOPスピードを。何も食べれなくなったとき用にGUも準備しました。
あと、常備薬はもちろんですが、エネルギーの補給が良くなるようにビタミンB類を中心にカフェインカプセルなどのサプリメントも用意して、今回も服用しました。
補給食はおおむねOKだったんですが、F4でリタイアになったのであまり後半に用意したものが試せなかったのが残念です。(ドロップバックにいろいろと準備していたんですけどね)

補給食
  • ジェル:アスリチューン/ANDO/GU

  • 甘未:セブンイレブン黒糖わらびもち・紫芋羊羹/井村屋スポーツ羊羹

  • ume power plus/塩ジェル/経口補水パウダーダブルエイド

  • サプリメント類:ビタミンB類、MAGMA、プロテイン、生薬など

  • リアルフード:無印良品 不揃いバウム/BASE BREAD など

  • ドロップバックは別にリアルフードをいろいろと用意

シューズ
最後まで装備で悩んだのがシューズ。候補は上から優先順位が高かったのですが、上りとロードで強みを発揮するTNF SUMMIT VECTIV PROで慣らしもしていたのですが、どうしても外くるぶしが少しあたってしまい、インソールを替えたり、行きつけのショップのルナークスの佐藤店長にお願いして調整をしていただいたりしたのですが、ロングレースの不安をなくしたくて急遽TECTON X 2を購入していきなりレース投入。ロングレースなのでインソールも入れて。(TECTON Xで大きなトラブルなくFTR100、ITJを完走していたので)馴染んでいるTECTON Xでもよかったのですがラグが少し剥げてきてしまっているのと400Km近く走っているのでミッドソールがへたってきていたので。
結果としてTECTON X 2でスタートして、ドロップバックにサイズの余裕があるSPEEDGOAT 5を入れる形にしました。
悩みましたがこのセレクトは良かったかな?(後半のSPEEDGOAT 5は試せていませんが)いつもはダメージ受けやすい指の爪も問題なく、トレイルもロードも走りやすかったです。ただ距離は短かったので途中までの評価ですが。(TECTON X 2にした最後の一押しは、小川壮太選手がTECTON X 2を推していたことなんですが)

TECTON X2
TNF SUMMIT VECTIV PRO
  • TNF SUMMIT VECTIV PRO(新品)

  • HOKA ONE ONE TECTON X

  • HOKA ONE ONE TECTON X 2(新品)

  • HOKA ONE ONE SPEEDGOAT 5

4.レース

①スタート前

新宿からツアーバスに乗って前日受付会場へ。受付のコニファーフォレストに向かうと長蛇の列!どれくらいかかるのだろうと思いながら並んでいると受付が終了した知り合いの方が前方から来たので聞いてみると2時間ぐらいかかるかも?とのお話し、で、ありゃ。全く列が進まない感はありましたが、約2時間で受付を済ませて、ホテルに向かうバスに乗車。気持ち的に余裕がなくEXPO会場は楽しめませんでした。なんだかなあ~と思いながらも興奮なのかあまり疲れを感じずにホテル着。夕飯は胃腸の調子が今ひとつだったので、すき家で牛丼を食べて、コンビニスイーツを買ってホテルへ。一通りパッキングやウェアのチェックを済ませて11時にはベッドへ。目覚ましは7時にセットしたのですが、早めに寝たので5時30分には目が覚めてしまった。6時にお風呂に行き7時からホテルのバイキングで朝食を。朝食会場にいた選手の皆さんはなかなかの食欲!そうだよね、これからの戦いを考えるとね。とは言え普段はヨーグルトとシリアルとフルーツを朝ごはんにしているので、ここでは軽めに。ホテルのチェックアウトが11時だったのでテレビ見てのんびり過ごしてロービでバスを待ちながら天気のチェック。雨大丈夫そうなのでひと安心。ホテルからスタート会場のこどもの国にバスで移動して、クラブのみなさんと合流して、昼食用にコンビニで買ったおにぎりを食べて、スタートまでレースの話をしたり、写真を撮ったり、知り合いの方を見つけてはお互いの健闘を祈ったりとのんびり過ごしました。緊張がトラブルの原因になることもありますがスタート前はリラックスムードでした。
天候もよかったので、この時点での不安はあまりなく、お祭りを楽しむ感覚が強かったですね。前日までは、不安も大きく、体調ももう一つな感じだったので、15:00スタートというプログラムやこの大会の雰囲気にも助けられた感じです。スタートが第3ウエーブだったので、エリート選手のスタートを見て、トイレに行ってぼちぼちとスタートラインに。

