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祖母孝行(#35)

今年に入って数年ぶりに祖母と電話した。
祖父はもう他界しているため私には祖母しかいない。
祖母はスマホもパソコンもないのでビデオ通話はできない。
祖母の家の固定電話へ電話をした。 
(私が小さい頃はダイヤル式の黒電話だったけど今もそうなのだろうか?)

他愛もない会話をしていると、
「住所は変わってないのか?」
と聞かれた。

「ん?なんで?」

祖母曰く、

何年か前の住所だから引越しているかもしれないと思って聞いたのよ

とのこと。
確か数年前に旅行先から祖母へお土産を送ったことがある。
おそらくその際に送り元として記入した住所を控えていたのだと思う。

「〇〇の△△丁目の□□から住所変わってない??」
「うん、変わってないよ」

そこでふと気付いた。

そうか、ひとり暮らししてる孫の住所なんて、いつ変わってるかわかんないよな…

年賀状のやり取りはない。
ふだん祖母と会うときは祖母の家に行くことがほとんどで、わざわざこちらの家に招くことはない。
祖母の家に行くと不思議と落ち着く空気が流れているのでそれを楽しみにしている。
親には万が一の時のために住所は伝えてあるが、祖母には伝えてない。
祖母が住所を知りたかったなんて全く想定してなかった。

よくよく考えてみると、住所を教える機会なんて全くなかったのだ。
祖母の住所は私が生まれたときから変わってないので、そこまで頭が回らなかった。

話を戻すと、こちらの住所を聞いた理由は送り物をしたかったとのこと。
住所が変わってるかもしれないと思って躊躇っていたらしい。
わざわざ住所を聞くために電話するのもどうかと思っていたが電話が来てよかった、とのこと。

「住所知りたいなら母親に聞けばいいのに」
と頭をよぎったが、ぐっと堪えた。
と同時に、
「あれ、もしかして、たまには孫と話したいのかも?」
との思いが湧いてきた。

私はもう30歳も超えている。
会社には後輩もいるし、
社会では一人の大人扱いされる年齢だ。

だが祖母から見れば、赤ちゃんの頃から世話した孫でしかない。
私がいくつになろうとも、祖母にとって孫は孫なのだ。

これは孫としての役割を全うしなければ!

親孝行も大事だが、現実的な話、祖母の方が先は長くないだろう。
祖母とあと何回会えるかもわからない。
祖母孝行について思いを巡らせた年始の出来事でした。

送り物きたら何かお返ししようかな。

※2021/01/09
誤字修正

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