見出し画像

はじめての個展・振り返り(その3/制作編)

こんにちは。

作品の制作が終わってからも様々な準備が続きます。
1月前半の出来事です。この辺のまともに生活していた記憶がないなぁと思ってましたがやった作業自体はちゃんと覚えていました。あと、生み出された段ボールの数がすごかったり部屋と言えない空間と化していた記憶。

印刷・グッズ制作について書いたら、意外と書くことが多すぎたのでこの話題に閉じた回になります。


印刷・額装

私のイラストはすべてデジタルで制作しているので、展示作品としてどう印刷するかも大きな要素になります。

今までの展示は、ほぼキャンバスに印刷する方式をとっていましたが、額装されているほうが高級感もあり購入につながりやすいとアドバイスを貰ったので、初めて額装ありかつジークレープリントでの印刷にトライしました。
ジークレープリントは高品質のインクジェットプリントの一種でとにかく細かい所まできれいに印刷されるのと、紙の種類によってインクの発色や雰囲気がガラッと変わるのも面白いです。最近扱っている印刷業者が増えておりメジャーになってきている手法かなと感じます。

印刷自体は、清澄白河にある徳川印刷さんにお願いしました。印刷からマット制作・額装まで一気にやってくれるのと、おためし印刷などのサービスも便利です。あと、オフィスのある清洲寮という建物がレトロでおしゃれです。

額はこだわりがあれば自分で調達したほうが良いと思いますが、私はイラストがカラフルな分、額はシンプルで主張しないものにしたかったのですべて徳川印刷さんで扱っている黒枠のものにしました。イラストのテイストに合わせて選ぶのが良いと思います。

画像6

年越し餃子ガール

展示ではこの子がダントツで人気だったので、作者も嫉妬するレベル

グッズ制作

これに関しては、絵描きとは全く違うアプローチが必要となる活動なので、何度か経験したにも関わらずもれなく大変でした。
もはやイラストレーターではなく、企画・市場調査・仕入れ先選定・デザイン・発注・在庫管理・営業/PR活動という、会社だったらいくつの部署とコンタクトとるの?ってくらいの役割を一挙に担う人ととなり、ある種のお祭り状態になるのがグッズ制作だと思っています。

経験者の方はご存じだと思いますが、グッズ制作は以下の流れで行われます。順を追って思ったことを書き連ねていきます。

①グッズの候補決め
②印刷業者の選定
③デザインデータ作成
④注文・データ入稿
⑤価格設定

①グッズの候補決め

まず前提ですが、グッズは欲しい人のために必要な分だけ作るものだと思っています。在庫が残り、ただでさえ狭い自宅にダンボールが充満するのは当然避けたいことです。そして私は自分のグッズが売れるかどうかは正直、全く自信がありません。自分が勝手に作って販売するものより、コンビニの棚に陳列されている雑誌の付録とか、たべっ子どうぶつのパッケージ柄の可愛いポーチとかのほうが皆ずっと欲しいだろうなどと思っています。
(↓こういうの)

ですので、特にグッズの候補に関しては、友人知人、フォロワーの方々の意見を聞くようにしています。今回はすでにリクエストがあったものを候補としたり、Instagramのアンケート機能で新たに募集したりしました。

画像4

唐突なストーリーでの募集

こういうものに反応をもらえたり自分が思いつかない意見をくれると参考になるしとてもありがたいです。結果、意見が多かったものの中から、用途がイメージしやすいもの・現実的に作れそうなものをピックアップしました。
傾向としては、Tシャツやトートバッグの身に付けるもの、またポーチやキーホルダー・アクキーなど小物といったメジャーどころがやはり多かったです。クリアファイルとかメガネ拭き(私も欲しい)などの意見もありましたが思ったよりコストがかかるようでビビって採用できませんでした。

最終的に出したものは、既存グッズも合わせると計8種類で、個展でのグッズ展開としては妥当な点数かと思います。

他にもアンケートで、私の絵に出てくるアクセサリーや、虎のスカジャン自体が欲しいという意見があったのですが、確かに欲しいし夢はいくらでも広がるんですが、リクエストが高度過ぎて作り方が全く分からないです。精進します。

②印刷業者の選定

作るグッズの候補が出たら、それに見合う商品と印刷サービスを提供している印刷業者を探します。今回は、ギャラリーのTOKYO PiXEL.さんが案内してくれた所をメインに、ググって出てきた業者さんもいろいろ比較しつつ、仕様や価格が妥当なものをリストアップしました。

