誰が為に腹が減る
前々から書こうと思っていてなかなか手をつけられなかった記事である。
さて題目を見て「またパクったな」と思う人も多いだろう。実は#名作1文字変えて微妙な感じにする という企画?流行?があったときに自分もふざけてこんな投稿をしたのだ。
すると,とある方からさらに変更したツイートを送られた。それが今日の題名である。
感銘を受けた自分はこれをタイトルにした記事を書きたい,書きたいと悩んでいたのだが肝心のネタが思いつかない。
そうこうしている間にあっという間に2019年の大みそかを迎えてしまったわけだ。
今年のことは今年のうちに。無理やりにでも書いていこうかと思う。
1. おなかが減るとは
おなかが減ると言ったら何をしたときだろうかと考えるとやはり勉強したり運動したりと,何か作業をしたときであろう。特に頭や体を酷使した後はやはり腹が減る。そして栄養補給が必要になるのだ。
しかし,勘違いしないでもらいたい。からだは常に体温や臓器の運動を保持するため,生きるために常日頃頑張っているのだ。だから「何もしていないけどおなかが減った。」というのは厳密には正しくはない。人の体の臓器は自分の意思とは関係なく動くものもあるからである。
生命活動の維持というのはそれだけでかなりパワーを要するものである。だから「今日何もしてないしご飯食べなくていいや」と言わず食べられるときにバランスのいい食事をとるのが体をいたわる方法であろう。
2. 誰がために
さて,いまさらながら断っておくがこの記事とヘミングウェイの名作「誰がために鐘は鳴る」は一切関係ない。もし関係あったとしたらもうすぐ新年を迎えるこの時にこんな能天気な記事は出せないだろうから。
ご存じの方もいるだろうがこの作品はもともとスペイン内戦を背景にした恋物語を描いた物語である。
しかし内戦なんてものではなくとも今年一年皆何かしらと戦って生きてきたのではないだろうか。
周囲の無理解,利害の不一致,おのれの能力とタスクの不均衡,時間のなさ,体力のなさ,他にもあるだろう。
大人子供かかわらず様々な壁と向き合って,戦って,戦って1年を過ごしてきたものはこの日本においてはとても多いと思う。
その戦いは基本的には自分のためである。中には「家族のためだよ。」「恋人のためだよ」「友達のためだよ」という人もいるだろうがそのような人も結局は「その家族や友達のために何かをしたい自分のため」である。
誤解しないでほしいのはだから人のために何かをするのはあほらしいとかいう方向に流れないでもらいたいのだ。「誰がために鐘が鳴る」の原作でもある文章がある。
「誰も人の死より逃れられぬ。ゆえに問うなかれ。『誰が為に鐘は鳴る』と。そは汝がために鳴るなり」
(ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』より)
ここでは人の死という年末年始に似合わない重苦しい言葉が使われているが,これを人の死にとどめなければ?疲れて倒れて動けなくなった人,病気になって前線を引くことになった人,その他さまざまな理由でコミュニティにいることが困難になった人…
そのような人との別れの時もこの文章は適応されると考えてしまうのだ。
今年別れを経験した人,今年離脱を経験したもの,おそらくこの文章を読む人間のうち,一人や二人ではあるまい。その中にはとても大切な人と別れてしまった人もいるのだろう。
仕事や生活においては一見そのような惜別の思い,名残惜しいという感情は邪魔者扱いされるかもしれない。
しかし,誰かの動向と自分の動向を完全に断ち切ってしまうことは難しいことが多い。だからその別れの悔しさも嘆きも自分のものとしてとらえられることには大きな価値があるように感じるのだ。
戦いにつかれてしまったものをいたわる気持ちも基本的には「そうしたい自分のため」であるが決してそれだけではない。
ちゃんと「相手のためになっている」ケースが多い。だから今年誰かのために頑張った人はそれを誇った方がよいだろう。
そんなことしてないよ,自分はたいした1年じゃなかったよという人も他人事だと思わないでほしい。先ほど話にもあったとおりなにもしていないように見える人間も生命活動でパワーを使っているのだから。
この1年を歩んできたのはだれであれ変わりはない。そして1年の終わりに醸し出される「お疲れ様」ムードはあなたのものでもあるのだから。
3. 腹が減ったら
さて,年末年始である。これからおいしいご馳走をいっぱい食べる人間もいるだろう。今年一年災害もあったし,悲しいニュースもいっぱいあった。
しかし誰かのため出会って欲しいと願った自分のための行動,誰かのために動こうとした熱意は今日の夕飯の満腹感として現れる予感がしている。
誰かのためにすかせる腹というのもじつに乙なものである。
今宵は今年がつらかったもの,楽しかったもの,憂鬱だったもの,大変だったもの…どんな1年だったかにかかわらず,おいしいものを食べて誰かのために減らした腹を満たそうではないか。
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今年一年noteを読んでくださった方々,誠にありがとうございました。2020年もよろしくお願いいたします。
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