スタート前にみなさんと

➁スタート~F1富士宮

気持ちが昂る中、いよいよスタート。もちろんここではゴールするぞ!の意気込みしかありません。下り基調の林道で多くの知り合いの方とお話をしながらペースを抑えて送電線の下まで。第3ウエーブなので皆さんと歩調が合う感じはよかったですね。タイムテーブルは作成していましたが、完走が大きな目標だったので心拍が135を越えないようなペースを意識してのペースコントロールを目指しました。ここから細かなアップダウンがあるのでやや渋滞になりましたが、周りの方と話をしながら走っていると富士宮のエイドまでするりと来た感じでエイドに入る前の富士山をみて「よし!」と思いながらエイドへ。
エイドでは、腰の不安はありましたが、まだ、違和感はなし。ザックをおろして、トイレに入ってコーラを飲んでバナナを食べて水分の補給をして、これからに備えてライトを装着して10分もかからずに出発。
あとでタイムラインを見ると多くの知人の方がいたようですがあまり気づかず、まだまだ、お会いするチャンスがあると思っていたのですがリタイアで結局、多くの方にお会いできなかったのは後から考えると残念でした。まあ、いい意味で気が張っていたのかもですね。
夕方になって気温も下がっているし、心拍も抑えてきたんですが発汗量が多いなと思いながらロードへ。ここで着替えることも考えるべきだったかも。といっても着替え持ち忘れてますが。。。。
・ここまでの補給:ジェル2個 塩ジェル1個 水分700ml

③F1富士宮~F2麓

富士宮からはしばらく知り合いのHさんと並走。軽く会話をしながら淡々と天子ヶ岳登山口まで進みます。スタッフの方に「ここから4Kmで800mの上りだよ!」と声を掛けられて、さて登りますかと気合を入れ直し。予定よりもやや遅れがちでしたが、天子の上りは渋滞していたのでペースを気にせずに淡々と。ここまではR×Lのアームゲイターの上げ下げでコントロールをしてきたのですが、ここからは風もあったのでザックからウィンドウシェルのTNF Infinity Trail Hoodieを取り出してザックの上から羽織ます。ストレッチ性があるのでザックを背負ったまま脱ぎ着が出来るので便利なのですが、さすがにマイルの装備でザックがパンパンだとファスナーの上げ下げがややキツイ(笑)。まあ、問題ない範囲なんですが。歩き出すと前を開けて渋滞だと閉めて、それでも調整できないと脱いだり着たりとこまめに体感温度のコントロールを気にかけて進みます。
ナイトランになり、渋滞でストップアンドゴーが多かったのと上りが続いたためか、腓骨筋と右のハムにやや痛みがありましたが、眠気などの大きな体調変化はなく熊森山まで到着。ここから下りになるのでキャロットケーキを食べて、ちょうど居合わせたチームメンバーと話をしながらしばし休息。シェルを脱いでさて行きますかと下りへ。このくだりの前に食べたキャロットケーキが後の胃痛にはよくなかったのかも。
足の疲れもありスベりやすい箇所もあったので、前の方に続いてゆっくり下ります。ところどころでお先にという感じで、道を譲ったり譲られたりしながらスピードは上げずにゆっくりと。
新しいTEXTON X2でしたが、くだりでいつもやってしまう足指の爪問題などはなく良好。ただ、なんか接地の時にガレや根太を踏むと外側に足が靴の中でズレる感じがして、時々、石や木にぶつけて調整。これはシューズというより自分の接地が良くないのかな?と思いながら内くるぶしで接地することを意識していたらロードまで到着。
やっと天子が終わった安心感と抑えていたのに疲れたなという感じでF2麓到着。「富士宮やきそばだ!」と思いながら。まず、トイレにピットインして富士宮焼きそばを流し込んで、おなかすいている感じはあったんですが思ったより食が進まない。水分を補給してアンパンを手に取ったんですがそのまま。出口でサポーターやボランティアをやっているチームメンバーと話をしたり写真撮ったりして「ぼちぼち行きます!」と次のF3本栖湖を目指します。
・ここまでの補給:ジェル2個、紫芋羊羹1個、キャロットケーキ1個、経口保水パウダー2本、富士宮焼きそば、水分500ml

④F2麓~F3本栖湖

F3の本栖湖めざしてロードをぼちぼちと走ったり歩いたり。ここでは麓から時々ご一緒したSさんと「意外とやられましたね」などと話しながら進んでいきますが、どうも熊森山からの下りで内臓が揺れたのか、腹筋が疲れたのか左のおなかが痛く触るとカチコチ。ロングレースはいろいろあるよな~と思いながらお腹を時々マッサージしてみますが胃痛のような感じがだんだん強くなってきて少し不安な気持ちに。
石割峠から端足峠とアップダウンを繰り返したような気がしますが、ここら辺が実はあまり記憶がない。麓から時々ご一緒したSさんと、また、本栖湖までのロードを歩いたり走ったりして進みます。さすがに疲労感が出てきてエイドにはやっと着いたという感じ。名物の身延饅頭にも手が伸びず。おなかの調子が不安なのでトイレに入るが何も出ない。水分補給しようと思ったのですが、ほとんど減っていないので補給せず、タイムがかなり遅くなってきたのが少し気になって先を急ぐことに。
・ここまでの補給:ジェル1個、黒糖わらび1個、水分100ml

