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家族4人が家からいなくなって

妻と子供3人が一足先にアメリカから日本に一時帰国した。
僕は仕事の都合で1か月後に合流するまで、一人でアメリカにいることになった。

空港に家族を送りにいって、家に帰ってきてから、生活がさっそくガラッと変わった。

買い物にいったときにお菓子を買ってと、子供からせがまれなくなった。
なんでそんなもの買ったのと、妻から文句を言われなくなった。
図書館で児童コーナーに行く必要がなくなり、思う存分大人の本を探せるようになった。
車が発信するまでシートベルトつけさせる戦争もなくなり、いとも簡単に移動できるようになった。

自分の思う通りに物事が進むようになったのに、なぜかそれを嬉しく感じられない。

***

共働き、子供3人の生活は自分の思う通りにならないことがほとんどで、
家族がいなくなったら静かで寂しくなるものの、
自分の思うようにいく生活の余裕も出てくるかと思っていた。

たしかに、思うとおりに生活できるようになった。
でも、自分の思い通りのまま、誰にも邪魔されずに生活することは、
こんなに淡白になることにまだ慣れない。

***

パパが作ってみた料理。文句を言う人もいなければ、「意外と美味しいじゃん」とほめてくれる人もいない。
バレーボールの日本戦をテレビで見ても、家で飛び回って家具を壊しそうになる男の子はいないけれど、勝った喜びを分かち合う人もいない。

車に取り残されていたバービー人形を片づけ、
漢字ドリルのまるつけをして、
勝手に子供が使っていたブラウザのタブを閉じる。

生活を片づけていくなかで、
家族の存在を感じずにはいられない。

何日かすれば慣れるのかもしれない。
今日は特別なのかもしれない。
空いた時間を使って、普段会えない人と、つながりを強めるきっかけにもなりそうだ。

だけど、はっとしたことを覚えていたい。

幸せは一生懸命予定を入れたり、お金をかけて掴むだけじゃなくて、
毎日、怒ったり、イライラしたり、泣いたり、悩んだその裏側にいたんだね。

そして、自分たちは毎日、そうした小さな幸せと関係を紡いできたんだな。

四人が無事に到着しますように。
パパは連絡待ってます。

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