何気なく、を気に留めて

3月に入ってあっという間に暖かくなってきた。私は花粉症ではないが、スギ花粉の飛散量が多少は気になって、毎朝天気予報でチェックするようになった。

街を歩けば春の陽気が誘うのか、人通りも随分と増えてほとんど元に戻ってきたようだ。

私は人混みが嫌いなので、特に繁華街を歩く時は、無意識に人通りの少ない道を探す。すると、いわゆる本通りではなく、一つ奥へ入った少し細い道を歩くことになるのだが、そういう道に古くから続いているお店がポツンとあったりする。ところが最近は、三宮センター街もすっかり古い店が少なくなってしまった。今はネット全盛で、リアル店舗での買い物が減っているのが一因だろうか。

さらに街歩きで言うと、少し前に行った場所に再び行く時には同じルートを通らない。これも無意識の仕業だが、同じ道を通るのは何となく面白みがなく、前回通った道の景色が目に入った途端にくるっと角を曲がって別の道へ向かったりする。

他愛もない話だが、心の中に何か針路を決める針のようなものがあって、その針が都度通る道を指し示しているようだ。

こんな風に、毎日の生活で自動化された心の働きを感じることはないだろうか？

私たちは日々過ごす中で、意識して行なっていることと、無意識に行なっていることがある。どちらが多いかと言えば、多分無意識で行なっていることの方が断然多いだろう。

普段は、その無意識で行なっていることは、無意識というくらいだから自動的に行なっていて、自分では別に気に留めていない。人から指摘されて初めて、「そんなことしていたかな？」とか「そんな癖があるのか」とちょっと驚いたり、もしくは、すでに自分でもそういう傾向があることは認識しているけれど、やっている瞬間は気づかずに自動的にやっている。

それに、無意識にやっていないこともあるだろう。その一つに、見ているのに「見えていない」ということがある。

実際に脳は自分にとって、危険だと思う、もしくは重要だと思うものしか認識できない。逆に目に入ったものをすべて認識してしまったら大変だ。脳の処理のキャパシティを超えてしまって、脳がパンクしてしまうだろう。

ちょっと話が逸れた。

私たちは、些細なことから重大なことまで、さまざまな悩みや課題に日々直面している。

それらをできるだけ素早く解決したいわけだが、無意識をもっとうまく活用できないだろうか？なぜなら、無意識は普段多種多様な状況下で、ほとんど自動的に処理してくれているのだから、悩みや課題も知らない間に解決してくれたら、どんなにいいだろう。

まずは毎日無意識にどのくらい頼っているかをじっくり点検してみるのも価値がありそうだ。

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