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コーチングの基礎

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ルー・タイスのコーチング・プリンシプルに基づいたマインド(脳と心)の仕組みと上手な使い方について説明しています。各記事には1つのテーマの解説と、それに対応するワークが含まれていま…
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#仕事

【9】 エフィカシー

コーチングにおいて中心的な概念をひとつ紹介します。 「エフィカシー(efficacy)」という概念です。 コーチングにおけるエフィカシーの定義は、「自分のゴールを達成する自己能力の自己評価」です。 「自分はその目標を達成できる人間だ」という確信の強さと言ってもいいかもしれません。 「コーチングでは何をするのか?」という質問に一言で答えるなら、「エフィカシーを上げること」と言うことができます。エフィカシーは、それほど重要な概念です。 エフィカシーも自己イメージの一部で

【10】 セルフ・エスティーム

エフィカシーと対になる概念が、セルフ・エスティーム(self-esteem)です。日本語では、自尊心と訳されます。 セルフ・エスティームもエフィカシーと同様に自己イメージの構成要素です。 エフィカシーの定義は「ゴールを達成する自己能力の自己評価」でした。 それに対して、セルフ・エスティームの定義は「自分の価値に対する自己評価」です。 エフィカシーがゴールという未来に起点がある概念であるのに対して、セルフ・エスティームはゴールとは関係なく、どちらかというと過去に基づいて

【11】 セルフ・トークが自己イメージをつくる

自己イメージは、私たちの認識や行動に強い影響を与えています。 私たちのマインドには、自己イメージを維持するように、認識や行動を調節する働きがあるためです。 では、自己イメージはどのようにつくられるのでしょうか? 自己イメージも他の信念と同様、思考が積み重なって形成されています。 私たちの思考は3つの軸で行われています。 3つの軸とは、言葉(word)、映像(picture)、感情(emotion)のことです。 私たちはまず言葉で思考します。 その言葉は、私たちのマイン

【12】 無意識の判断(アティテュード)

私たちは、日々、たくさんの判断(judgment)をしています。 食後の飲み物はコーヒーにするか、紅茶にするか。 電車で席を譲ろうとしたときに声をかけるか、かけないか。 誘われた飲み会に行くか、行かないか。 気になった服を買うか、買わないか 大きな仕事を頼まれたときに引き受けるか、引き受けないか。 判断の内容は些細なことから人生を大きく左右するものまで様々ですが、それらの判断の積み重ねが人生を決めていきます。 そして、その判断を左右しているのが、無意識の判断(アティテュ

【13】 アティテュードについて、もう少し詳しく

私たちは、日々、情動記憶にもとづいたアティテュード(無意識の判断)に影響を受けて、判断をしています。 過去の記憶にもとづいて、「それをしたいか、したくないか」「するか、しないか」といったアティテュードが形成されています。 私たちは過去の記憶にもとづいた判断を無意識に自動的に繰り返しているのです。 その判断の繰り返しによって出来上がった現状は、未来にどうなりたいかではなく、過去の記憶にもとづいたものです。 いわば、目の前の現実ではなく、記憶の世界を生きているようなもので

【14】 無意識の行動(ハビット)

私たちは、日常生活のかなり多くの部分を無意識かつ自動的に行っています。 この無意識かつ自動的に行っている活動が、無意識の判断(アティテュード: attitude)と無意識の行動(ハビット: habit)です。 無意識の判断(アティテュード)が選択に関わるものであるのに対して、無意識の行動(ハビット)は習慣や行動など、より身体的なものです。 「コーヒーか紅茶かを選ぶ場面でいつもコーヒーを選ぶ」というのがアティテュードであるとすれば、「毎朝コーヒーを飲む」というのがハビット