北海道のB級アイスホッケーを見てみよう(3)アリーナへ行く前に
第1回と第2回で、社会人B級アイスホッケーのあらまし、日程と会場をお話ししました。
今回は、じゃあ観に行こう!と思ったときに準備しておきたいことを、初心者の老婆心でお伝えします。
屋内ってだけで大勝利
…という話を社会人野球に倣って書こうと思ったのですが、あちらの会場がほとんど屋外なのに対し、アイスホッケーは屋内のもの。
いかなる天候でも観戦の安全が保証されるってすばらしい。
こんな目に遭うこともありません。
屋外野球場を襲う無慈悲な豪雨(100mm/h)
あれ、意外とおばあちゃんの出番ないかもしれない……。
前置きはそのへんにして。
試合の流れ
アイスホッケーの試合は1ピリオドを20分とし、間に10分~15分の休憩を挟み3ピリオド計60分で行います。
1ピリオド20分といっても、プレーが中断したときは時計を止めるので、実質30分ぐらいを要します。
一試合の所要時間は、延長なしの場合2時間少々。
60分で決着がつかなかった場合は5分間の延長戦を行います。
延長戦は、GK以外の選手を3人で行う「3on3」、かつ、どちらかが先にゴールしたら勝利のサドンデス方式。
延長戦でなお決着のつかないときは、一対一で交互にシュートを放ち成否で勝敗を決める、ペナルティショット・シュートアウトを行います。
ペナルティショット・シュートアウト(画像はみつる(@k_mitsuru_n)さん提供)
観客は動かないから寒い
ここからは会場へ行くための心の準備。
スケートリンクは寒い。そりゃそうだ。氷を張るのですから。
かといって北海道の冬の外気と同じぐらい寒いか?というと、そうでもない。
体感10℃ぐらいではないかと思います。
手袋がなくても耐えられて、屋内だから風もない。
会場のロビーや廊下は暖房が効いていて、そこからリンクへ足を踏み入れた瞬間は、どこも「意外と寒くない」と感じます。外が寒いと特に。
そこで勘違いすると危険です。
我々は試合を観に来ています。1ピリオド20分正味30分、それを3回分、客席でじっとしたまま耐えることになるのです。
時間が経つほど寒さが身にしみてきます。
到着時「なんだ寒くないやん」
↓
1P終了「十分耐えられるわ、ヘーキヘーキ」
↓
2P終了(ロビーの暖房)「あったけぇ…ありがてぇ…」
↓
3P「…………」
備えよう。
アイスホッケー観戦時の服装
実は私、これをあまり深く考えたことがありません。
観戦シーズンは既に外気が寒く、かつ、冷え性なので、冬の外出と同じ格好で行ってしまいます。
要点は「体の熱を逃さない」「ケツと露出部を冷やさない」こと。
それが頭にあれば、手持ちのアイテムで臨機応変に対応できます。
ここまでしなくても大丈夫。
私が観戦するときはこんな感じです。
・長袖のニット
・保温性の高い長袖インナー
・ロングスカート+厚めのタイツ
・暖かい靴下(会場で重ね履き)
・腹巻き
・靴の中敷き
断熱性を重点したもこもこの中敷きが役に立っています。
・暖かいアウター
一般的にベンチコートや丈の長いダウンが推奨されていますが、私はどちらも持っていないので、厳冬期用のウールコート。
ロングコートだと浮く時期はショートコートにして、後はひたすら武装しています。
車で行く人は何でも放り込めば済むけど、公共交通の民は荷物を増やしたくないし、道中奇異の目で見られたくない。
そんなときは、嵩張らず重ねられるものを増やしましょう。
観戦時にあるとよいもの
・ブランケットまたは大判のストール(できれば複数)
腰からお腹まですっぽり包めるものがよいです。畳めば座布団代わりに。
座面の冷たさから尻を守るには座布団でもよいのですが、嵩張りますし、レジャー用の折りたたみクッションでは心許ない。
GUやユニクロが出している2wayストールが、使い勝手もお値段もいい感じ。
・カイロ
いうまでもない大正義アイテム。
お腹と腰に貼ると100万パワー+100万パワーで200万パワー!いつもの2倍の熱量が加わり、200万×2の400万パワー!そして足用を加えれば、3つの熱源で400万✕3の1200万パワー!
