【読書ログ】コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト


書籍情報

タイトル:コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
著者:高松智史(BCG出身)
オススメする読者層:ビジネスパーソン全般
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若手のコンサルが経験する仕事を題材に、技術的な話からマインド的なお話
まで、新人さんに限らずベテランの方も折に触れて読み返すと、大事なことを思い出せる内容です。興味のある方はぜひお読みください。

要約

売り物が「思考」しかないコンサルティングファームの「最初の3年間」は質量ともに極めて濃く、答えのないゲームであるクライアントの課題に立ち向かうことになります。そんな「濃い」技術を具体的・リアルな表現を軸に実例を交えて書いているのが本書です。

〇〇VS〇〇の形式で、対比・類似の項目を比較しながら、1年間33個3年分、加えてマネージャーに挑戦する4年目の5個、全部で104個(99+5)紹介されています。

以下は1~4年目の見出しです。
✔「2度はできない」叱咤激励の1年目
✔ 「天狗になる」⇔「鼻をへし折られる」繰り返しの2年目
✔ 「付加価値を付ける」真っ向勝負な3年目
✔ 「一桁上の価値を出す」 マネージャーに挑戦の4年目

要約では個人的に好きな4つをご紹介します。

論点バカ VS TASKバカ

アウトプットを作るための6ステップとして、ぜひ暗記すべしな内容として以下の6つのプロセスが紹介されています。

ロ → サ → T → ス → 作 → ア

頭文字の意味は次のようになります。
論点 → サブ論点 → TASK → スケジュール → 作業 → アウトプット

まず論点をもらったら、論点を分解=サブ論点を立てます。上司・クライアントからもらった、はたまた「自分で定めた」論点をサブ論点に分解するプロセスになります。

サブ論点を立てることができたら、次はTASKを立てます。分解した論点=サブ論点毎にTASKを考えます。作業するのではなく、TASKを設計することを意味します。

次はスケジュールを立て、先ほど立てたTASKをこなしていく作業のステップに入ります。その結果、アウトプットが完成します。

まず、論点に割り戻すVS そのままTASKを始める

実務ではしばしばTASKが割り当てられるところから仕事が始まることがあります。が、そのままスケジュールを意識してアウトプット作成作業に入る前にやることがあります。

上記で紹介したアウトプットのためのプロセスを再掲します。
論点 → サブ論点 → TASK → スケジュール → 作業 → アウトプット

TASKがあるということは必ず、論点(サブ論点)が存在します。そこに立ち戻り、再度サブ論点への分解や、TASK設計へ落とし込むことが重要になります。

データ整備 VS 分析の切れ味

Excelを用いた定量分析で価値を出すのは気持ちが良いものです。とはいえ、いつも定型的な関数やピボット集計に適したようなデータあるとは限りません。

そんな時に勝負すべきは、分析の切れ味や軸どりではなくデータ整備です。クライアントからもらった「ぐちゃぐちゃ」のデータを使い物になるようにすること。これが必要になります。代表例は名寄せです。

つまるところやっぱり「インプット、材料が命」ということです。材料づくりの大切さを見直しましょう。

仕事が下手なだけ VS 仕事がつまらない

今就いている仕事自体がつまらない。だから、もっと楽しい仕事に転職する。そんなことを言う人がたくさんいるといいます。

しかし、実際には仕事自体がつまらないのではなく、仕事がうまくいかないからつまらない場合もあります。仕事で成果を出せるような状態なら、自然と仕事がつまらない顔にはならないはずです。

仕事が上手くなればいいんでしょ!とポジティブなエネルギーを読者に燃やしてほしいがために、著者の高松さんはこの本を書いたといいます。絶対に頭は良くなるし、仕事も上手くできるようになります。健やかに丁寧に学んでいきましょう。

感想

「言うは易し行うは難し」な内容もありますが、社会人序盤にこの本に書いてあることをしっかりと押さえ、定期的に見直していくと仕事のアウトプットの質やスピードは随分上がるように思います。

アウトプット作成の6ステップ

特に年次が上がってきて、かつやることをしっかりとこなしている人ならば自然と仕事が集まってくるため、必然的に膨大な作業量に圧倒されてしまう時期が来がちです。

そんな時に上述の6つのプロセスや、論点に割り戻す視点を徹底できていれば、最小の手数でアウトプットまでたどり着け、手戻りも大幅に減り、仕事の目的を外す確率も大分下がるように思います。いずれチームマネジメントする立場になった際にも極めて大きな効果を発揮します。

余談ですが、この視点がないまま、パワープレイ+人間関係構築力や交渉力でマネジメントの立場に上がれてしまった人はその後随分苦労するように思います…。

泥臭いデータ整備

慣れてくると費用対効果の大きい方法のみで分析をスマートに済ませようとしてしまったりしますが、データ整備で手軽に付加価値が出せるという点も共感しました。

データ整備も、最小の手数で使える状態まで持っていくにも様々なテクニックがあります。文字操作、抽出系の関数で必要な項目だけを抜き出したり、フィルタと一括操作で集計用のデータ区分をまとめて追加する等。

こういった技術も積み重ねがきくため、別の分析で代替したり下に振ることを繰り返していると、データ整備のスキルがないままにマネージャーになってしまいかねません。

そんな時にチームメンバーにデータ整備が得意なメンバーがいなかったら…と思うと、ある一定期間だけでもそういう泥臭い作業と向き合うことにも価値があるようにも思います。

仕事を楽しむべし

最後に、慣れなくてうまくできない仕事や作業は、どうしても負荷を感じたり面白くないと感じてしまいがちです。私も独立してからは会計コンサルから税理士業務、診断士の事業再生案件など比較的幅広い業務に関与する機会に恵まれていますが、やはり慣れない案件はしんどさを感じることもあります。

しかし、しっかりと工夫した上で数をこなすと仕事の質も量もあがり、ある1つの業務の視点を他の業務や営業にも活かせるようになってきて、そのあたりから途端に視野が広がり面白さを見いだせるようになります。まずは何事も面白いと感じるようになるまでやってみるのも大事なように思います。

技術的な話からマインド的なお話まで、新人さんに限らずベテランの方も折に触れて読み返すと、大事なことを思い出せる内容になっています。興味のある方はぜひお読みください。

最後までお読み下さりありがとうございます!

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