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ゴール設定は簡単ではないですよ!

自分の人生を変えたい、もっと成長したいという理由で、上司や同僚に相談したり、自分の興味や課題についてのセミナーを受けたりすることがあるだろう。その場ではとても良い話を聞いて、自分の考えにも変化が起こった気になって、出来ることから始めてみようと小さな決断をしたりする。

でも、しばらくすると、結局、元に戻ってしまう。

もっと悪いのは、他人からのアドバイスで増えた知識を使って、実際には何も変わっていないのに、「私も少しは成長した」と自分に説明して安心してしまうことである。ただの錯覚であるのに。

ブリーフ・システムという言葉がある。

心理学では内部表現というのだが、直訳すると信念体系。その人が受け入れた主張、声明、教義や主義、そしてその人にとっての物事に対してこうあるべきだと信じていることの集まりである。

コーチングの場面では、設定したゴールを達成するには、ブリーフ・システムが新しいものに書き換わっていなければならない。ここでいうゴールとは、現状の外側に設定するものだから、今までの自分のままでは到底到達できないようなゴールのはずである。

逆に言うと、そもそも現状から抜け出したくなければ、コーチングを受ける意味もないし、ゴールを設定する必要もない。でも何か心の中で、変わりたい、成長したい、という思いがあってコーチングを受けに来る。

人の心は複雑だ。

変わりたいけれど、今のままで居たいとも思う。その二つの間で揺れ動いている。だから、コーチが必要とされるのだ。

さて、話を元に戻すと、現状の外側にあって心からやりたいと思うことをゴールとするのである。さらに、やりたいというのは、単に希望ではなく、コミットする/責任を引き受けるという感覚が必要だ。心からやりたいのだから、やってもやらなくてもどちらでもいいと言うことではないはずだ。

よくコーチングのセッションについての説明で、セッションの初めにコーチからクライアントに「今日のゴール(目標)は何ですか」と質問します、と書いてあったりするのを見たことがあるが、そのレベルのゴールではないと言うことだ。

大きな目標や、大きな夢といった言われ方もするが、それもちょっと違う。

クライアントにとって、思考のくせや優先順位、行動パターンなどがガラッと変わってしまわないと達成できないようなゴールと言えばいいだろう。

だから、いまの居心地のいい場所に居たまま達成できるものは、ゴールとは呼びません。

そういうちょっと不安になるようなゴールをクライアントが設定して達成するのをサポートするのがコーチの仕事なので、コーチはクライアントを安心させるどころか、不安にさせるのが仕事と言えます。

でも、心から望むゴールを目指しているクライアントは、コーチのサポートを受けて、それまでの自分であれば叶うことなど全く想像できなかったようなゴールをその不安を乗り越えて、達成してしまうのです。

ところで、あなたのゴールは何ですか?


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