「7つの習慣」雑感
「7つの習慣」というのは成功の法則について書かれた本なのですが,成功の法則というといかにも怪しいので,あんまりこういう言い方はしたくないと思っています。
本を読んだだけで成功することもありません。
本を読まなくても成功することもあります。
アメリカ建国以来の偉人たちが残した言葉や,彼らの習慣,考え方をそうまとめにしたものが要するにこれなのですから,怪しいことは何もなくて,むしろ統計とか法則性とかそういうものです。
そして現実に根付いていて,実践的だからこそ,逆にそうやすやすと完成させられるものでもありません。
成功以外の良い言い方はないものでしょうか。
在りたい自分とか,なりたい自分になるとかもよく使いますけれど,これもなんかズギューンって胸を撃ち抜くWORDでもないような気がしています。
成功者というイメージ。
日本人はこの成功者のイメージをあんまりよく捉えていないのではなかろうかと思うわけです。
金持ち。
スター。
IT社長。
アイドルグループ。
なんとなく自分とは違う世界のひとというか,そういうことを目指すことができるのはそもそも才能にあふれる者だけだ,みたいなことを感じてしまって,彼らとて最初から才能だけで成功を目指したわけではなく,日々コツコツと努力を重ねていることは誰の目にも明らかなのに,それには目を閉じて,表面的に憧れたりうらやましがったりする。
しかし,だからと言って自分もやってみようとまでは思わないというか,たぶん目を閉じてやり過ごしている「彼らが重ねたであろう努力や苦労」を自分の身に課すことまではしたくないと心のどこかで感じているのでしょう。
で,それを正当化するために,お金とか地位とか名声とか,そういう言葉に悪い印象を持たせることで,これを避けることにあたかも正義があるかのように振る舞うのです。
でもまぁ成功者って悪いこと別にないです。
日本人で言うならたとえば野球選手のイチローさんなんかを想像してもらえるとよいかもしれません。
お金いっぱい持ってると思いますよ。地位だって名声だって思いのままじゃないでしょうか。でも彼はそれに溺れているような印象ゼロです。ストイックに自分が目指すものを追い続ける。
だってそうでしょう。
そうでなくては,短期的に成功することはできても,中長期に成功を続けることができるはずがないじゃないですか。
ちまたによくある「悪いイメージ」の「成功」は,おおよそ短期的なソレだと思います。
「7つの習慣」でいう成功者は,短期的なものではありません。
長期的に自分が望むことを成し遂げる,効果性を発揮し続けるための習慣です。だからおいそれと「テクニック」に走らないのです。ストイックに人格を磨き続けるのです。
もちろんイチローさんの習慣や考え方をまとめてくれたとて,簡単に真似できるはずはありません。
ただ彼が地道に,コツコツと積み重ねてきたものは,真似すればイチローさんにはなれずとも,それに近いマインドセットは得られると思います。
彼のスゴイのは,世間的にみて大成功して,なお自分のバッティングフォームの修正や変更,調整を常に考え続けていたことです。本当に必要ならきっと大改造だってしたと思います。
短期的な成功でなく,長期的に活躍し続けるというのは変化の連続だったでしょう。ひとところに留まるようなマインドセットでは長く続くことはないからです。絶えず変化し続けることで,彼は彼の居場所を不動のものにしたにちがいありません!
まぁだからそういう難しいことを書いてある本なので,中身は間違いなくスゴイ成果をあげるものだし,なんか楽して成功するとか,1週間で修得とか,本を読むだけでとか,そういうヤツではないし,眉唾で怪しげな何かでもないことに疑いはありません。
未来の自分を創るのは,今の自分にほかなりませんから,未来の自分が自分が満足いくようなひとになっているためには,今そのために努力をするしかないことは多くの人が理解しているのでしょうけれど,その努力をすることができるか,そうでないかが,結局のところ明暗をわけるわけです。
行動するか,しないか。
やってみよっか。
サポートいただけると燃えます。サポートしすぎると燃え尽きてしまうので,ほどほどにしてください。