それでもバッファローマンに倒されることは……ある……
・手袋
できれば手首までカバーできる長めのものを。
試合中写真を撮る、頻繁にスマホを使う方は、指先のないタイプが便利です。
・ネックウォーマーとかマフラーとかニット帽とか
ないとしぬというほどではない。うそです。
首を覆うものはありなしで大違いだと、厳冬期に学びました。
ここまでは一般的な観戦ガイドと同じですが、
声を大にしていいたいことがあります!
・大会プログラム
大事。
参加チームの登録選手一覧があり、社会人アイスホッケーにおいてはこれがないとよくわからなくてしにますし、後から調べようとするとめんどくさくて詰みます(※)
大会プログラムは会場にありますので、できれば観戦前に入手しましょう。
目立つところに置いていない場合は、大会本部でいただくことができます。(増刷中でなければ)
※後日主催連盟のホームページにゲームシート(公式試合記録)が載りますので、少し手間ですが、そちらで出場選手を確認することができます。詳しくはこちら。
そして公共交通機関で移動するひとへ。
快適さをカネで買う余裕
これを大事にしてください。
北海道の冬は寒く、会場まで歩いて行ける距離でも、移動のうちに冷え切ってしまうことがあります。
それが見知らぬ土地で、道に迷ってしまったら。
地吹雪に見舞われたら。
バスが遅延して10分待たされたら。
観戦以外で体力を消耗するのは、得策ではありません。
不安だな、と思ったら迷わずタクシーを呼んでください。
釧路駅から日本製紙アイスアリーナまで約1,500円、東室蘭駅から中島スポーツセンターまで約800円、沼ノ端駅からダイナックス沼ノ端アリーナまで約800円、旭川駅から大雪アリーナまで約600円です。
帯広の森は……一説に帯広駅から3,000円ぐらいかかるとかなんとか。
そして、冬の北海道は、交通機関が乱れがち。
悪天候ではなくても、道路状態が悪いため、バスは日常的に遅延します。
JRとバスを天秤にかける状況でしたら、高くてもJRでの移動をおすすめします。
(そのJRも、止まるときはあっさり止まりますが…)
無理のない観戦計画を
私がアイスホッケーを何度か観戦して感じたのは、「知らないうちに体力を使っている」ということです。
2019年の暮れ、札幌から旭川入りして夜1試合観戦(PS戦までもつれ込む3時間ゲーム)→1泊して2試合観戦のち帰宅→翌日朝に再び旭川へ行き1試合観戦、という遠征をしたのですが、
帰りの列車に乗った途端、猛烈な疲労感に襲われて爆睡してしまいました。2日とも。
社会人野球だと、6時に家を出て球場へ行き、屋外で3試合12時間観ることもよくあるのですが、そこまでヘトヘトになったことはありませんでした。
アイスホッケーの場合、動きが速く、かつ攻守が目まぐるしく変わるので20分集中を絶やせないこと、そして会場が寒いことから、座って観ているだけでも消耗するのかもしれません。
そして先程も触れましたが、雪国の冬季の交通は安定しません。
自家用車を含めて移動時間には余裕を持つこと、万が一を見越して代替手段を頭の隅に入れておくことをおすすめします。
体力と時間と懐、どれも限りある大事なものです。
せっかく観戦に行くのなら、ついでにあれもこれも…と、計画を膨らませがちですが、くれぐれも無茶はせず、できる範囲で行動しましょう。
それでは、たのしい観戦ライフを!
この記事のイラスト:いらすとやさんからお借りしました。