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一番好きなテレビ番組

 こんにちは!
 今回の話題は僕が一番好きなテレビ番組についてです。
 その番組が何かと言うとかつてフジテレビ系列で放送されていた「笑っていいとも!」という番組です。森田一義(タモリ)さんが司会を務めるお昼の国民的長寿番組でその放送回数はギネス世界記録に認定されています。
 今回はこの番組の事を綴るのですが,一番好きな番組ゆえに長くなるかもしれません。しかしながら,どうぞ最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 2014年3月31日 正午。
 東京・新宿アルタ前。
 そこには人だかりが出来ていた。皆の見つめる先には巨大なモニター。映し出されていたのは神父の格好をしたタモリさんこと森田一義の姿。片言な日本語で世相を斬る説教はもはや年末の風物詩だった。今日は年末ではない。3月31日のお昼だ。なぜこのタイミングで牧師姿で説教をするのか。そしてそれを見ようと多くの者が集まったのか。それにはちゃんとした理由があった。何を隠そう今日は32年間続いたお昼の国民的長寿番組「笑っていいとも!」の最終回だからだ。番組開始から32年間での放送回数は8054を数えた。
 月曜日から金曜日までの正午から1時間の生放送。番組の生放送が行われているのはお台場のフジテレビではなく,新宿アルタ7階にあるスタジオアルタから。毎回150名の観覧を入れて放送を行っていた。
 正午になれば時報と共に番組のテーマソングである「ウキウキWatching」が流れ,番組アシスタントを務めるいいとも青年隊が華麗なダンスを踊る中,番組セット中央の階段からタモリさんが登場してくる。スタジオのボルテージが一気に高まり,観客が一斉に沸き立つ。沸き立った観客を煽った後,拍手を止める。毎日繰り返されるこの一連の流れは一種の様式美のようなものだったと感じる。その後,各曜日のレギュラーと軽くトークを交わし,タモリさんと観客の
 「それじゃあ今日もいってもいいかな?」
 「いいとも~!」

 のレスポンスでCMに入る。だが,最終回を迎えたこの日はいつもと少し違った。
 正午と共にアルタ前の様子が映し出され,画面がスタジオ内に切り替わると年末の特大号と同じように番組ロゴの描かれた巨大なカーテンが掛けられたセットの横から番組最後の青年隊を務めたnoon boyzの二人とタモリさんが登場。
 「『いいとも!』最終回。今日は私,朝から涙がすごい出ましてね。(家からアルタへ向かう時に)近所の方にも車を見送って頂いて…『さよなら!さよなら』『ありがとう!ありがとう』なんて。引退するブルートレインはこんな気持ちかなと思っておりました。」
 などとジョークと時事ネタを交えながら約5分間説教。最後には聖書の開いたページが英語だったというオチをつけて説教を終えると画面が再びアルタ前へ。巨大モニターに番組開始からの今までの映像が流れたあと,スタジオに戻り「ウキウキWatching」へ。タモリさんとnoon boyzが1番をフルコーラス歌った後,月曜日の曜日レギュラーが登場し,各レギュラーの初登場時の写真を振り返ってトークした後にCMに。


 その後の「テレフォンショッキング」ではビートたけしさんが毒舌の表彰状でタモリさんの功績を称え,最後には明石家さんまさんを翌日のゲストとして紹介。さんまさんは寝起きの電話越しながらもお笑いBIG3共演が実現。
 番組終盤には各曜日リーダー格の中居正広さん,爆笑問題・太田 光さん,笑福亭鶴瓶さん,関根 勤さんもスタジオに駆けつけ,番組の最終回を盛り上げた。
 最後の最後のタモリさんの台詞はいつもと変わらない
 「それじゃあまた明日も見てくれるかな?」
 それに観客らが「いいとも~!」と答えるとスタジオに金の紙吹雪が。スタジオが盛り上がり観客から歓声が上がる中,12時58分30秒。番組は終わりを迎えた。

