石田衣良(2016)『水を抱く』新潮文庫

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誰に愛されるはずもない、淫乱で奔放な一人の人間を幸運にも真っすぐに見つめることが出来た若い男の子の物語。きっと誰もが持っている”まじめ”な部分は、一生に一度しか使えない劇薬のようなもので、使うには勇気のいる代物なのだろう。

内面の青く清らかな部分はどんな人間にもある。それをあなたに見せていないからといって、愛すべき人ではないということにはならない。この世のどこかに、その人の花の咲く秘境を目の当たりにする幸運な誰かがきっといる。

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