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#25 生地胴=ジーンズ論 vol.1

Facebook上で運営している「生地胴倶楽部」内で『生地胴=ジーンズ論』というコラムを連載したことがあります。これは私が独自に学び、見聞きし、体験したことをベースに書いているものです。
確固たる根拠にたどり着けない内容も含まれているのですが、これを書いていた際には、「読む人が限られているし、気軽に楽しんでくださいね」という但し書きを付していたものです。剣道具に思い入れの強い方からはお叱りを受ける内容も含まれているかもしれません。
ただ一方、そこまでズレたことは書いていないと思っています。

■「生地胴はジーンズに似ている」

これをキーワードに、1980年代に剣道を始めた筆者が生地胴と出会い、今日まで使い続けるなかで知りえたエピソードを連ねていきます。

■00 生地胴=ジーンズ論 「生地胴ってなんだろう」
〜連載の前書き

「生地胴の定義は?どこからどこまでを生地胴というのか?」
たびたび私のところにはこのような質問や意見が寄せられます。

元々生地胴とは、革目そのままの素地(塗り下)のものを指しますが、今では拭き漆に始まり、様々な方法で色をつけたもの、表面を呂に仕上げた「生地呂」のものもお店では生地胴として出されています。

生地胴倶楽部管理人の私は、開設当初から以下の投稿のような考え方のもとに生地胴を捉え、解釈しつつ運営しており、この考えは今後とも変えるつもりはありません。

ただ、生地胴とは本来、牛の生革の素地を生かした風合いの「何も手を加えていない状態のもの」です。できれば素地の魅力をぜひ知っていただき、また手にしてもらいたいという思いはあります。

本来のものはありつつ、そこからファッション性も相俟って、色々な生地胴が出てきている…確かに革目の雰囲気がゼロになってしまえばそれは生地胴ではないでしょう。
でも今、革目が楽しめるものであればそれは「生地胴」というひとつのカテゴリーであり、ジャンルになってきているのだということを感じます。
まるでファッションのように。

たかがこんなこと…なのかもしれませんが、定義というものに対し、私の中でも色々な葛藤がありました。
以前ある職人さんに意見を求めたところ「本来と現状の違いは認識しながら、受け入れる余裕を持って愉しめばいいのではないかな」という言葉をいただきました。
その言葉をいただいたとき「それでいいんだな」と、何か吹っ切れたような思いがしました。

皆さんの中には、そもそも生地胴のルーツって何なのか…すら考えたことがない人もいると思います。

いいのです。

生地胴はもともと、極力コストを下げた稽古用の防具として作られ始めたものですが、最近は生地胴にもプレミア感を演出しているものも出てきています。

しかし生地胴が好きで、今の生地胴を手に入れて大切にしているということに優劣はないはずです。

元々の素地こそ本来!という人も、そこから派生していった生地胴を好んでいる人も、どこかで線引きできるものでもなく、全て連綿と繋がっているんですよということを多くの人に感じてもらいたいと考え、本論に手をつけました。

なぜジーンズにつながるか?
それは、ジーンズのルーツと現状に鑑みればわかってもらえると思います。別に出し惜しみはしていませんが、そのあたりは本稿に譲ることとします。
締めくくるまでにまだまだ掛かりそうですが、何かの発見の一助となれば嬉しく思います。
なお、注意書きに著しているように、私の考察なども混ざっており、全てに根拠が紐付いていない部分もあります。
そこはご了承の上、お読みください。どこかに発表するわけでもなく(※)、出版するわけでもありませんので、何卒ご容赦を。
※今回はじめて公開していますので、ちょっとドキドキです。

(この画像は拾いものです)

■ちょっとおことわり

2023/06/02 序章と本編、両方載せていたのですが、やはりわかりにくいので、この#25は序章のみ。本編を#26に分けて再編しました。

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