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源氏物語「胡蝶」~六条院での船と管弦楽の遊び

瀬戸内寂聴の「源氏物語」,英訳「The tale of Genji」

 

源氏物語「胡蝶」の場面の絵巻

源氏物語には様々に印象深いシーンがございますが、春の季節、光源氏が唐船を造らせ六条院のお庭の池に船を浮かべ、雅楽寮の楽人を呼び、船上で音楽の催しをした「胡蝶」の場面は風雅の極みと言ってもよいでしょう。

 桜、藤の花、山吹が花盛りの中、親王や上達部、若い女房達がみな着飾って、楽人の舞楽の調べに聴き入っております。また当時の貴族は楽器の素養がありましたので、上達部や親王たちもそれぞれ筝の琴や琵琶、笙、篳篥や横笛を奏でるのでした。

 六条院の管弦の遊びには、耳慣れない世にも珍しい音楽の数々も奏でられたそうですから、クラシック音楽であればクープランの「王宮のコンセール」など場面にぴったりではないでしょうか。派手過ぎず典雅でアントワーヌ・ヴァトーの絵画を思い起こせる音楽は源氏の世界にも合うように思います。源氏物語の最新英訳の朗読を聞き終えて、この物語のシーンにはどんなクラシック音楽が合うだろうと想像の翼を広げることは古典文学を読む醍醐味の一つです。


◎François Couperin Les Concerts Royaux Jordi Savall Le Concert des Nations


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