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遊びの中の学び~鬼ごっこ編~

「・・・あっ!雨止んだよ!」この言葉が聞 こえてくると、身体が勝手に動き出し、誰かがお庭へ飛び出すと、また一人、また一人と足どり軽くお庭へ向かいます。「やっぱり外は開放的でいいよね~!」と気持ち良さそうに両手を広げ、うーんと伸びする子。「うぉ~!ヤッホー!」と言いながら、 とにかくスッキリするまで走り回る子。オリジナルダンスを踊り出す子。本当に雨が止んだのか手をかざして確かめる子など、その時の姿は様々です。

喜びの舞と言わんばかりに、心も身体も開放的に動かしているお友だちの姿を室内から見ては「なんか幸せそうだね」と微笑む子も居て、雨上がりの瞬間と同時に心地よい空間が訪れているcommonです。

3年生のSちゃん、Yちゃん、1年生のH君、 私で鬼ごっこをしてると、「何してるの?私も入れて!」と1年生のAちゃんが加わりま した。Aちゃんが外に出る準備をしてる間に 「ひろこさん、私たちが1年生もたのしく遊べるように鬼ごっこでルールを考えたこと、(※)週末ドキュメントで載せてたでしょ!?」「いつもお母さんと一緒に見てるよ!」「H君、もう泣かないでよね」「わ かってるよ~!あの時のこと、覚えてるもんね。 えへへへへ」とこの前のあそびを和気あいあいと振り返る子どもたち。「また、何かあったらさ、その時私たちが考えるよ」と3年生のSちゃん、Yちゃんから頼もしい応答があり、「よーし! じゃぁ始めよう!」と1年生のH君がやる気満々で始まりの声をあげました。

※週末ドキュメント:commonでは毎週金曜日に1週間の様子のエピソードと、活動の写真を保護者の皆様へお伝えしています。

「氷鬼したいけど、5人しか居ないから、かわり鬼ね!」と遊び方が決まり、ゲームスタート。桜の木を介すると、相手と目線を合わせ、どちらへ駆け出すか、左右の駆け引きは、いつも盛り上がりますし、なんだか動物本来の狩りの本能的な要素も感じ、ハラハラ・ドキドキする瞬間です。

この日、子どもたちは、自分よりも年上の人をタッチすることに燃えていて、大人の私はターゲットになりがちでした。子どもたちからのタッチ返しの連続で、私の体力の限界と同時に他の子が「ひろこさんが狙われているから、追いかけられるハズがない」と余裕を持っていて、鬼ごっこならではの面白さが半減してるように感じました。


一度みんなで集まり、その事につい て相談してみると・・・

「確かにね~!じゃぁ再タッチ無しはどう?」とYちゃん。「タッチ返し無しと 同じ意味?」と私が尋ねると「そうだよ」と Sちゃん。すると「再タッチ?無しってどういう事?」 と1年生のH君が質問します。

「タッチされた人にはタッチできないってこ と。2回目は無しって意味。あのね、さい (再)って言葉には、もう一度とか、ふたたびとか、そういう意味があって。ふたたびって2回ってことだから、それは無しってことで。つまり鬼ごっこの時は、タッチされた人にもう一度タッチは出来ないってルールで使うよ」と3年生のYちゃん、Sちゃんが言葉の意味や、この場面ではどういう意図を示すの か、具体例も交えながら解説してくれました。「わかった!ありがとう。さい(再)ってそう いうことなんだね!」と1年生のH君の頭の中 が「?」→「!」へ変化。

こうして再開した鬼ごっこ~再タッチ無し バージョン~

ついつい、再び私へタッチし ようとするH君がいたとき、Sちゃんの「ひろこさんは今はダメだよ~」と 言う声から「あ!再タッチだから・・・!」 と考えて、新たなルールを守りながら遊び込 んでいきました。

今回のように誰かに教えること=アウトプットは教える側のインプットにも繋がっていますし、新たな言葉とその意味を知ることになった聞き手側の学びにも繋がっていますよね。学びの定着率を表した「ラーニングピラミッ ド」では、定着率が高い学習方法上位3項目 が他者と議論する(50%)実践による経験・ 練習(75%)他人に教える(90%)とあります。

今回のシーンでは【再】の意味が分からず議論し、他者に教え、最後は実践しながらその言葉の意味やシーンに合わせた役割を理解したと言えるでしょう。この様に、学校や日常生活での学習のインプットが遊びの中で実は学習の定着率が高い学び方がなされてるとしたら、子どもは学びの天才だと改めて感じました。この視点で子どもたちの遊びを観察してみることや、身近な大人の私たちが教わる側になったり、子ども同士で教え合う場やきっかけをつくり、子ども達が他者へ教える機会を意図的にもってみることも、たのしいかもしれませんね。

きっと、1年生のH君はいつか出逢う【再】という漢字を学校で学ぶとき、再びこの時のことを思い出すのかな?と微笑ましい未来を予想しています。
 コミュニケーター宮田

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