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コーチングの基礎

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ルー・タイスのコーチング・プリンシプルに基づいたマインド(脳と心)の仕組みと上手な使い方について説明しています。各記事には1つのテーマの解説と、それに対応するワークが含まれていま…
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#リアリティ

【6】 信じていることしか見えない

私たちは、様々な物事に対して「それはこういうものだ」「それはこうあるべきだ」という信念(belief)を持っています。 本当に物事がそうであるかとは別に、各個人が「これが真実である」と思っていることです。 それは「目上の人のいうことは聞かなければならない」「コーヒーは健康に良い」「自分は社交的な人間だ」といったあらゆる信念です。 この「個人が真実であるべきだと考えているすべてのことがら」をリアリティ(reality)と言います。 リアリティは、思考や経験が積み重なって出来上

【7】 自己イメージに従って認識している

私たちは、世界の様々な物事に対して「それはこういうものだ」「それはこうあるべきだ」という信念を持っています。 そして、「これが真実である」という信念の集合として、それぞれの人に独自のリアリティが存在しています。 私たちはリアリティと一致する情報だけを認識しており、それ以外の情報はスコトマになるため認識していません。 リアリティのなかでも、特に自分自身に関するものは自己イメージ(self-image)と呼ばれます。 「自分はこういう人間である」「自分は他人からこういう人間であ

【8】 自己イメージに従って行動している

私たちは、「自分自身のことをどのような人間であると信じているか」という自己イメージに合致する情報しか認識していません。 そのため、自分が持っている自己イメージが正しいことを証明する情報だけを取り入れ、日々、現在の自己イメージを強化しています。 これは、私たちのマインドに、自分のリアリティが正しいことを証明しようとする働きがあるためです。 実は、この働きは認識だけでなく、無意識の行動や選択においても働いています。 そのため、私たちは無意識のうちに、自己イメージが正しいことを証

【16】 思考のプロセス〜その1〜

ルー・タイスの方法論では、マインドを「意識(conscious)」「無意識(subconscious)」「創造的無意識(creative subconscious)」の3つの部分に分けて考えます。 脳あるいは心が実際に3つの部分に分かれているわけではなく、3つの機能・役割に分けて考えるということです。 「意識」の4つの機能「意識」には4つの機能があります。それは「知覚」「照合」「評価」「判断」の4つの機能です。 私たちは、五感を通じて情報を得ています。これが「知覚」です

【17】 思考のプロセス〜その2〜

今回はマインドの「無意識」の機能について解説します。今回の記事は、これまでの記事のまとめにもなっています。過去のそれぞれの記事でバラバラに解説されてきた無意識の機能の全体像を把握できるようになると思います。 さて、前回の記事では、マインドがその機能によって「意識」「無意識」「創造的無意識」に分けて考えることができることと、「意識」の4つの機能について説明しました。 「意識」の4つの機能とは、「五感を通して情報を知覚すること。その情報は無意識に蓄えられている記憶と照合され、

【18】 思考のプロセス〜その3〜

マインドの3つの機能のうち、「意識」と「無意識」について解説してきました。 今回は、3つ目の機能「創造的無意識(creative subconscious)」について扱います。 創造的無意識とは、「問題解決、思考、概念化、アイデア、理論、独創的な力を導き出すために働く心的作用の源」のことです。 今までになかったアイデアや問題解決の方法を「ひらめく」ように働く部分といってもよいかもしれません。 創造的無意識は、私たちの「無意識」にあるリアリティと現実の世界が一致するよう

【19】 創造的無意識の働き〜秩序の維持〜

創造的無意識の機能のうちの1つは、マインドの「秩序を維持する」ことです。 ここで言う秩序とは、無意識の中の「リアリティ」と外の世界が一致している状態のことです。リアリティと実際の世界が一致している状態が、マインドの秩序が保たれてる状態です。 リアリティとは「個人が真実であるべきだと考えているすべてのことがら」のことです。「私はこういう人である」「これは価値のあるものだ」「これはやる意味のないことだ」「これはこういうものだ」といったあらゆる信念から構成されています。過去に認

【20】 創造的無意識の働き〜矛盾の解消〜

前回の記事に引き続き、創造的無意識の働きを詳しく見ていきます。 私たちの現在の状態は、無意識のリアリティや信念、自己イメージと実際の世界が一致した秩序ある状態を創造的無意識が維持しようとした結果、出来上がったものです。創造的無意識の働きによって、私たちは秩序ある状態を維持するような判断や行動を無意識にとっています。 では、実際の世界と無意識のリアリティが矛盾した状態、つまり秩序を失った状態にあるとき、創造的無意識はどのように働くのでしょうか? このような矛盾した状態のと

【21】 認知的不協和

創造的無意識は、「無意識にあるリアリティ」と「現状」が一致していないとき、「現状」をリアリティと一致させるように働きます。リアリティと実際の状態の矛盾を解消するような判断や行動を促します。 創造的無意識がもつ矛盾を解消する機能について、さらに詳しく見ていきます。 私たちが無意識に抱いているリアリティと実際の世界が一致していないとき、ストレスや緊張を感じます。 心理学者のレオン・フェスティンガーは、このストレスや緊張を「認知的不協和(cognitive dissonanc

【22】 創造的無意識の働き〜エネルギー、創造性、気づき〜

創造的無意識の働きのうち、「秩序の維持」「矛盾の解消」について見てきました。そして、前回はその背後にある認知的不協和のメカニズムについて解説しました。 今回は、創造的無意識の働きをまた別の側面から見ていきます。 創造的無意識は、リアリティや自己イメージより実際の世界の方が低いレベルにあるとき、実際の世界をリアリティに修正するために3つのものを放出します。 それが、エネルギー(energy)、創造性(creativity)、気づき(awareness)です。順番に見ていき

【36】 ゴールは現状の外に設定する

コーチングにおけるゴール設定には「want-toのゴールを設定する」「現状の外に設定する」「バランスよく設定する」という3つのルールがあります。 今回は「現状の外に設定すること」について説明します。 ここでいう「現状」には、単に現在の状態だけでなく、現状の延長線上にある未来の状態も含まれます。 たとえば、スポーツで言えば、現在のレベルだけでなく、現在の練習を続けていればいずれ到達できるレベルも現状に含まれるということです。 会社でいえば、現在の年収やポジションだけでなく

【46】 公式 I × V = R

ルー・タイスのプリンシプルにおける公式 I × V = R について紹介します。 この公式は、 Imagination (イマジネーション) × Vividness (鮮明さ) = Reality (リアリティ) を意味しています。 この「リアリティ」とは、無意識の中にある「世界とはこういうものだ」「自分はこういう人間だ」という信念であり映像です。 この公式は、鮮明さを伴った想像が、無意識におけるリアリティとなるということを示しています。 私たちのマインドは、無意識