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公設学童と民間学童の違いとcommonの果たす役割

common施設長の山下です。

この記事を書いている2022年1月末、オミクロン株の流行によりcommonのある西東京市では、市内の小学校はリモート授業となり原則投稿は無しとなりました。午前中は自宅で、配布されたパソコンを使ってのリモート学習をしています。

commonは2020年4月に開所し、まさにコロナとともに歩んできました。今回は、このコロナ禍における公設学童、民間学童のニーズの変化と、その中でcommonとしての果たす役割、子どもたちの学びについてご紹介します。

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まず、一般的な公設学童と民間学童の違いは大きく2つあります。1つは預かり時間や宿題のサポート、昼食のサポートなど生活面での違いです。もう一つは預かり時間の過ごし方の違いです。

一般的な公設学童は17時や18時などの時間まで預けることができ、その時間までには帰宅することになります。民間学童は、20時や21時、22時まで預かるところもあり、夕食やお風呂にも入れる施設もあります。また、宿題のサポートも公設学童に比べて手厚いところも多く、commonでも子どもたちの宿題の見守りは積極的に行っています。また、公設学童は弁当持参が一般的であることに比べ、民間学童は弁当を注文できることもあり、commonも弁当を注文し提供しています。

こういった違いから、これまでは残業が多い、通勤時間が長い、両親ともフルタイムで働いているといった家庭に民間学童は選ばれていました。しかし、コロナ禍になり、リモートワークも増えた中で、親が早い時間に自宅にいることも増えた結果、こういった民間学童ならではのサービスのニーズは以前より減ってきているように感じます。

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次に過ごし方について見ていきます。
公設学童は基本的には自由に過ごすことになります。地域によっては地域の方が来て、昔遊びなどをするイベントなどもあるようです。
一方、民間学童は、生活時間の中で様々なプログラム、例えば英会話や習字などの習い事を行うところも多くあります。
プログラムに参加することは、子どもたちの活動の幅を広げ、学びの世界を広げていく機会になっています。

コロナ前までは、平日は送迎の問題で習い事ができないが、放課後に学びの機会を持ちたいと考える家庭に民間学童のプログラムは選ばれていました。しかし、コロナ後はリモートワークで習い事の送迎程度ならできる家庭も増えており、こちらのサービスのニーズにも変化が見られます。

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このように、民間学童を取り巻く状況はコロナの蔓延を境に大きく変化してきました。一方、これまでとは違った注目点も出てきています。そして、それがコロナ禍、そしてこれからの教育でとても重要な役割になる点であり、commonはその点に力を入れて運営しています。

まずは生活の環境です。
commonの定員は30名程度。広さを基準に決めていますが、この人数は一般的な公設学童の設置目安に比べて一人当たりの広さは1.5倍以上となっています。また、commonは自由に外遊びができる庭が横にあるため、子どもたちの活動空間はとても広くなります。これは、コロナ禍では重要な価値になりました。1人1人の距離が確保しやすいので、3密を避けやすくリスクも軽減できます。子供から見ても空間に余裕があるので安心でき、リラックスしやすい環境です。
また、スタッフの人数についてもcommonでは子ども8人に対して1名以上の配置を徹底しより安全で安心できる見守り環境を作っています。公設学童は一律の基準がなく、特に子どもの人数が多い施設は人材不足が深刻です。

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次に学びの環境です。commonはプログラムなどはなく、どちらかと言えば公設学童に近い自由な時間がほとんどです。しかし上述した通り、広さや見守りの体制が充実しているので、子どもたちは安心して、本当に自由に過ごすことができます。その自由な活動が保証されていることで、子どもたちは力強く学べるのです。

この自由が保障された環境下での学びが、今の子どもたちの学びの中ではとても重要になっています。

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2020年に指導要領が改訂され、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すことが明記されました。これまでの何かを与えられてそれを習得する学び方から、自分が主体となって能動的に学び、他者との関わりの中で対話的な活動を通じて深く学んでいく姿勢を重要視するようになっています。

ここでコロナの影響を考えてみましょう。主体的・対話的な深い学びは、一人では実現することができません。周りの環境や刺激から「学びたい!」という意欲が生まれ、友達や先生、大人といった様々な人と出会い、対話することで学びは深まっていきます。
コロナはこの刺激と対話の機会を子どもたちから奪ってしまいました。外出は制限されて刺激を受ける機会は減り、ソーシャルディスタンスや3密といったことが最優先される中、人との出会いの場も大幅に減りました。子どもたちの学びの環境は、まさに危機的な状況にあると言えます。オンラインの繋がりや習い事も増えていますが、子どもたちにとっては直に会うことの価値は、大人以上に重要なことです。オンラインで遊びの定番の鬼ごっこはできません。これは子どもにとってはとても大きな問題なのです。

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commonは民間学童として、様々な家庭のサポートという意味でのお預かり(送迎サービスや最大20時半までの利用など)は当たり前に実現しています。しかしそれだけではない、子どもたちの当たり前の学びの環境が、当たり前に存在するのがcommonであり、これからもこの当たり前を突きつめて子どもたちの学びに寄り添っていきたいと考えています。

common施設長 山下純平

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