ここでの細かいチョイスは完全に自分のセンスです。どのイラストがグッズ化しやすそうかをイメージしつつ、自分だったらこう使う、こういうのが欲しいなという感覚で選びます。例えばポーチというリクエストだけは貰っていましたが、キャンバスかビニールかといった素材や、サイズについては自分であれこれ悩んで決めていきます。

画像2

オーロラポーチ

普通じゃ面白味に欠けるし、イラストが好きな人が買うなら文房具や小さいメモ帳なども入るサイズのものがいいかと思って探した結果ピッタリだったのがこちらです。ビニール素材で丈夫なのと、オーロラ色に光りまくるのがイラストの雰囲気に合う気がしているのがお気に入りポイント。

画像2

ホログラムステッカー3点セット

ステッカーがあれば買う!とよく言われていたので絶対作ろうと思ったものの一つです。最近はダイカット(型抜き)で小さめのスマホケースに入れられるものが流行っている印象なのと、写真だと分かりませんがこれもホログラムで光りまくるのがかわいいと思い決めました。

グッズ選びのノウハウについては、色んな商品を見て作る経験を積み重ねるか、周りの人・できれば詳しい人の意見を取り入れていくかの方法になるかと思います。また、それらが両方あると最強だと思います。

今回は自分の感覚を頼りましたが、途中「これ本当に欲しい人いるのか…?」と不安になり人の意見が欲しいと思う瞬間が多々ありました。本当に悩んだときは友人にLINEして意見を求めたりもしました。
私の場合、過去のイベントやSUZURIなどで販売していたり、他の作家さんの展示に行くたびにグッズのラインナップに注目していたので、ある程度の基準ができていたと思いますが、いきなり未経験でグッズを個展に出せる数作れと言われたら間違いなく誰かに泣きつくと思います。というか今後も泣きつきたくなると思います。

聞ける人が身近にいない場合ですが、おそらくギャラリーの方に聞けばグッズ制作のアドバイス/ディレクションまでしてくれる業者さんなどにつないでくれたりもするのかな?と思いました。もちろん費用はかかると思いますが、プロに頼んだ方が自分の知識や地道なアンケートをやるよりもいいものが生まれたり作業効率が上がる気がします。今回は自分のせいで時間がなかったので全くその辺を追究しなかったのですが、次回からはもう少し賢いやり方でやっていきたいと思います…。

※もし私が利用した業者さんを知りたいという方がいればお気軽にご連絡ください

【後日追記】コメントで知りたいというお声があったのでこちらにも載せておきます。
■Tシャツ・トートバッグ・エコバッグ
https://up-t.jp/
→デザインが画面上で調整できて楽です
https://www.forcus.co.jp/
→バッグ類の種類が豊富な印象です
■ステッカー
https://cornerprint.thebase.in/
→ステッカー以外も個性的なものが揃っています
■ポストカード印刷、他
https://www.graphic.jp/
→DMやキャンバス印刷もこちらです
https://retroinsatsu.com/
→リソグラフ印刷(レトロな風合い)ならこちら

③デザインデータ作成

ここからは実際にグッズにプリントするための元絵・データ作りです。ザ・地道な作業です。私はグッズ向けに絵を描き下ろす余力はなかったので、すべて描き上がったイラストをもとにしました。

ほとんどの印刷業者さんがテンプレートを用意していたり、入稿時のサイズ指示があるのでそれに基づきデータを作ります。大体がpsdかaiファイルでの入稿になるため、ここからはひたすらAdobe祭りで、Photoshopとillustratorを駆使した格闘が始まります。これらのソフトが環境/経験的に使えないという方は、jpgやpngなどでも入稿できるものもあるので対応する業者さん・商品を探すことになるかと思います。

自分は描き下ろしこそしないものの、変な凝り性が出てしまって、イラストをそのまま使わず文字を入れたりパーツ配置や色調をあれこれ変えたりしてデザイン作業自体に非常に時間がかかりました。ここの凝り具合は本当に人によってまちまちだと思います。

画像3

商売繫盛トートバッグ

元は濃紺×赤ベースの一枚絵ですが、それよりシンプルな商標・チラシをイメージしたデザインに組みなおし、かつ色を個展での販売限定で青×オレンジにしました。地味にここに入れる英字や架空の店の名前を決めるのにも手こずりました。我ながら頑張るポイントが謎。