 それから7時間後の午後8時。舞台を新宿アルタからお台場のフジテレビV4スタジオに移して番組の最終回記念特番『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』が生放送された。
 オープニングは青空をイメージした初代セットを再現したセットでタモリさんとnoon boyzが「ウキウキWatching」をフルコーラス歌唱。(タイトルロゴの出方やタモリさんの名前テロップのフォントまで再現されていた)歌唱後,最終回時点のセットが組まれた向かい側の舞台へ移動し,最終回時点のレギュラーと特別版の「ウキウキWatching」を歌唱。歌い終わると,番組の進行を務める西山喜久恵アナウンサーから番組の概要説明と観覧の歴代曜日レギュラーが紹介された。そしてその後にはタモリさんの憧れの人である吉永小百合さんが映画「ふしぎな岬の物語」のロケ地である千葉県南房総市から中継で出演。タモリさんにスポーツバックと花束・直筆の手紙を贈り,タモリさんが歓喜する中,ジングルが流れ
 「それじゃあ今日もそろそろいってもいいかな?」
 「いいとも~!」

 のコール&レスポンスでCMへ。
 CMが明けるとテレフォンショッキングに。最初のゲストは明石家さんまさん。テレフォンショッキングから伝説のコーナー「さんま・タモリの日本一の最低男」へと繋がる流れとなるはずでしたが,さんまさんが予想を上回る(予想通りでもある気がするが)饒舌ぶり(いつもそうだが)で時間が押してしまい,その後にタモリさんとトークする予定だったダウンタウンさん・ウッチャンナンチャンさん・ナインティナインさんらを待たせる事に。トークの途中でついに彼らがしびれを切らし,スタジオに乱入。これに乗じてレギュラーのとんねるずさん・太田 光さん・笑福亭鶴瓶さんらも舞台へ。完全にタモリさんのみではこのメンバーをさばききれなくなってしまったため,急遽チーフプロデューサーの中嶋優一さんが中居正広さんに向けて「中居くん 進めて!」とカンペを出し,中居くんが進行を務めることに。普段共演することのないスター達が一同に会した。ちなみにこのシーンはマイナビニュースが募集した「平成のバラエティ番組の中で最も名場面だと思うシーン」第1位に輝いた。その後,松本人志さんがさんまさんの口にガムテープを貼ったことをきっかけにさんまさんがスタジオを後にすることでなんとか収拾がついた格好に。
 番組中盤でSMAPのメンバーがタモリさんへの感謝の歌として自身の持ち歌である「ありがとう」を披露したり,最終回時点でのレギュラーからタモリさんへの感謝のメッセージなどがあり,いよいよ番組はタイトル通りのグランドフィナーレへ。
 まずはタモリさんが視聴者へ「視聴者の皆さん方からたくさんの価値をつけていただき,みすぼらしい身にたくさんのきれいな衣装を着せていただきました。」などと感謝の挨拶を述べた後,草彅 剛さんからの発案でスタジオにいる全員で「ウキウキWatching」をもう一回歌唱することに。なお,歌唱中にはアルタ前の様子が。曲が始まる前のドラムカウントが合わないハプニングもありましたが,歌唱を終えるとスタジオに駆け付けた歴代レギュラーにタモリさんが礼をしている間にお馴染みの青字明朝体(JTCウィン明朝体)のスタッフロールが流れ,流れ終わった後,タモリさんが再度視聴者への感謝の言葉を述べ,最後の最後はいつもの
 「それじゃあまた明日も見てくれるかな?」
 「いいとも~!」

 の掛け声でスタジオに紙吹雪が舞い,タモリさんの
 「ありがとうございました!感謝します!」
 というコメントと共に番組が終了。32年間にわたる生放送の幕が下ろされた。

