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未経験の僕が仕事を辞めて学習塾を開校する話その21―個別指導と集団指導の話②―

塾長目線

では今度は塾長目線で考えてみましょう!
塾長目線で考える場合,視点は概ね2つです。

1)生徒達への学習効率を考える視点
2)利益を最大限にしたいと考える視点

個人学習塾を開校するにあたっては常に意識され,たびたびぶつかり合うジレンマ的な視点です。


個別指導と集団指導


個人学習塾が意識するマーケットは,

・中学生の総数
・学力を基準としたターゲット層
の2つを考えれば網羅できそうです。

このとき,個人学習塾がメインターゲットとする中学生の頭数が年々減少しているというのは紛れもない事実であります。
一方で,教育費もそれにあわせて減少しているかというと,そうではありません。それどころか中学生に掛けるお金は年々増えているというデータもあります。


掛けるお金が増えていて,かつ総数は減っているのですから,ひとりあたりに掛けられる単価を上げても大丈夫だということを示唆していると考えれば,これだけで個別指導を選択するメリットは相当にあります。

中学生の数が減っている以上,集客は難しくなりますから,たくさんを一度に効率良く教えてコストを下げるよりは,ひとりひとりにしっかりと時間を割いてコストを上げる方が「たくさんの生徒を集めにくい」に対応できます。



また,学力を基準で考えると個人塾の活躍の場は,基本的に「学習補完」であって「進学対策」ではない点に鑑みれば,ターゲットとする学力層の生徒達への指導をするに適切なのはどちらか?が大切なポイントですから,自ずと塾長目線でも「個別指導」に焦点はあたるのかなというのが僕の印象です。



個別指導の問題点


したがって,内容的には個別指導一択になります。
一方で,難しいのは個別指導を選択するときに生じる問題をどのように回避するのかということですね。

・講師が集まらない
・講師の質
・人件費が増す=会計事務がたいへん
・雇用者が多いと,マネジメントがたいへん
・送迎が増えると,近隣への対応がたいへん

とりわけ講師が集まらない問題は土地によっては顕著なようです。
僕の塾でも講師はほとんど集まりません。

駅の側,大学の側など,大学生が集まりやすい場所は比較的この問題が起きにくいのですが,田舎,駅から遠い,ひとがいないなどの場所では死活問題になりかねません。生徒は集まったのは良いのだけれど,先生がいないのでは話になりませんから,常態的に先生がやや余った状態を目指して運営しなくてはなりません。

さらに夏季や冬季の長期休暇期間は学生がさらに集まりにくくなります。


また,個別指導塾においては大学生をアルバイトで講師に充てるのがスタンダードですが,大学生のアルバイト講師は多くの場合「質が悪い」と考えるべきです。

高学歴とか低学歴とか,そういうことではありません。
大学生アルバイトは仕事に対する意識が低く,当日5分前のドタキャン,無断欠勤,急な退職のほか,その教え方や話し方,生徒への対応について保護者の方から割と簡単にクレームがつきます。

マネジメントや指導をしっかりやれば大丈夫だろうと思うかもしれませんが,大学生アルバイトを甘く見てはいけません。

念のため誤解の無いように言っておくと,大学生と一絡げにしてますが,そうでない学生もたくさんいます。社会人講師でも問題は起きますし,大学生講師だからどうだということではないのは百も承知ですが,学生講師は総じてそういう責任感が薄いひとが多い(社会的に未成熟)ので,問題になりやすいという話です。


いずれにしても講師の雇用には相当に気を遣うべきです。
もちろん個々に資質は異なるので,優秀で責任感のある学生を雇用できれば良いのですが,なかなかそうもいきませんので。


個別指導を選択する塾長は,この点についてはしっかりと認識しておいて欲しいと思います。



集団指導の問題点


集団指導の問題は「生徒への指導効果」と「集客のたいへんさ」の2点です(送迎車問題など,個別指導と共通する問題はあります)。

授業料は安価に設定しやすく,集客さえしっかりできれば売り上げは安定しやすいと思います。

授業をする以上,講師の腕が問われる点で「生徒への指導効果」は重要です。

あわせて集団指導がもともともっている課題である「格差」への対応を個別にどこまでやるのか?など工夫するところもたくさんありますが,いずれにしても集客次第です。しっかり集客できるかどうかが,個別指導よりもたくさん集めなくてはいけないという点で経営を安定させるいちばん重要なポイントですね。



まとめ


塾長目線でも,個別指導が良いかなというのが僕の印象です。
授業スキルを持っているひとは,集団授業と個別指導を混在させてもいいと思います。

上手な授業はそれだけで売りになりますから。



身も蓋もない言い方をすれば,結局のところ,いかに成果をあげるのか?が重要ですから,学力を向上させるノウハウを最も活かせる形態を選ぶのが吉ということになりますね。

その点で個別指導は,学習補完を希望する生徒達へのフォローアップの効果が上がりやすく,保護者のみなさんの満足度も上がりやすいと思います。

客単価を上げて,集客ノルマを減らすか,客単価を下げて通常運営(会計事務やHR事務)の難易度を下げるか,といったところでしょうか。


ご自身のスキルと併せて検討してみてください。


次回《その22 成績の話


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