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離島で育まれた、おせっかいの連鎖と絆(鹿児島県薩摩川内市)

鹿児島県甑島(こしきしま)の医療者不足は深刻で、長年外から人が来ない状況が続いていました。そんな中、2021年4月、20年ぶりに県外から4名の看護師が採用され、島での新しい生活が始まりました。離島医療の研修として1年間の滞在を予定していた彼らを、島の漁師で料理人、養蜂家の「のぶさん」が温かく迎え入れました。

よそ者を家族のように迎え入れる「のぶさん」

60代ののぶさんは、もともともてなすことが好きだったので、よく島の住人を招いて『のんかた』(甑の方言で飲み会、集まりのこと)を開いて、料理や養蜂を通じて看護師たちをもてなし、島の暮らしや海のこと、さらには養蜂についても教えてくれました。また、観光に連れて行ったり、他の住人と引き合わせたりと、さまざまな形でおせっかいを焼いてくれる存在でした。その「のぶさん」のおせっかいに応えるように、看護師たちもおせっかい返しを開始します。

おせっかいの連鎖が生んだキャンドルと食堂

看護師たちは、のぶさんの養蜂を手伝う中で、余った蜜蝋を利用してキャンドルやみつろうラップを作るワークショップを開催。さらに、SNSやHPを使って、ハチミツや商品を広める手助けをしました。そうした交流を深める中で、彼らは島の医療にもっと貢献したい、高齢化が進む島を活性化させたいという思いを強めていきます。

1年間の予定だった研修も、4人中2人がその後も島に残ることを決意します。特に「けいちゃん」は、診療所勤務を続けるだけでなく、訪問看護や特養でも活動を始め、さらにはのぶさんの夢だった食堂の開店を手伝います。古民家を改装して作られたこの食堂は、2023年9月にオープン。看護師が働く食堂として、住民との健康相談の場や、島外の医療従事者との交流の場としても機能しています。

島で育まれた未来への希望

のぶさんの温かいおせっかいと、看護師たちの恩返しによって、島に新たな風が吹き込みました。医療が足りない中でも、人と人とのつながりやお互いを思いやる心が、島の未来を支えていく大きな力になっています。


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