④注文・データ入稿

ここまで来たらあとは注文して入稿するのみです。…といいつつここでも大いなる迷いが生じます。それは「いくつ発注するか」です。

おそらくちゃんとやるならば、過去における各曜日の来場者数をヒアリングし、個展の開催日数と自分の知名度や過去の販売実績の掛け合わせでどのくらいの人が来そうかを予測し、かつリアルだけではなくオンラインでの販売もあるので加味した個数を算出し…(遠い目)とかやるのでしょうけど大変すぎるのでそんなことはしません。

今回はTOKYO PiXEL.の方と相談をしながら、仮版の商品リストを見せつつ個数が妥当かどうかを聞いていき、その数を参考にしました。
また、イラスト集などは個展後も長期的に在庫を持って販売したかったので妥当な数にプラスし多めに作るなどの調整も行いました。
結論、これも「詳しい人」に聞くのが一番だと思います。

あとは入稿日時の意識がやはり重要になってきますね。例えば午前12時までが当日入稿分となる場合、1分でも遅れたら希望する発送日に間に合わなくなるので、ここだけの話、なにか間違いに気づいたときに会社の業務時間中にデータを血眼で修正して送るなどということもしていました。在宅勤務万歳。…といいつつ、そもそもスケジュールに余裕があればそんなことにはならないのは知っていますが。

⑤価格設定

これに関して私があえて語ることでもないかなとは思いますが、しいて言えば他の作家さんの展示での価格設定をここでもかなり参考にしました。

あとはギャラリーの立地や来場者の層によって価格帯が変わることもあると思います。例えば原宿や渋谷だったら同じTシャツが7000円位しても妥当とされるけど、下町や都心から離れた立地だったらもう少し価格を抑えたほうがいいという目安はありそうだと思いました。

絵自体に関してもそうですが、どうしても作家側は一人で作っている以上自分の成果物にこんな高い金額を設定していいんだろうか?と思ったり、消極的な価格設定をしてしまうと思います。(少なくとも自分はそう思いがちです)ですが、会場の販売手数料だったり少数生産で原価が高くつくこともふまえつつ、利益を確保できる価格にすることが健康だと言い聞かせ、ある程度機械的に価格設定をしています。あと、自分にブランド力がついてくればファンの方はそんなに値段は気にしないのかもしれません。
この辺の作る側と消費者側のバランスは今後もうまくとっていきたいと思っていますが、どうも苦手な分野です。

今回のまとめ

グッズだけでも語ることが多いのですが、個展はあくまでイラストがメインでありグッズはおまけという位置づけだと思うので力の入れ方はバランスを意識したいところです。とはいえグッズはフォロワーさんからも要望いただけることが多いですし、好きなイラストを身に着けられる・持ち歩けるといった価値は大事にしていくものだとも思います。
ということで、グッズを作ると決めたら/求められる場面になったら、しっかり企画から期間をとって考えていくべきだと改めて思いました。あとは自分一人で完結させず、他に意見を求めたり、慣れてきたら制作をまるっと外注するほうがいいのかなと思いました。(初期は一通り回してみるのも勘をつかむためには重要だと思いますが)
自分はこの辺をなんとかなるだろうと思い、作品作りをギリギリまで粘った結果、グッズ作りにかける日数が全然とれずにハチャメチャに睡眠を削る羽目になりました。最終奥義・力技でなんとかする戦法はそろそろ封印したいものです。

画像6

ちなみに、今回作った中でも特にお気に入りなのがこのイラスト集です。個展ではこれだけ買っていかれる方が多いですし、画面越しに見るのとは違うという感想をしばしばもらえます。作家にとっても持ち運びできるポートフォリオにもなりますし、一定期間の作品群の区切りにもなるので個展をやるなら作っておきたい一品だと思いました。
オンラインショップでも売ってます(さりげなく宣伝)

改めて振り返ると今回は、前回その2でとにかく右脳を振り絞っていた様子とは対極の、左脳フル回転な作業ばかりだなと思いました。そういや、当時そのようなことをツイートしていましたね。個展は脳トレ。

次回、ようやく仕上げのフェーズに入ります。
宣伝活動、搬入・設営と続く予定です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?