「外弁慶」でレギュラーシーズンとは逆-2023年MLBポストシーズンの特徴
2023年のMLBポストシーズンも終了。既報の通り、テキサス・レンジャースが史上初のワールドチャンピオンに輝いた。今年のレンジャースの特徴のひとつが、ロードゲームで11勝0敗と全勝したことだ。一方、ポストシーズン全体でみると、レギュラーシーズン100勝以上を挙げた3チーム(ブレーブス、オリオールズ、ドジャース)が、いずれもDSで敗退しているのが特筆すべき点だ。
その他、どんな特徴があったのだろうか。傾向を簡単にまとめると、「レギュラーシーズンで上位のホームチームが強い」という一番常識的なシナリオとは全く反対の結果が出たポストシーズンになったことだ。
1.ポストシーズンの勝敗とレギュラーシーズンの対戦成績との比較
2023年からフォーマットが変わったため、ワールドシリーズも含め、ポストシーズンでの対戦相手とは全てレギュラーシーズンでも対戦することとなる。ポストシーズンの11のマッチアップのうち、ポストシーズンで勝ち抜けた方の成績は、以下のようになる。
勝ち越し2 タイ2 負け越し7
勝ち抜けた方の成績は40勝53敗、勝率.430。この勝率を162試合換算すると69~70勝の計算になる。レギュラーシーズンの成績ではナショナルズ、カージナルスに近い水準だ。
△MIN3-3TOR
○TEX4-2TB
●HOU2-4MIN
△TEX3-3TB
●TEX4-9HOU
○ARI4-2MIL
●PHI6-7MIA
●ARI5-8LAD
●PHI5-8ATL
●ARI3-4PHI
●TEX1-3ARI
2.ホームチームの勝敗
ALを中心にホームチームの苦戦が目立つシリーズになった。ポストシーズン全体のホームチームの勝敗は15勝26敗、勝率.366。162試合換算で59勝の計算になる。レギュラーシーズンの成績ではロッキーズに近い水準だ。
ワールドシリーズを除くAL同士、AL同士の対戦では以下のとおり。
・AL:4勝14敗 勝率.286
・NL:10勝8敗 勝率.556
レンジャースとアストロズが対戦したALCSは、ホームシリーズが全敗するという「外弁慶シリーズ」となった。多分2019年ワールドシリーズ以来ではないか。
■アメリカンリーグ
ALWC
・MIN-TOR ○○
・TB-TEX ●●
ALDS
・HOU-MIN ○●/●●
・BAL-TEX ●●/○
ALCS
・HOU-TEX ●●/●●●/●●
H4-14
■ナショナルリーグ
NLWC
・ARI-MIL ●●
・PHI-MIA ○○
NLDS
・ARI-LAD ●●/○
・PHI-ATL ●○/○○
NLCS
・PHI-ARI ○○/○○●/●●
H10-8
■ワールドシリーズ
・TEX-ARI ○●/●●●
H1-4
3.ディビジョン別の勝敗
同地区対決を除くディビジョン別の勝敗は以下の通り。AL西が12勝2敗と圧倒した一方で、ポストシーズンに3チームが出てハイレベルとされたAL東は0勝7敗と、勝ち抜けどころか勝利さえ挙げることができなかった。
AL東:0勝7敗 AL中:3勝3敗 AL西:12勝2敗
NL東:3勝4敗 NL中:0勝2敗 NL西:7勝7敗
まとめ
「強いものが強い」「レギュラーシーズンとポストシーズンは別」ポストシーズンの見方は以下の2通りに分かれる。そうした中勝敗予想をすると、どうしてもレギュラーシーズン上位のチーム優位という考えに引きずられてみてしまう。でもそれが覆されるのがポストシーズンの面白さともいえる。しかしこれだとレギュラーシーズンの圧勝は何だったのか…とも。
今年のポストシーズンの結果を踏まえ、ポストシーズンのフォーマット、ワイルドカードの見直し論議が出てきたという。時代や社会の変化と合わせ、どのように変化していくのか…
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