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帰国した!から行ってきた!

1か月余りの旅を終えて10月30日にミュンヘンから羽田、羽田から伊丹、伊丹から電車を乗り継いで。ようやく京都に帰った。
その日はあえて母には連絡せず、翌日の11月の1日そのまま電車に乗って母のところに行く予定にしていたが、目覚めると外は雨。気持ちがいっきょに萎えてしまったので電話をして、明日行く旨を伝えた。電話せずに行くつもりだったのになぜ電話をしたかと言うと、父 、じいじのホームにもっていく冬用の衣類を母に前もって準備してもらうためである。

電話をした。「帰国したよ。帰ってきたよー。ドイツにから帰ってきたよー」と伝えたが、反応が鈍い。まぁいいやと思って明日行くねと用件を伝えた。
母「聞こえにくい、何か電話が遠い。」私「それならかけ直してみて」と言って、折り返しの電話を待つ。なぜか私から電話をすると電話が遠いとか聞こえないという母。理由はテレビのボリュームを大きくしているからである。

しばらくすると折り返しの電話がかかってきてたので、明日行く旨を伝えた。
私「明日行ったらお父さんの服をホームにもっていくから、その用意をしてね。」と伝えたが反応が薄く、とっても心配なので
私「メモにして。ここで待ってるから。メモとペンを用意して控えといて。」と伝えた。
一通り用意するものを伝えた後、
私「それじゃあまた明日行くから用意しといてね。」と言って電話を切った。ドイツから帰国したことやドイツの話について母から出てこなかったので、そのままスルーして電話をおいた。

11月2日、阪急電車を乗り継いで、実家に。

玄関のドアを開けて「ただいまー。帰ってきたよー!」と大きな声で挨拶をしてみたが、全く一向に母が出てくる様子がない。仕方がないので靴を脱いでリビングのドアを開けると母がキョトンとした。「あら?」その反応見て、「ただいま帰ってきたよー」って聞こえへんかった?と尋ねてみたが、それに対しての返事はなかった。気を取り直して昨日伝えた用件を確認するために、母に尋ねてをしてみた。
「お父さんの洋服は用意できてるかなぁ。」
と聞いてみるもキョトンとしている母。
リビングの机の上に目をやるとメモ書きあり。そこにはプルーのマジックでセーター、ズボン、下着、昨日私が電話をした事は書き留めているようだが、そのことを実行に移すことを忘れている。まぁ仕方がないと思って、
「このメモの洋服はどこにある?」
とすっトボケて聞いてみた。
またもやキョトンとした目をしていた。「昨日電話したやんかで服用意してって伝えたから、ここにメモ書いてあるやん、それでその洋服はどこにあるのかなあ?」ともう一度丁寧に聞いてみるが、またもやキョトン。
とはいえ服を持っていかなければならないので、
「じゃぁ一緒に用意しようか。お父さんの洋服どこやろうか」
と私は知っているが、知らんふりして母がどういう反応するのか見てみた。ちょっと意地悪なことをしてしまった。ごめんねお母さん。
母の口からは
「もうお父さんの服は全部持っていったから家にはないねん。」と言う。
私「えっそうなん?」
多分家にまだあると思うけど。前に持っていったのは春服と夏服やと思う。パジャマも用意してって言われてるから冬服のパジャマも探してと伝えると、いやそれも持っていってるから家にはないと言う。
押し入れを探し始めて、やはり母はないと言う。
押し入れの中を自分の服に衣替えをしていた。今まで父の服がぶら下がっていたところは、ほとんど母の服に変わっていた。そう、母は片づけ上手で片づけることが好きな性格、それが今では片づけ過ぎてどこに片づけたのか思い出せなくなることが多くなった。しかし、押し入れダンスの引き出しを開けると、父親のパジャマ青とズボン一式きちんとたたまれて入っていた。さすがスーパーお母ちゃん! と感心しながら衣類を取り出し、母には袋に入れて持っていけるようにちゃんとたたんどいてとお願いをした。一方、私はそれをもっていくべく、紙袋を探しに部屋を出た。紙袋を手に再び母の元に行く。私は1ヵ月もの間留守にしていたので、冷蔵庫がほぼ空になっている。

週一回、母の家を尋ねて行って食糧他の買い出しするのが実家での私の役目。

ということで、冷蔵庫を満たすために買い物に出ることにした。欲しいものや食べたいものを母に聞いて、私が買い物の間に父の洋服を紙袋に入れて置いてと頼んで家を出た。

食料品を山ほど抱えて帰ってきた。実家は小高い丘の上に立つ一軒家。エコバッグを両肩に下げて坂を上がるのは普段からランニングをしている私でさえ一苦労、年老いた母には無理である。
冷蔵庫にエコバッグの中身をを詰めながらの母の作業の進捗状態をきいてみた。「用意できたかなぁ」と母に尋ねると、紙袋を差し出した。中に靴下以外入ってない。えっ、なんでと私は心の声が出そうになった。でもそれを責めても仕方がないと思い直して
「あーまだ用意できてないんや。そしたらこれも詰めといてえー。」
ともう一度母にお願いをしてみた。

父の施設に行くのに、もしかすると面会ができるのではと思い母に意向を聞いてみた。
「一緒に行く?面会できそうだったら、行ってみない?」
と尋ねると「行きたい」と即答の母、なので施設に面会可能かどうかを確認した。施設長が電話に出てきてくれた。「大丈夫」と言ってくれたので、母と一緒に行くことにした。
ところが行く寸前になって、母は怖じ気づいたのか、ちょっと気分が悪いと言い出した。なぜ?今頃?半年以上ぶりに父 じいじに会うのにやはり緊張したのか?なんだろう。母の気持ちの中で混乱が起きたのか?まぁそれは仕方がないかなと頭の中で思いながらも、
「いかへんの?ほな私ひとりやね…。」
と残念そうに伝えると
「行く!」とあっさり応えたので母には歩いて駅まで行って、電車に乗り、また歩いて施設に行く行程を再び伝えた。その時、あっさっきの気分が悪いって言い出したのは、この歩く行程に自信が持てなかったのかなぁ、と思った。
(続編につづく)

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