「グランドフィナーレ感謝の超特大号」のラストシーン
©フジテレビ

 前番組「笑ってる場合ですよ!」のプロデューサーで「オレたちひょうきん族」「THE MANZAI」「ライオンのいただきます」などを手掛けた故・横澤 彪さんが「笑ってる場合ですよ!」の楽屋でタレントが金と女の話しかしなくなったことに危機感を抱き,番組の終了を決め,1982年10月4日にスタートさせた「笑っていいとも!」。
 当初はアングラな深夜の地下タレントだったタモリを所属事務所の反対を押し切って司会に起用(現在で言うとエガちゃんがお昼の番組の司会をするようなものらしい)したものの振るわず,第1回放送をリアルタイムで視聴しており後に曜日レギュラーとなった明石家さんまさんが「これは3ヶ月で終わる」と思ったという当初の下馬評とは裏腹に徐々に「いいとも!」という言葉が浸透し,流行語に。そのお陰かタモリさんは放送開始翌年の1983年,「第34回 NHK紅白歌合戦」の総合司会に抜擢された。
 それから幾多の出来事を経て32年もの間,日本にお昼の到来を告げ続けた「笑っていいとも!」。その功績から新宿区から表彰を受けたり,放送開始から30年の節目となる2012年には「FNS27時間テレビ」の中核に担うホスト番組になったりと番組にまつわる出来事は枚挙に暇がない。

 長々と書いてしまいました。そろそろこの辺で本題へ移ります。
 まずはじめに僕がこの番組を好きになったきっかけは幼い頃からこの番組を見ていたというのが一番大きいです。また,番組の中では特にオープニングが好きだったのですが,その理由としてはこの番組を見てお昼になったことを知り,オープニングを見終わった頃に昼ご飯を食べていたという記憶が強いからだと思います。
 次にこの番組の好きなところと魅力についてです。それは何と言ってもレギュラーの豪華さではないでしょうか。アイドルからお笑い芸人・モデル・俳優まで…多岐にわたる分野からレギュラーが選ばれ,お昼の時間に一同に会す。今では見られない光景だと思います。また,それをまとめるタモリさんの肩に力が入りすぎていない進行もタモリさんしか出来ない技だと感じます。
 それに「テレフォンショッキングでスタジオ直通の電話番号が流れてしまう」「テレフォンショッキングのゲストが大遅刻する」「突如不審者が乱入する」「子役の子が仕込みのエキストラであることを自らばらす」などなど…生放送ならではのハプニングや観客との掛け合いが加わり,ライブ感のある番組に仕上がっていたことも見ていて楽しく好きなところのひとつです。ダウンタウンの松本さんが著書で「俺は客を選ぶ。ゆえに笑っていいとも!を降りた」と綴っていましたが,僕はこの番組の観覧客とレギュラーとのやり取りがおおむね好きでした。(ちょっと盛り上がりすぎな部分はあるなとは思うが…)過去の映像を見ていても本当に楽しいです。
 最後に平成のみならず日本のバラエティ界の歴史に残る番組となっている「笑っていいとも!」。最終回時点のレギュラーを見てみると,今年のM-1チャンピオン・ウエストランドのお二人や今やラジオスターとして活躍するパンサーの向井さん,フジテレビの新しいお昼の顔を務めるハライチの澤部さんなどなど…錚々たるメンバーが毎日観覧客の前に立ち,日本のお昼のお茶の間を盛り上げていたのかと思うとすごいなと思いますし,テレビっ子としてこの番組が見られる時代に生まれてよかったなとつくづく感じます。テレビ開局70周年の節目となる今年。何らかの形でもいいので是非とも復活して欲しい番組です。
 現在放送中で「『いいとも!』に似ている」と話題になっている「ラヴィット!」(TBS)や「ぽかぽか」(フジテレビ)はどこまで「いいとも!」に寄せられるか,またそれぞれの番組のオリジナリティを尊重しつつ番組を長続きさせられるか。「いいとも!」放送時と比べてテレビを見る人が減り,テレビに対する価値観が変わり始めている今,改めて注目されていますし,スタッフの皆さんにはその手腕が問われています。

 今回は少し小説風に書いてみました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 朝晩の寒暖差が激しく体調を崩しやすい季節ですが,くれぐれも皆様お体ご自愛ください。
 そして次回の投稿もお楽しみに。

 「それじゃあ次回の投稿も読んでくれるかな?」
 「いいとも~!」

※ 事実を書き連ねた部分と感想の部分との差別化を図るために文体はあえて統一しておりません。予めご了承ください

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