首藤信彦・鳩山友紀夫(2019)『次の日本へ』詩想社新書

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国民が共に、手を携えて、お互いを認め合って、望むべき正しい姿=共通善を実現しようと共和主義を唱える本。参考になる部分もあるが、この手の類の本を読む際に気を付けなければならないのは、理想や目標という明るい部分に共感できるからといって、彼らが当座の敵と見なすものや改革の矛先という主張の暗い部分を無批判に受け入れてはならないということ。

政治は中道に寄ると言われる通り、我々人間の望む理想の世界なんてだいたいは似たり寄ったりで、政治家の唱える社会も大差はない。注目すべきはそこに至る道のりをどう描いているか。その点で捉えると本書は少し残念なところがある。奇しくも出版社の名にあるような、思想というにはまだ状況認識に足りない部分がある。

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