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デジタルガバメントとeガバメント

今、政府が熱心にやろうとしているIT政策と言えばデジタルガバメント。行政の手続き (国民の手続き、事業者の手続き、政府内部の手続き) を原則デジタル化しようという考えで、今まで紙に書いてハンコを押して役所に出しに行ったり郵送したりしていたものをパソコンやスマホ、タブレットなんかですまそうというものです。安倍首相も昨年末に「行政の電子申請において紙の添付書類を全廃せよ」という指示を出してました。

でも、この手のことと言えば、もう何年も前から、e-ガバメントとか電子政府とか呼ばれる政策が進められており、今度のデジタルガバメントとどこか違うのか?という疑問も当然に起きてきます。「どうせ、似たようなことを看板だけ変えて新しいように見せてるだけじゃない?」そんな風に仰る方も、きっといることでしょうね。

ただ、実際のところ、このe-ガバメントとデジタルガバメントには少し違いがあります。考え方として言えば、e-ガバメントは、これまでの様々な業務を電子化しようというもので、業務自体にはあまり変化がありません。それまで紙で出していた申請書類をエクセルやPDFで出してもらうことで、ペーパーレスによるコスト削減を測ったり、書類の共有や管理を簡単にしようとするものでした。

でも、これだと結局、申請書とかに色々なことを書いてもらい、メールとかの添付ファイルで送ってもらうという手間はあまり変わりません。それにせっかく送ってもらっても、PDFだと、その記載内容をデータとして取り出せず、利用できないなんてこともあるわけです。申請書に “氏名:細川義洋” と書いてあっても、それがペイントブラシで書いた画像のように “絵” として捉えられたら、これを氏名データとして使うことはできませんよね。エクセルにしても、ちょっと前に言われた “紙エクセル” のようにセル結合されていたり、一つのセルに住所と氏名が一緒に書かれているフォーマットだと、やはりデータとして活用することができません。

せっかく申請書に書いてもらった数多くの項目も、それをデータとして扱えなければ、結局、政府のシステムはワープロ程度の意味しかもたないわけです。

そこでデジタルガバメントでは、この辺りを改めて、申請者が入力してくれたものを政府内でのデータとして扱おうという考えになりました。様々な申請や届け出は原則WEBで入力してもらいます。WEBで入力したデータは基本的に再利用可能ですから、例えば、私がある役所あてにマイナンバーと氏名と住所、その他色々な属性情報をWEBから入力して登録すると、それが政府内で共有され、次に別の役所で届け出をするときには、マイナンバーを入れるだけで私の情報が自動的に画面に出てきて修正する以外には入力する手間が省けます。

これはあくまで私が一人で考える妄想ですが、例えば、私が税務署で税金支払いの手続きをすると、社会保険の届け出のときにも、引っ越しの届け出のときにも、国民宿舎や休暇村でバケーションを過ごしたいと思うときにも、マイナンバーをWEBから入力してしまえばいいわけですからこれは便利です。 これを受け取った役所や施設もそのデータを書類に転記したり、パソコンから別途入力することなく、ただ確認すればすむことになりますので、随分と省力化になります。(あくまで私個人の希望ですが、技術的には可能になる筈です。)

デジタルガバメントこういう考え方のことを “ワンスオンリー”と言ったりします。 つまり、国民が一度出した情報の再提出を求めないということで、これを徹底することで、国民の工数も行政のコストも格段に抑えることができ、国全体の生産性が上がります。少子高齢化による生産年齢人口の減少が避けられそうにない我が国にあっては、貴重な国民や役人の時間と労力を無駄な書類づくりでつぶさせないという考えは、それなりに大切です。

デジタルガバメントという考え方の一端をご理解いただけたでしょうか?もちろん、この構想については、まだたくさんの施策と考え方がありますが、長くなったので、今回は、これくらいにしましょう。

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