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「自由遊び」の世界 ②白梅幼稚園から

白梅幼稚園は、教師主導の「設定保育」が中心だった1970年代から、子どもによる「自由遊びの世界」を大切にしてきました。「コマロン」では、白梅幼稚園の先生方のコラムを随時掲載し、「子どもの世界の豊かさ」をお伝えします。今回は、本山方子園長による、園の紹介記事です。

子ども自ら、遊びをつくり出す

白梅幼稚園は、東京都小平市の玉川上水の傍にある、武蔵野の自然に恵まれた園です。この地域は、近くに白梅学園大学を含む三つの大学や、小学校、中学校がある文教地区でもあり、閑静な住宅地が広がっています。本園は1950年に高円寺で生まれ、1970年にこの地に移転してきました。

移転当時は高度経済成長期で、小学校では多くの知識を詰め込む教育が一斉授業で行われていました。幼稚園教育の主流は、教師が活動を設定し主導する「設定保育」を中心とするものでした。この時代にあって、白梅幼稚園は、子どもがそれぞれに興味や関心のあることをもとに、自ら遊びをつくりだす「自由遊び」中心の保育を実践していました。

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この精神は、半世紀経った今でも継承されています。子どもが事物や人に触発されて興味をもったことを試したり、やり続けたりして自分の世界を広げていく――この姿は園のあちこちで見られます。

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結果として、子どもだけでなく、大人も気づかされることの多い日々を送っています。

「子どもも、大人も育ち合う」を問い続けて

本園は白梅学園大学附属の幼稚園であり、大学・短大と研究や教育、ワークショップなどで連携や交流を行っています。また、未就園児クラスや預かり保育を開設し、子育てや就労など生活スタイルの変化を支援すべく取り組んでいます。

子どもの育ちにとって何がよりよいことなのか、子どもも大人もそれぞれに育ち合うには、どのような場が望まれるのか、問い、考え、かたちにしていく園であり続けようとしています。

白梅幼稚園からお知らせ

白梅

【書き手】本山方子園長。白梅学園大学子ども学部教授。同大学院子ども学研究科科長。専門は教育心理学、幼児教育学。子どもの遊びや活動の面白さをひもとくと、子どもなりの工夫の機微が見えてきます。その機微は、大人側の思い込みや既定の見方を変えたり脱したりしないと浮かび上がってこないことがしばしばあります。遊び一つどう捉えるかというところに、子どもと大人の関係のありようが見えてくることに興味をもっています。