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コーチング学習塾の欠点

コーチングは万能ではありません。
意図性をもった生徒との関わりが奏功するのは,下地があることが大前提です。

いかにスゴ腕コーチでも,真にやる気がない子どもの学習を促すことは容易ではないのです。



たとえば,僕は基本的に強制的に学習に向かわせることはしません。息抜きの時間が長くなったり,他の生徒達に話しかけたり,動画を見せたりするなど邪魔になっているようなときは,声を掛けて,本来の塾に来ている目的を思い出してもらうような計らいはしますが,だから無理矢理勉強させるということはありません。

本人が今日はやる気がどうしても出ないとか,眠くてたまらないというなら,5分だけやってみな?と促したり,じゃぁ今日はもう帰りなさいと言ったりします。
(塾は寝るところではないし,遊ぶところでもないので,勉強せずに寝たいとか遊びたいのなら,塾は最適とは言えませんから,家にかえって思う存分寝たり遊んだりする方がみんな幸せなのです。)

結局のところ,目的を見失った行動は,意味のない惰性的な行動ですから,避けるべき行動だと言えます。

端的に言えば中途半端。
しっかりと切り分けて遊ぶんなら惰性でなく本気で遊んで欲しいし,本当に眠いのならベッドに入ってしっかり寝ればいい。にもかかわらず,塾に来てわざわざ遊ぶとか寝るとか,TikTok見るとか,本末転倒ですし,それどころか塾や他の生徒たちへの敬意を忘れているという点でも見逃してはいけないことです。



それでこういった生徒たちにどうやってやる気にさせるのか?あるいは,強制的に学習をさせないのならどのように学習してもらうのか?といったあたりがコーチの腕の見せ所になるわけですが,それでも大前提として本人の向上心は不可欠であると考えます。

つまり,心の底から学習することや,自身を向上させることについて「学習」が役に立つと感じていない子どもには,コーチング効果は低いということです。


やる気ってコーチングで引き出す,みたいなことをよく言いますし,僕も言いますが,正確に言えば,引っ張り上げることはできても,ゼロから生み出すことはできません。


コーチングって,学校の勉強にみじんも必要性を感じていない子どもや,他に夢中になっていることがある子どもたちに,なんとかして勉強をやらせるための手法ではそもそもないということなのです。


そのあたりのアンマッチを防ぐために,最初の無料相談の際に,なんども生徒さんには自分はどうしたいと思っているのか?どうなりたいと思っているのか?成績を上げたいと思っているのか,いないのか。難しくっても,苦しくても,やっぱり勉強はしたほうがいいと考えているのかどうか,みたいなことを聞きます。

お父さんやお母さんにも,コーチングは時間がかかるし,やる気を急に出させるような仕組みじゃないという話はします。

もしかしたらどれだけ時間をかけても,勉強をやりたいということにはならないかもしれませんし,勉強を一生懸命やらずに成績を上げることは難しいと思います。


あれやこれやと言い訳をして自分のやりたいことに真剣に向き合うことを怖がっている子どもたちがその気になるには,様々な要素が複雑に関わっているので,簡単に良い方向に向かうことはありません。

もっと言えば,その良い方向というのも,大人が考える良い方向についてですから,本人にとってどういうふうに映っているのかは,本人しかわからず,それが必ずしも大人の価値観と重なるかどうかはわからないものです。


コーチング学習塾の欠点があるとすれば,大人が思う良い方向へ向かうことなく,子どもの自由を解放するという点です。これもまた人生,それでいい。と思える覚悟がなければ,コーチングだけにどっぷりつかるというわけにもいかないようです。

サポートいただけると燃えます。サポートしすぎると燃え尽きてしまうので,ほどほどにしてください。