宇野重規(2018)『未来をはじめる:「人と一緒にいること」の政治学』東京大学出版会

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「政治とは、人が誰かと共に生きていくことそのものである」そのことを中高生への講義の中から明確に描き出していく非常にわかりやすい導入書である。自分を失いたくはないし、他人とは一緒に生きていきたい。この矛盾してしまう命題をどう両立させていくか、今なお難題であり私たちが取り組むべき課題なのだ。

本書を手に取ったもう一つの理由としては例の学術会議会員に任命拒否をされた著者であったから。個人的には優秀な政治学者と思っていたので、彼自身についても勉強したいと思っていた。政権批判が任命拒否の直接の理由では無いと思うが、確かに本書の中にも随所に左派的な現状認識を披露している箇所が見受けられた。中高生相手にそれが滲み出ているのは少し違和感を感じたことは記録しておく。

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