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【車両紹介】 オロネ25-900(夢空間デラックススリーパー / JR東日本)

言わずとしれた北斗星の夢空間車両の寝台車、その名も「デラックススリーパー」です。夢空間はオリエントエクスプレスを参考に設計された24系客車最後の新製車輌で、寝台車である本形式はオロネ25-901の1両のみが在籍していました。
「エクセレントスイート」1室と「スーペリアツイン」2室の計3室、定員6人という超豪華車両です。まさにバブル絶頂期を感じさせる作りでした。

夢空間の3両は3つのデパートがそれぞれの車両の内装を担当しており、デラックススリーパーは製造を日本車輌が、内装を高島屋が担当しました。

寝台車「デラックススリーパー」・JR東日本(車番:901)

外観の特徴

上半分が青、下半分がシルバーになっており、帯は金帯が巻かれていました。他の寝台客車と違って、屋根やクーラーのキセまで青く塗装されているのが特徴です。
1両に3部屋しかないので、寝台側の窓配置はリビング部分に大きな窓が一つと、寝室部分に小窓2つ(エクセレントスイートは小窓2×2つ)という、独特な形、配置になっていました。
通路側の窓配置は、通常の24系客車に準じたような形となっていました。

オロネ25-901の寝台側。他の寝台客車にはない窓配置になっている

車内の特徴

機械室を挟んで、エクセレントスイート1室とスーペリアツイン2室が並んでいました。

寝台側から見て右の1室がエクセレントスイート、左の2室がスーペリアツイン

エクセレントスイートは、1部屋しかない当時走っていた列車の中では最上級の客室です。同じ北斗星のA寝台ロイヤルと比べても段違いに広く、車輌の居室の4割近くを1部屋で専有していました。
セミダブルベッドをL字型に2つ備えた寝室と、ソファが3脚あるリビング、ユニットバスや洗面台、トイレもついたバスルームの3部屋で構成されていました。

エクセレントスイートの部屋全体。ベッドルームとリビングの間には扉もついている

内装は暖色系という感じでしたが、ピンク系の色を多用していたようです。
その他の設備としては、リビングには衛星放送の映るテレビが1台、カード式の電話機も備え付けられていました。
さらに、寝室にも衛星放送の映るテレビがもう1台備え付けられていたというので、いかに豪華だったかが伺いしれます。

余談ですが、夢空間車両がお披露目された1989年と言えば、テレビもまだアナログで、移動する車内でテレビを見るということも全然一般的にできることではなかったですし、携帯電話もまだ本格的に普及する数年前でした。移動する車内から電話ができたのも新幹線や一部優等列車のみだったので、それが個室に備え付けられているというのはとても贅沢な設備だったと思います。

リビングにテレビと公衆電話がある。寝室にもテレビがある

スーペリアツインは2部屋ある、こちらも豪華客室です。
エクセレントスイートとは違いリビングこそありませんが、ベッドとソファのある寝室と、ユニットバスと洗面台、トイレが付いたバスルームの2部屋で構成されていました。

スーペリアツインは、ユニットバスを境に2室が左右対称に配置される

ベッドはシングルサイズになっているものの、2台のベッドをくっつけることで「ハリウッドタイプ」として利用することができたそうです。
内装は白に青緑系の色を用いた感じになっていました。
部屋の中には、衛星放送の映るテレビが1台と、カード式の電話機も備え付けられていました。
バスルームの仕様はエクセレントスイートと同じだったようですが、色は白系になっていました。

バスルームは白系となっており、いい意味で普通

模型化の状況

Nゲージでは、Tomixとマイクロエースから発売されています。
Tomix製品は比較的希少性の高いセットではあるものの、客車のみのセットは1度再販されているため、定価前後かちょっと高めぐらいのレンジで取引されているようです。2023年秋にも2度目の再販を行うようなので、興味のある方はそちらを狙うとプレミア価格を払うことなく新品を手にすることができます。
中古を狙う時の注意点としては、2007年の初販時と2017年の再販時で製品番号は同じでも仕様が少し変わっている(ボディーマウントTNカプラー対応床下への変更や、一部車輌でクーラーのキセが着脱可能になるなど)のでお気をつけください。2023年の再販でもどこか変更してくるかもしれません。
今回も品番変更はないためか、昨今の材料費高騰の影響を受けることなく再販されるので、今見ると結構安い金額で手にできるのは大きいかと思います。設計試作費用が不要になることでペイできる感じなんでしょうか。
マイクロ製品は知識がないので触れられません…すいません。

オロネ25-901 ★特定車番

オロネ25-901全景

92792 JR 24系25形特急寝台客車(夢空間北斗星)セット
特徴的な青い車体と、3室しか無い豪華な客室や設備を再現。

実車の状況

運用としては、1989年に開催された横浜博覧会(YES'89)の開催に合わせて一般公開され、その後も海浜幕張での展示を経て「北斗星トマムスキー」として他2両の夢空間車両と一緒に組み込まれて1991年3月から運行を開始しました。
その後も「夢空間北斗星」や「夢空間北斗星ニセコ」など、北斗星の臨時列車として多く運用された他、北海道の様々な線区に入る臨時列車に組み込まれたり、はたまた関西方面や九州は門司港まで足を伸ばしたこともあったようです。

日本の各地を走った夢空間ですが、北斗星が1往復になる2008年3月に運用を離脱し、2011年に廃車となりました。

▼実車データ
オロネ25-901:1989.3.20落成、2011.12.6廃車。

オシ、オハフの2両が早々にららぽーと新三郷へ引き取られた一方で、このオロネ25-901は尾久客車区にしばらく留置されていましたが、オーナーシェフの熱意により2011年12月に移送が決定、現在は東京都江東区の木場公園そばにあるフレンチレストラン「アタゴール(A ta gueule)」に展示されています。
平日であれば1組限定で車内での料理を楽しめるそうです。予約をすると食後の珈琲だけでも車内で楽しめるという記事もあったので、いつか訪れてみたいです。

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オロネ25-901を組み込んだ編成の紹介

整備記録

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