⑤F3本栖湖~F4精進湖

明け方近くになってきて思考が鈍くなってきたのか、補給が追い付いていなくて頭が回らなかったのかいろいろな判断が鈍くなってきていると感じながらエイドを出てすぐの急登を足取り重く登っていきますが、エイドを出て500mのうちに何度も息が切れてきて胃痛が激しくて脚を止めて休みます。途中で分岐があったので座って白湯とガシンサンを飲んで胃のあたりをマッサージしていると、知り合いのMさんに「胃薬ありますよ」とありがたいお言葉をかけていただきます。ちょっと元気が出たので一緒に進もうかと一瞬考えましたが、からだが反応せず「ぼちぼち行きます」と答えて、ちょこっとだけ横になります。このまましばらく横になりたい気持ちを抑えてリスタート。「走る・歩く・休む」のうち「休む」の考え方が十分にできていなかったですね。
走ると痛くて悪化しそうなので、この区間は歩きとおすことにして回復を願います。明け方で風があり寒くなってきたのと運動量が極端に減ってきたのでめちゃくちゃ寒く感じます。止まって、装備のところで書いたように防寒具をつけますが気持ちがなかなか上がってきません。ついついリタイアが頭をよぎりだし、中ノ倉山、中之倉峠、パノラマ台でボランティアの方にリタイアしたいと弱音を吐きますが、歩けるなら大丈夫と背中を押していただきますが、気持ちまではなぜか押されない感覚でした。いつもだと「頑張るか!」ってなるとこなんですがね。パノラマ台につくまでに何人かの知人の方が声がけしてくれてそのたびに「胃痛がひどいので精進湖でリタイアしようかと」とこちらでも気持ちを吐露しまくります。ほんとに、話すたびにマイナス思考になってしまい自己暗示をかけるような感じになっていきます。そして、ろれつが回らないし、脈が90まで落ちるし、なんでもないところでキロ27分もかかるし、こりゃやばいかもと悲劇のヒーロー的に勝手に受け止めて、ふらふらした足取りであきらめムードを醸しだします。いやはや精進湖までたどり着けるかも不安になってきたし、パノラマ台からの下りで胃痛がひどくなるし、ザックが重くて苦しくなるし、もう、気持ちのベクトルが全力で「リタイヤ」を向いちゃってたというか、向けちゃったよね自分。やっと下りが終わり林道になりますが力が出ずにとぼとぼと歩くことに。それでもきつくて休みを時々入れながら、こんな時でも不思議と山を楽しまなきゃいけないんだよな?の気持ちが時々出てきて、小鳥の声に耳を傾けます。ここでも多くの人に抜かれるたびに声をかけていただく、ありがたいが力が出てこないんですよね。試走で走った記憶がよみがえり、もうすぐエイドだ今回の旅も残念ながら終わりだという気持ちがさらに足取りを重くしていきます。そんな中、左手にきれいな八重桜が見えてきて、去年、走ったKAIでみた桜がもう一度見たかったなと思いながらも、目の前のリタイア選手用のバスに視線がくぎ付け状態に。
右手に曲がって計測を通って、すぐにリタイアの事務所が見えてするっと入ってしまった。思考停止の状態で「リタイアします」の言葉がすぐに出てきて自分でもびっくり。長いはずの旅路があっけなく幕を閉じることになりました。
・ここまでの補給:白湯:100ml、ガシンサン 2袋

5.振り返り

ここまでいろいろと書いてきましたが、トレイルランニングのレースでは自分だけではなくすべての選手にいろいろなことが起こります。
脚のトラブルや胃腸のトラブル、眠気や寒さや暑さなど環境への対応やゴールできるか?ゴールしなきゃ!とういう自分自身との闘い。
そういういろいろなトラブルや思いと正面から向き合って、自分自身との闘いに打ち勝った方のみがゴールゲートをくぐれたのだと思います。

レースから時間が経って、知り合いの方や参加した選手の皆さんのレポートを読ませていただくたびに、ひとりひとり、それぞれにいろいろなドラマがあり、それぞれの旅の終わりがあったのだと改めて感じます。
自分の場合は、事前に描いていたシナリオ通りの終わり方ではありませんでしたが、それでも今回のFUJIでトレイルレースの楽しさと悔しさをたくさん味わうことが出来ました。
もし、気持ちを強く持つことが出来て、今回の旅のゴール地点までたどり着けたらどんな気持ちになったのだろうか?マイルレースのゴールには何が待っているのだろうか?
今の自分にはその時の気持ちを残念ながら想像することが出来ません。
いつかはその感覚・感情を味わってみたいなと。

さて、次の旅に出かける準備をしましょうかね。

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